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大切な人との最後のお別れ。棺には何をいれてあげたいですか?

「故人の好きだった"あの品"を棺に納めて送り出してあげたい!」
「…でも、棺の中って何を入れてもOKなの?」

大切な人の葬儀を迎える際に、このような疑問をお持ちになったことはないですか?

こんにちは、燦ホールディングス note編集部 の祖父江です。
今回は「副葬品」にまつわるお話です。


副葬品とは?

 現在の日本の葬儀では、ご遺体が棺に納められた状態で火葬されることがほとんどです。出棺の前には、棺の中に「故人が好んでいたもの」や「故人が大切にしていたもの」など、故人に対する想いを込めた品々を棺に入れて送り出す風習があり、このときに棺に納める品々を「副葬品」と呼びます。

副葬品の歴史

 副葬品の歴史は非常に古く、確認できる範囲では旧石器時代までさかのぼります。旧石器時代の人々は、死者に道具や食べ物、動物の骨、花などを手向けて埋葬する風習がありました。これは、死者の霊的な旅立ちや来世への影響を信じる考え方に基づいていたと考えられています。

 古代エジプトのファラオたちは、ピラミッドに多くの財宝や副葬品を埋葬し、これらの中には、食べ物、飲み物、宝石、家具、武器、芸術品などが含まれていました。古代エジプトの信仰では「死者は来世での生活を享受するために、これらの物品を必要とする」と信じられていたようです。

 その他の古代文明においても、副葬品を埋葬する行為が確認できており、古代中国では、家族や祖先への尊敬を示すために、食べ物や衣服、道具などが埋葬され、古代ギリシャでは、副葬品は死者の栄誉や名声を象徴し、芸術品や身の回りの品々が埋葬されました。また古代ローマでは、裕福な人々は埋葬される際に財宝や宝石、家具などの副葬品を埋葬することが一般的でした。

副葬品の現在

 話は戻りまして、現在の日本では、副葬品として"故人にまつわる品物"を棺に納めたのちに火葬を行う、という風習が根付いています。

 …とはいえ、何でも自由に棺に納めてよいわけではありません。

 一般的に不燃物に分類されるもの、燃やすと有害物質が出るもの、遺骨や火葬炉を傷つけてしまうもの、破裂の恐れがあるものは棺に入れることはできません。また、故人のお気に入りの洋服を着せてあげたりする場合も、生地やボタンの素材によってはNGとなる場合もあります。


副葬品に適しているもの、よく選ばれているもの

【お花】

 日本の葬儀では、棺にお花を納めることが一般的です。祭壇のお花を切り取って出棺前に納めたり、故人が好きだったお花や、庭やベランダで育てていたお花を用意して入れるようなケースもあります。
 ただし、花の種類によっては、骨に色移りしてしまう可能性もあるため、自ら用意した花を入れるような場合には、事前に葬儀社に確認をしておくと良いでしょう。

出棺前にお花を棺にたくさん入れられることから、
花祭壇を選ばれる方もいらっしゃいます。

【写真】

 写真を入れる場合は、故人が"趣味を楽しんでいる様子"をとらえた写真を選ぶケースが多いです。例えば"ゴルフが好きだった方"は"ゴルフをしている写真を入れる"というような具合です。金属やカーボンでできているゴルフクラブは棺に入れることができないため、その代わりに写真を入れてあげる、といった形となります。

 もし"現在生きている方と一緒に写った写真"を入れるような場合は、写っている方にひとこと断りを入れておくのが望ましいでしょう。その理由は「生きている人の写真を一緒に入れてしまうと、その人もあの世へ呼ばれてしまう」という迷信が一部で信じられており、不快に思われる方もいらっしゃるからです。

