そして、なかむらは家を買った。


だけどやはり、自分の思い通りにならない決定事項が多くて、次第に気持ちがしぼんでいってしまっていることに気づきました。
内装のこと、設備のこと、お金の負担のことなどなど、決して大家さんが悪いわけではありません。
「なかむらの常識が足りていない」ただただこの一言に尽きると思います。
持ち主は大家さんなのだから、設備や内装はもちろん大家さんに決定権があるのです。
だけど『学生寮をやるぞ!!』と前のめりな私は「私の希望が通らない・・・」とどんどん落ち込んでいきます。
こうやって書いて読み直してみると、私の常識外れは度を超えていますね・・・。大家さんからしたらいい迷惑・・・。

内装や設備の工事をしてくれる予定の大家さんと工事終了時期の話をしていた時、「工事がいつ頃終わるかはわかりません」と言われて、学生寮ができるのを待っている高校生や保護者になんと説明したらいいのだろう、と不安な気持ちになり、ふと我にかえります。

「どうしたら、自分の思い描く学生寮ができあがるのだろう?」と考えました。

・・・答えは簡単。

自分の物件ですればいいのです。
なるほど、そうか。賃貸だから最終的に大家さんの希望に沿うような決定が下されるのだ。
自分がその大家さんになれば、自分の思い通りにできるのか!気づくの遅!
後から考えると本当に間抜けだな・・・。

「大家さんになればいいのだ!」と気づいてからはこれまで不動産情報サイトでひやかし程度にしか検索したことがなかった【売買】にチェックを入れて探し始めます。

部屋数が多くて、高校に通いやすくて、なるべく安い物件・・・。

物件Aの大家さんにも家賃や工期などの条件が自分の希望には合わないということを伝えて辞退する旨を連絡しました。
建物が魅力的だっただけに本当に迷いました。
周りの人にも協力してもらい、相談にも乗ってもらって交渉まで漕ぎつけた物件だったのに、自分のわがままというか「条件に合わない」ということだけでお断りしていいのだろうか・・・。
これは私のわがままではないのだろうか・・・。
(普段から散々わがままなくせに、ちゃんと「わがままじゃないだろうか」なんて考えるんですよ。四方八方から「わがままだろ」という声が聞こえてきます。ちゃんとお声届いてますんでね、勘弁してくださ〜い。そしてこれに懲りることなくこれからもわがままでい続けると思います。これからもどうぞよろしくお願いします。)

一丁前に悩んで、迷って、考えあぐねた結果、私は建物を買いました。

築50年だけど、いろいろガタが来てるけど、手を入れれば素敵に蘇りそうな一軒家。

2022年7月15日、私は家を買いました。

佐伯の高校に進学して親元を離れ、勉強や部活を頑張る子たちが居心地よく、愉快に暮らせる環境を作るため、家を買って学生寮を始めます。

その名も・・・

『るんるん寮』

え、バカっぽい?だめかな?
私はめちゃくちゃナイスでベストな命名だと思っているのですが!
ただ、保護者の皆さんには、まだなんかちょっと言えないでいる。
恥ずかしいわけじゃないけど、決して恥ずかしいわけじゃないけど、反対されたりしたら、なんか、「そうですよね」って言わざるを得ないネーミングだな、とも思っている。
肝心の高校生には「寮の名前を『るんるん寮』にしようと思う!どう?』と発表したら思春期特有の苦笑いをいただきました。
ちょっとずつ慣れてこ。大丈夫、すぐ慣れるから。
さんかくワサビも最初はみんな「え?笑」って言ってたけど今じゃ「さんかくワサビの」「さんかくワサビが」「さんかくワサビで」って連呼しまくりですから。
固有名詞として呼ばざるを得ないものの名前が、少しずつ間抜けなものになっていったら、なんだか私が思い描く理想の世界に(一体どんな世界なんだ笑)一歩近づく気がしています。

つづく・・・

よりよいゲストハウスにするために使います。例えば、宿泊のお客さん向けの近隣ごはん屋さんマップを作ってみたり。