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同じ社宅で貧富の差。彼女と私をわけたもの。

割引あり

こんにちは。本田です。

これは私の実体験を元に脚色を加えた物語です。
登場人物は全て仮名です。


社宅ー…。
そこは『夫が同じ会社』というだけで集められた様々な人間が行き交う魔窟なのです。




①彼女と私を分けたもの 桜子との差

ある春の日に社宅にやってきた桜子さん一家。
こどもの年齢が近く幼稚園も同じだったため、毎日朝晩顔を合わせるようになりました。夫同士の年齢も役職も同じ、桜子さんと私の年齢も1つ違いと共通点が多かったためすぐに仲良くなりました。幼稚園が終わるとそのまま公園で夕方まで過ごす毎日。ママ同士の立ち話は他愛もない話ばかりで、担任の先生が結婚するらしいとかクリスマスプレゼント何にするとか、お互いの生活ぶりを伺い知るほど深い話はうまく避けながら日常会話を楽しんでいました。

桜子さんは物腰が柔らかく穏やかでおしとやか。派手な服を好まず笑う時は静かに笑う。一緒にいると自分も少し優しい声になれる、そんな方でした。

桜子さんとの関係がさらに一歩進んだのは秋のこと。「子どもたちが園の行事で帰りが遅い日に大人だけでお茶をしよう」と誘われた時からです。二つ返事でOKし、場所などは桜子さんにお任せしました。

後日開かれた桜子さんとのお茶会。
会場は某高級ホテルのラウンジ。
ドレスコードありアフタヌーンティーでした。
ふかふかのソファーに執事のような方がアフタヌーンティーの準備をしてくれます。

紅茶と共に運ばれた4段のアフタヌーンティーセットには美しいお菓子たちが煌びやかに並んでいました。

精一杯の背伸びをして内心ドキドキしながら座るソファー。どうやって食べたらいいのか分からない飾りつきのお菓子。結婚式用のドレスをお茶会で着ている私。

桜子さんは決してマウンティングをするタイプではなく、誰とでも分け隔てなく仲良くしている方なので、彼女にとってお茶の誘いは日常の一コマだったのかもしれません。

でもこの時確かに、目に見えない一線が桜子さんとの間にひかれたような気がしました。

桜子さんとはその後も公園で立ち話をする仲でいましたが、1年後に有名お嬢様校へと転園していきました。

後日人づてに聞いた話だと、社宅にいた1年間は新居を建設中だったとのこと。また、彼女は名家のお嬢様で、ご実家のある高級住宅街へと居をうつしたそうです。

桜子との圧倒的な差

超富裕層の実家

逆立ちしても敵わない、圧倒的育ちの差。
もはや嫉妬すらわいてこない。
1年間お近づきになれて良かった、
アフタヌーンティーを経験させてくれた
彼女に感謝しています。


ーーー超えられない壁ーーー




②彼女と私をわけたもの 奈美との差

この社宅の中で一番の古株、奈美さん家族。
ご夫婦とも私よりも年下でしたが、とても明るく気さくで元気な彼女は社宅内でも人気者でした。

奈美さんはとにかくおしゃれが大好きで、ファッションこそが彼女のアイデンティティでした。お互い専業主婦で、夫は同じ会社。地方出身な点も似ていたので仲良くさせてもらっていました。

夫からのお給料をやりくりしながら新しい服を探すのが大好きな彼女は、お得なネットショッピングやユニクロ、しまむらなど身近なお店のセール情報などを教えてくれました。

そんな彼女がある冬、高級ダウンを身につけてきました。どんな安いものでも20万円以上はするメーカーです。「どうしても欲しくて奮発して買っちゃった!」彼女はキラキラと輝く笑顔で私に報告してくれました。

その時私の心に芽生えた感情はなんだったのでしょう。

「いいねー!!!かわいい!!似合う!!」
本当にそう思いました。

でも、家に帰って気がつく心の中の小さな黒いシミ。

(私は別にファッションにそこまで興味ないし。そんな高いダウン気軽に公園には着ていけないから。)

これを嫉妬と言わずなんというのでしょう。
自分の中にこんな嫌な自分がいるなんて、絶対に認めたくありませんでした。

しかしなぜ彼女は突然高級ダウンを購入することができたのか?欲しいもののために他の節約を相当がんばっのか?

しかしその後も奈美さんの持ち物はどんどん高級なものになっていきます。カバンもクツも、子どもの服までも。安売り情報のチェックをやめ、子ども服をメルカリで出すこともやめ、生活費の全てをファッションにつぎ込んでいるようにも見えました。

彼女に何が起きたのか?

それからしばらく経った年末。
同じ社宅内で忘年会が開かれました。
そこで知った奈美家の秘密。

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