SEKIRO:SHADOWS DIE TWICEをまだプレイしていない、世界一幸福な方へ

サンカです。今回のお題は全力で推したいゲームとのことで、今年どハマリした高難易度アクション・SEKIRO(以下隻狼)熱が冷めないうちに書き残さなければと思った次第です。
タイトル通り、「和風でしかも忍者!?やりたい!でもこのゲームみんなが悲鳴上げてるし難しいんだろうな…」と崖際で迷っている貴方を突き落とすのがこの文の狙いです。パッチ(フロム・ソフトウェアのおなじみキャラ。隻狼には不在)のように。
プレイヤーのつぶやきや叫びでは概要が不明瞭、でも動画を見ると楽しみが削がれる、といった悩みに寄り添うべく、極力ネタバレはありません。

隻狼、どんなゲームなの?

最低限のあらすじを説明すると、「時は戦国末期、葦名の国ではぐれ忍び(フリーランス)の『狼』が主を取り戻すため城に潜入」といった感じ。隻腕の狼だから隻狼、左手は義手です。
アクションの方は忍者らしく鈎縄で屋根を飛び移ったり、草むらをしゃがんで進んだり、見つかれば刀で戦ったり、お堀に飛び込んだり。ステルスよりもバトル寄りで、主人公・狼(以下・狼)の動きは軽快かつスタイリッシュで没入感は抜群。後述する戦闘の自由さも相まって、楽しく操作できます。上手く操作できるかは別として。

え?そのくらいなら公式サイトに書いてある?もちろん分かっています。忍者になれるゲーム、ただそれだけではプレイヤーがコントローラーを投げたりしませんし、きっとGOTYだって獲ることはできないでしょう。
なんと言ってもこのゲームはフロム・ソフトウェア製作。当然、難しいのです。

難しい、難しい、楽しい

※ここからは実体験を交えていきます。私はアクションゲームは下手の横好き、ダークソウルは月光蝶を倒したあたりで疲れて辞め、龍が如くは亜門を倒したことがなく、格ゲーはAC北斗のアーケードモードが精一杯くらいの腕です。なお隻狼は5周しており、6周目も終盤です。

狼の生い立ちと舞台となる国についての語りが流れ、チュートリアルエリアと負けイベント(勝つとムービーが少し変わります)が終わり、今回の安全エリア「荒れ寺」を出てからがこのゲームの本番。何人もいる雑兵を忍殺したり、鈎縄で高いところに逃げたりして、開けた場所に降りると中ボスの侍大将に見つかり戦闘になりました。
彼がもう、すごく強い。拾ったばかりの手裏剣もあまり通用せず、弾きもできないままガードしていると体幹が崩れて隙を晒し、そのまま斬殺。
するとムービーが挟まれて初めての回生が発動したのですが、テンパって操作がおろそかになり、あっという間に死んでしまいました。

…プレイも上手くなく、そしてよく分からない用語ばかり。これではただの初死にレポート。
ここから何がどう爽快感につながっていくのかを簡潔に、箇条書きで伝えていきたいと思います。

・忍殺と鈎縄でサクサク進行
高難易度ゲームは敵が多くて、マップも表示されないタイプではどこに逃げたらいいのか分からず律儀に全員相手にしてあえなくやられる…が発生しがち。
でも大丈夫、狼は忍者なのです。忍殺と呼ばれるステルスキルで敵を一撃で倒せるので、ダークソウルのようにいつも真正面から戦う必要はありません。鈎縄で高いところに登って敵の配置を把握したり、ゆっくり進行ルートを探したりできます。
落下忍殺で敵の頭数を減らせますし、見つかっても屋根の上まで逃げてしまえば敵は追って来られません。雑兵もそれなりに強いのがこのゲームですが、なんの問題もありません。強ければ無視すればいいのです。

