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目指すもの

ファッションについての悩みはつきない。わたしの場合、10歳頃から「女の子らしい服装」を激しく敬遠し始めた。どこか、女の子は可憐でお花のように柔らかく弱々しいジェンダーだという世間のガイドラインに合わせて服装もそうしないといけない、という刷り込みがあった。

大人の女性になれば、体のラインを強調したり大きく肌を出すことでフェミニンであることが、周囲の人たちにウケる、みたいなCM、ドラマのキャラクター設定、グラフィック広告、漫画、アニメなどから強く印象づけられてきたと思う。

そうだそうだと、影響を受けた友人や両親や先生や先輩後輩にさらに、それが正しいと刷り込まれていく。

10歳になるまでは、親が買ってきた洋服を着ていただけ。学校でエロ男子がスカートめくりやお尻触りを始めた。隙がある方が悪い。わたしはスカートを履く・「きゃー」「やめてエッチ!」と反応すること自体が「女の子らしさ」であると思い、まずスカートを履かなくなった。触られたら「殺すぞ」と一喝し殴る。髪型はショートカット。

そんな男勝りな人格が出来上がったわけだ。

男に負けたくないというより、

性的なことで自分という人間を判断されたくない。

そんな気持ちが昂って、それはファッションにあらわれてきた。

親が買ってきた何のこだわりもない、スーパーの2Fで物色したついでのような服たちを、全くもって満足はできなかったけど自分なりにレイヤーしたりしてコーディネートを考えていた。

どうして無地で売らないんだろう。

単なる黒いTシャツでぶかっとしたものが欲しいだけなのに、どうして飾りを入れるんだろう。

きっとそれは当時の大人たちのジェンダーや年相応ということに対する思い込みが強く、そうでなければならないと決めつけた企画しかなかったからだ。

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わたしの居場所がない、心の拠り所がない、理解してくれる人がいない、ひとりぼっちな心境で過ごしていた。

それでも黒をメインに、モノトーンでコーディネートするように努めて、言動もなるべく女の子っぽくならないよう気を張っていた。

小6のとき、4年生だか3年生のクラスに複数人で行って何かを教える授業があったのだけど、全く知らないやんちゃ坊主に「おとこおんなー!」と言われながら背中に思い切り蹴りを入れられた。めちゃくちゃ痛かった。

すごい腹が立ったけど、自分より弱い者に暴力で返してはいけないと、ぐっと堪えて、笑いながら「おんなおとこー!」と言いながらくすぐり返した。精一杯の我慢。

その少年は、低い知能・知識をもってして、判断がつかない者を排除したい差別主義の心理が働いたのだと思う。

でも、わたしは女性に生まれてきて苦痛を感じているか、違和感があるか、というと、そうではない。身体や容姿に「なんで女に生まれたんだ⁈」ということはなくて、自分の趣味趣向に対して周囲の理解が足りない・狭い・遅いことに腹が立っていた。

2021年の現代の風潮としては、LGBTQノンバイナリ、SOGI、性の多様性を認めようという動きがあって、インターネットの普及もあり、大きく受け入れら始めている。

結婚して、娘を産んで、40歳を目前にした自分のファッションの好みは、おそらく10歳のころから大きく変化はしていない。

近年のジェンダーレスファッションについては、もっと早く出回っていればあんなに苦しまずに済んだのに、と思うばかり。

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そんな思いをもとに、服作りに専念しているわけで、自分の目指すものは誰でもなく、まさに今取り組んでいることのなかにある。

まだはっきり明言できないから、こうして長文書いちゃってるんだけど、アウトプットしながら、押し殺してきたもの、排除しようとしてきたものを回収していきたいし、10歳の自分を救い出したい。

というわけで、会社員やりながら、ファッションデザイナーもどきなことを始めた。

まだまだ試運転で、一人でちまちま進めている。

今は自分がつくった服以外、買う気になれないほど自分の腕とセンスに依存している。

まだまだ表現しきれていない。

洋裁パターンの勉強は機会があれば誰かに教わりたい。

まずもってInstagramとstores.jpからゆっくりスタートしている。踏み出さないことには分からないことが多い。

Instagram account: s.p.r.g-sparge

Stores.jp: SPARGE(近日公開)





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