ネガフィルムや画像データをお持ちの場合は、
焼き増した写真を用意するのが良いでしょう。

【手紙・折り鶴】

 最近は、故人に宛てた手紙を入れる方も多くなっています。また、封書ではなく、折り紙にメッセージをしたため、折り鶴にして入れるケースも見受けられます。
 遺族や親族以外の方も手紙を入れることはできますが、このような場合はマナーやモラルの観点から、念のため遺族側の了承を得ておくのが良いでしょう。

折り紙にメッセージを書き添えて、折り鶴にするケースも増えています。

【食べ物・お酒】

 故人が好きだった食べ物を入れることも少なくありません。ただし、スイカやメロンのような「中に水分を含む果物」を入れる場合は、丸ごと入れてしまうと破裂する可能性があるので、一切れを半紙などに包んで入れるような工夫が必要です。
 また、お酒を入れることもよくありますが、ガラス瓶やアルミ缶を入れることはできないので、少量を紙コップに移して入れることとなります。

スイカは破裂の恐れがあるのでNGです。
(さすがに”スイカを丸ごと入れよう”と思われる方は数少ないですが…)

【ぬいぐるみ】

 故人が気に入っていたぬいぐるみを棺に入れてあげることも多々あります。大きなぬいぐるみは、燃え残ったり灰が多く出てしまったりするので、小さいものを選ぶと良いでしょう。また、燃えない or 燃えにくい素材でできているものは入れることができません。

人形は大きさや材質によってケースバイケースです。
葬儀社のスタッフに一度ご相談ください。

【本】

 読書が好きだった方には、本を入れる場合があります。薄い本は問題なく入れることができますが、厚い本やビニールでコーティングされている本は入れることができません。

書籍についても、大きさや材質によってケースバイケースです。
葬儀社のスタッフに一度ご相談ください。

一般的に副葬品に適していないもの、棺に入れてはいけないもの

【カーボン、プラスチック、ゴム、金属、ガラスなど】

 燃えないもの、燃やすと有害物質が出るもの、遺骨や火葬炉を傷めてしまうものが該当します。例えばメガネや入れ歯、結婚指輪は基本的に入れることができません

メガネを入れることは、残念ながらNGです。

【破裂の危険性があるもの】

 前述のスイカやメロンのような”中に水分を含む果物”や缶詰、ライター、電池などが該当します。
 ペースメーカーは電池を内蔵していることから破裂の危険性があり、あらかじめ火葬場に申し出ておくことが必要となります。

故人がペースメーカーの植込みをされていた場合は、
葬儀社や火葬場に事前に申し出ておきましょう。

【お金(硬貨・紙幣)】

 貨幣を燃やすことは法律で禁止されているため、金属でできている硬貨はもちろん、紙幣についても入れることはできません。また、江戸時代頃に生まれた「三途の川の渡し賃」として頭陀袋に六文銭を入れる風習については、現在「六文銭を印刷した紙」や「木製の六文銭」を入れることで受け継がれています。

お金を入れることは、法律の側面からもNGです。

判断に迷ったら、葬儀社のスタッフに相談しましょう。

 棺の中に入れても良い副葬品の種別については、自治体や火葬場によってそれぞれルールが異なります。なので「これは大丈夫かな?」「これはダメかな?」と自己判断する前に、葬儀社のスタッフに一度ご相談ください。

もし、思い出の品を棺へ入れることができなくても、

  • 式が終わるまでの間、棺の傍らや会館のロビーにお飾りする

  • 指輪など小さなものであれば、収骨後に骨壺の中へ一緒に納めてあげる

  • "燃える素材"で作成された代替物を、別途用意して納める

…といった対応も可能です。


さいごに

 今回は、葬儀の際に棺に納める「副葬品」についてお話し致しました。

 副葬品は、のこされた方々が故人への想いを捧げるための重要な品ですが、棺の中に入れることが「できるもの・できないもの」が決まっています。
 本日お伝えいたしました、これらの事柄をあらかじめ知っておくと、より心のこもったお別れの準備ができるようになるでしょう。

 以上、何かのご参考になれば幸いです。

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