・死と隣り合わせ、剣戟アクション
隻狼最大の目玉と言えばまさにこれ、多くの人が楽しさに取り憑かれてしまう戦闘。忍者といえど人間、隠れてばかりではいつか見つかってしまいます。
このゲームには装備変更の概念はなく、戦闘は基本的に人型エネミーとの剣戟です。そしてその肝が弾き体幹なのです。この2つは切っても切れない関係にあるので同時に説明します。
弾きとはいわゆるジャストガードであり、タイミングよくガードすると発生。そして体幹とはもう一つの体力ゲージのようなもの。攻撃したり弾きを成功させることで敵のゲージが溜まり、体力ゲージが多いほど早く回復します。回復より早く削ってゲージを満たすと体勢が崩れ忍殺できます。体力に関係なく。
そう、隻狼においては敵の体力を必ず削り切る必要はないのです。逆にこちらの体幹が溜まり切ってしまった場合も体勢が崩れてしまうので、常に敵の真正面に立ち、攻撃し続けてゲージを溜めつつ反撃を弾いていくという危険と隣り合わせかつ攻防一体の剣戟が隻狼のアイデンティティとも言えるでしょう。
これが本当に、本当に楽しいです。これのために何周もプレイしています。
そしてこれは地味なのですが、忍殺という明確なトドメパターンが存在することにより、敵ごとにドラマチックな演出が用意されています。こちらはプレイしてからのお楽しみということで、あえて例は出しません。ぜひ触れていただけたらと思います。
このゲームにスタミナや刀の耐久度などは存在しないため戦闘中に気を取られたりせず、ひたすら純粋に戦えます。また敵には危険攻撃(ガード不能の突きや掴み、弾きもできない下段など)が存在するのでワンパターンにならず、上手く捌いて攻撃チャンスに変える楽しみも存在します。

・侍ではなく忍び
楽しさを伝えようとしただけなのに、なぜか文が長くなってしまいましたね。
では戦闘は刀だけで行うのか?それは違います。道中で入手できる手裏剣や斧、爆竹などのアイテムを義手に仕込んだ「義手忍具」が存在し、手裏剣による遠距離攻撃や斧を振り下ろして盾を破壊、爆竹で目くらましなどが可能です。
狼は忍び、忍びの戦いには卑怯などありません。これらはいわゆる救済措置であり、例えばフロム作品の強敵「犬」などは手裏剣で瞬殺。もはや手を焼くことが難しいレベルです(忍犬を除いて)。
その他にも、複数の体力ゲージを持つ敵はステルス忍殺が有効な場合があります。どうしても2ゲージ分集中力が続かない場合はこっそり後ろから…と、そんな事をしても誰にも責められはしません。なぜなら、忍びだから。
頭が固くなっていては、勝てるものも勝てません。どんな手段を使ってもいいのだ、と自分に言い聞かせることこそが大事なのです。

・リトライが簡単
本作はロードがそこまで長くなく、そしてダークソウルやブラッドボーンのようなチェックポイントへのショートカットを作っていく仕様はほとんどありません。
ではどうなっているのかというと、チェックポイント(鬼仏)がとても細かく作られています。ボスエリアの前にもだいたい置いてあり、ボス戦での試行錯誤もかなり気軽に行えます。
前述の敵から逃げやすい鈎縄システムと合わせて、死んだときの「あぁまたあそこからだよ…長いな…」は、ほとんどありません。
個人的にはここが本当に嬉しかったです。死に続けて疲れが溜まっているときに道中の雑魚にやられた……なんて事態が発生しがちな人間としては、チェックポイントは多ければ多いほどありがたいのです。
そして、ここで大事なのは回生というシステム。これは死んだ時にその場で一度だけ復活できるものであり、もし雑魚戦で囲まれて死んでしまった時も敵が帰っていったあとにしれっと復活、忍び寄って忍殺したりできるのです。回生自体にデメリットはないので、大事をとってチェックポイントに帰り休息(休息することで敵は再配置されるが回生もまた使えるようになる)する慎重プレイも可能。
また回生が存在することで初見のボス戦でも粘りやすく、より動きを観察しやすくなります。ゲーム自体は難しくても、死ぬことがストレスになりにくい仕様なのです。

