【71】発熱外来のひっ迫下で、新型コロナ感染を疑う症状が出たら

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 2022年8月10日

経営者・総務人事担当者のみなさま、全国の新型コロナウイルス新規感染者数は20万人/日を超え、昨冬のピークの2倍に達しています。多くの医療機関において発熱外来のひっ迫が生じてきています。従業員が新型コロナウイルス感染症の症状を呈して、医療機関受診が難しい時の対応方法を準備していますか?

1. 課題の背景

新型コロナウイルスは感染力の高いBA.5系統への置き換わりが進み、これまでにない感染者数となっています(第7波)。地域によっては、医療機関がひっ迫し、新型コロナウイルス感染が疑われる症状が出ても受診できない事象も生じています。医療機関を受診せず「自主療養」を呼び掛けている自治体もあります。従業員に新型コロナウイルス感染症の症状が出てた場合、体調の悪い従業員はもとより、医療機関にもできるだけ負荷をかけない柔軟な対応が求められています。

2.企業でできる対策

〇 新型コロナウイルス感染症の症状が出たら、まず休ませる
○ 状況に応じた療養方法を選択できるようにする

1)新型コロナウイルス感染症の症状が出たら、まず休ませる

  • 新型コロナウイルス感染症の症状(発熱・のどの痛み・鼻水・咳・全身のだるさなど)が出た場合は、まず仕事を休んで外出を避け、自宅療養を開始させてください。この際、療養開始時の検査証明を無理に求めないことも大事です。 ただし、以下の2つの場合は、すでに重症または重症化リスクが高いため医療機関受診(オンライン診療を含む)が望まれます
    ①症状が重い(以下のいずれかがあてはまる)
     □水分が飲めない
     □ぐったりして動けない
     □呼吸が苦しい
     □呼吸が速い
     □37.5℃以上の発熱が 4日以上続いている
    ②基礎疾患等がある(以下のいずれかがあてはまる)
     □65歳以上
     □妊娠中(特に後半期)
     □COVID-19ワクチン未接種
     □肥満(BMI≧30)
     □喫煙者(特にヘビースモーカー)
     □糖尿病
     □脂質異常症
     □高血圧
     □悪性腫瘍(がん)
     □慢性呼吸器疾患(COPD等)
     □脳・心血管疾患(脳梗塞、心筋梗塞など)
     □免疫抑制・調整薬の使用
     □固形臓器移植後の免疫不全
     □HIV 感染症

2) 状況に応じた自宅療養方法を選択できるようにする

「まん延期にあり、発熱外来をなかなか受診できない状況下」では、無理に受診を求めず、以下のように状況に応じた自宅療養方法を選択できるようにすることも検討しましょう。
①抗原検査キットが手に入るか(医療用を推奨※)
検査キットの入手方法は以下の方法があります。
・自宅に検査キットを保有している(あらかじめ購入)
・会社で保有している検査キットがあれば自宅に郵送する
・自治体の配布する検査キットを受け取る(住所の自治体HPを確認)

※抗原検査キットには「医療用」と「研究用」があるが、「研究用」は偽陰性(感染しているのに陰性結果が出る)が多い傾向にあり、陽性者登録センターなどでも陽性登録できない自治体が多い。

 上記の方法で、抗原検査キットが手に入らない場合は、1)の重い症状が出現しないか確認しつつ、自宅療養を発症から10日目まで継続します。(療養時の留意事項は、②-a-ii検査陽性、陽性登録の仕組みなし参照)

②抗原検査キットが手に入る場合は自身で検査を行う
a.
抗原検査陽性であった場合
i.検査陽性、住所の自治体で陽性者登録センターなど陽性登録の仕組みがある (「自治体名」「検査陽性」で検索してみる) 以下のメリットがあるため、陽性者登録を勧めましょう。
・My HER-SYSで療養証明書を表示できる
・体調変化時の相談ができる

例)東京都陽性者登録センターの概要図

ii.検査陽性、自治体で陽性登録の仕組みがない
 自宅療養者用フォローアップセンターまたは医療機関が窓口となりますので、電話で相談するよう勧めましょう。また、以下二点の情報提供も大事です。
□1)の重い症状が出現した場合は、医療機関へ連絡することを情報提供する。
□関連情報4)療養時における留意点、 5)自宅療養者向けハンドブックについても情報提供する。

b.検査陰性であった場合
 自宅での検査結果が「陰性」になった場合も、新型コロナウイルスの感染を完全には否定できないため、体調が良くなるまでは自宅で療養させることが大事です。

③検査キットが手に入らない場合(再掲)
1)の重い症状が出現しないか確認しつつ、自宅療養を発症からにしましょう。(療養時の留意事項は、②aii 10日目まで継続するよう検査陽性、陽性登録の仕組みなし参照)

3.関連情報リンク・参考情報

1)決定(令和:病床、診療・検査医療機関のひっ迫回避に向けた対応策本部4年7月29日)新型コロナウイルス感染症対https://corona.go.jp/omicron_ba5/pdf/omicron_ba5_kaihinimuketataiou_20220729.p df

2) 国民の皆さまへ 限りある医療資源を有効活用するための医療機関受診及び救急車利用に関する4学会声明 https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_4seimei_22 0803.pdf

3) 東京都陽性者登録センター https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/shien/y ouseitouroku.html

4) 新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養・自宅療養における健康観察における留意点について https://www.mhlw.go.jp/content/000625758.pdf

5) 自宅療養者向けハンドブック(東京都福祉保健局)https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/shien/zit akuryouyouhandbook.files/zitakuryouyouhandbook02.pdf

文責:守田 祐作(産業医科大学 健康開発科学)

※本文章は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)で作成しました。和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けております。 今後も経営者・総務担当者向けに必要な感染拡大防止策情報を随時配信させて頂きます。本情報は著作権フリーですので、ぜひお知り合いの経営者に拡散をお願いします。 ※本内容に関するご意見・ご要望は、covid-19@ohsupports.comまでお寄せください。 ※これまでに配信しましたバックナンバーは、http://www.oh-supports.com/corona.htmlをご参照ください。

※動画も配信しております。下記サイトをご参照ください。


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