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月が泣くとき

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書き溜めた詩を まとめています。
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2024年3月の記事一覧

風化

日没に
冬のおわりを 告げる 匂いが
目前をかすむ

ざわざわと くすぐったいような

包み込むあなたは
とても 柔らかく突き刺す春の日の 風だった

漁港にて

遠く遠くの
大きな大陸の端の
小さな漁港で

わたしは
船に揺られている

うみねこのなく声と
潮騒だけ

船を降りたら

きっとアイスクリームを食べよう
とびきり大きいのを
とびきり甘いのを
とびきり色鮮やかなのを

3つ食べよう

楽しくなるとそれでいいんだ

ときおり 意味を考える

それは
とてつもなく 無意味なこと

無題

ここで
待つしか すべがない

約束は 果たされないことを
私は 知っている

それでも
ここで
待つしか すべがない

心細くて 泣いてしまいたい

いつものように
ひとりだけど

映画のワンシーンみたい

じりじりと つま先が雨に濡れて
冷たくなっても

それでも
ここで
待つしか すべがない

いつものように
ひとりだけど

砂のひとつぶ

あっという間に
指先から
流れていった

わたしは
大地を踏みしめて
誰かの代弁者なのだと
思い込んでいる

あっという間に
指先を伝って
流れていった

ある場所

さかなが はねたときみたいに
何かが 奥ではじけた

左手に持った
コーラの空き缶が重い

私を ある場所へ
私の ある場所へ
生ぬるい風が
吹いている

このままでいいけど
このままではいられない
#詩 #詩を書く#詩作#ポエム

無題

こんなふうに笑ったことなんてなかった
って、あなたは

ありきたりな言葉で
私を まどわせる

遠すぎるあなたは
どんなにそばにいたところで
距離をはからずにいられない私を
さらってゆくことを
いつだってできるからと 
余裕ぶった笑みで
押し返す

さよならを 何度経験すれば 
あなたに 触れられるんだろう
#詩 #詩を書く#詩作#ポエム

沈む

日が長くなって
一日の終わりが 遠いとき

ざわざわする鼓動を
飲みこむでもなく 飲みこんで

臆することなく
意気込むことなく

この 蒼い時間を
過ごせるように
わたしは なりたい
#詩 #詩を書く#詩作#ポエム

青い匂い

苔むした 青い匂いが

近くで 談笑する
見知らぬ初老のあの人を
つかまえようとした

未来は
夢うつつで
柔らかいままだ
#詩 #詩作#詩を書く#ポエム