ディティールとキャラクターとロケーションの魅力

​さて、ここまでは隻狼がアクションゲームとしていかに面白いか、なぜ難しくても楽しめるのかについて語りました。プレイしていただければ後は身体で覚えてもらえると思うので、ゲーム面ではこのあたりで。
ここからは本編のストーリーの魅力を、なるべくネタバレ無しで伝えていきます。むしろここからが本番です。

ええっ!?フロムなのにわかりやすいストーリー!?

ソウルボーンシリーズとの最大の違いはバトルよりむしろここなのではないでしょうか。主人公は「狼」というキャラでキャラメイクは存在しません喋ります
そして、「主を奪われたので葦名城に潜入して取り戻す」という当面の目的のが作中のキャラによって明言されます。なので今作についてはフロム脳の介入余地はあまりありません(ない訳はない)。
考察とかはちょっと…という方も安心、アイテムのテキストでNPCの過去や思惑についてもだいたい理解できる作りになっています。
それが説明しすぎて物足りないなどということはなく、むしろストーリーに深みが生まれている絶妙なバランスなのです。
肝心のシナリオもあっさり気味でありながら破綻や矛盾はなく、ご都合主義は感じません。唐突なバッドエンドですら伏線は描写されており、まるで一本の映画のよう。

魅力のあるキャラたちが織りなすドラマ

亡き義父の掟に従い主を守るはぐれ忍び・、勉強熱心(かわいい)で狼の事を家族同然に信頼する(かわいい)不思議な力を持つ主の少年・九郎様(かわいい)、狼を助ける謎の女性・エマ、九郎の持つ力を利用し葦名の国を守ろうとする当主・葦名弦一郎など、チュートリアルエリアだけでも様々な思惑を持つ人物が登場し、ストーリーを進めるごとに葦名の国の情勢も変化していきます。
本筋とは関係ない人物にも前述のようにアイテムに過去が記載されていることもあり、ルート分岐や探索を進めるほどキャラクターへの理解や感情移入が深まります。私はほとんどのエンディングで泣きます。

絶景とディティールに外れなし

タイトル通りなのですが、ステージは城下の谷、城、深い渓谷、そして山奥の寺院など本当に美しいロケーションばかり。中世ヨーロッパ風、ヴィクトリア建築風とはまた違った和の趣が楽しめます。
鈎縄で高所に登れることもあって、スクリーンショットを撮るのも好きになれるゲームです。
また舞台である葦名城がゲームさんぽで取り上げられた際にも触れられていましたが、徹底的にこだわって作られたオブジェクトは必見。天守はゲームながら圧倒されるような迫力があります。
また、攻撃モーションや義手忍具にもたくさんのこだわりが。特に義手忍具は入手方法も千差万別で、ある物はブラッドボーンの仕掛け武器さながらの動きを見せてくれます。

フロムのホラーは怖い

怪談とは多くを説明しすぎないもの、フロムもまた多くは語らないもの。凝った演出との親和性は抜群で、今作のホラーエピソードや幽霊系の敵、ステージは本当に怖いです。私はとても意志が強く、勇敢なプレイヤーなので8回くらいしか泣きませんでしたが、ホラー演出が苦手な方は注意してください。

最後に

いつのまにか、ネタバレ無しで書ける全てを書いてしまいました。高難易度アクションにいまいちハマらなかった私がここまで好きになれた理由、きっとわかっていただけたと思います。
隻狼を買わずにこの文を読んでいる方は、これからまっさらな状態で隻狼に触れることのできる「世界一幸福な方」です。
それと10月29日には序盤の攻略本が同梱されお求めやすい価格になったGOTY版も発売されますので、ぜひ手に入れていただいて、葦名の国を駆け回ってください。よろしくお願いします。

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