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戦う人

先月、行きつけの新宿の飲み屋で人生の先輩と思っている歳上の友人に
"いつも何かと戦ってる人"
と言われた。

その時は店内でカラオケしててある売れてるシンガーソングライターの話になって、
僕が以前からその人のことがどうにも好きになれないことを公言しているので、
それって嫉妬から来る対抗意識じゃん?
的な感じの内容からだったと思うけど、

その先輩にはこれまで会う度(といっても同じ飲み屋でたまに居合わせるだけだが)悩んでる姿を見せているので、いろいろ含みがあるのだろうと勝手に解釈した。


以前にも別の友人、彼は歳下だけどとても達観していて頭がキレる素敵な人だ、と一度だけサシ飲みした時に、
"そんなに戦えないですよ、みんな"
みたいなことを言われた。

その時はまだ家業に入ったばかりの頃でこれからのこととか酔いに任せてあれこれ愚痴混じりに話していたような気がする。
正直何を話していたかはあまり覚えていないが、彼が言ったこの言葉だけがやけに頭に残った。


自分ではそんなつもりはなくて、
むしろ戦えないから押しつぶされそうなことの方が多いように思っているのだけど、
どうやら十分戦っているらしい。

というか、常にファイティングポーズで正面突破しようとしてるから潰されるのか。
それならわかるなぁ。なんとなく。


一昨日、初めて心療内科に行った。



もともと眠りが浅く、夢もバキバキに見るのだが、流石にヤバいなと自覚できるくらいの悪夢が続いたことと、
心の片隅にある希死念慮的なものがちょっとウズウズしてて怖くなったので、
前から気になっていたクリニックを受診した。

診察は15分ほどで終わった。

椅子に座った途端に畳み掛けるように質問され、あまりにもあっさり結論を出され、睡眠系の薬を処方してもらい、駆け抜けるように終わった。

問診票にできるだけ詳細な経緯を書いたからなのか、いや、そもそもあの先生は常にそうなんだと思う。

人に聞かずとも原因は自分でわかっている。
わかっているのだけどどうにも動き出せなくて、
そうこうしてる間にちょっと心身が疲れてしまったのだろう。
だからいざ当日になったら、実は何を診てもらうのか困ってしまったところだった。

せっかくお金払ったし良い風に解釈すれば、先生はその辺のことを見抜いていて速攻で簡潔な答えを言ってきたんだと思う。(決して手抜きではないと言い聞かす)

診察の終わりには、
"こんな環境にいたらそりゃそうなるよ"
と言われた。


"こんな環境"に丸5年。
やはり戦ってるんだろうな。常に。



恋人とたまに言い合いになる。

言い合いというか、大概が僕が発言したことに対して、痛いところをガンガン向こうが付いてくるという攻防戦。


この前は一緒に行ったあるアーティストのライブ終わりに立ち寄った美味しい鰻屋でのこと。

のっけからパフォーマンスに神々しさすら感じ、えらく感銘受けまくっていたのだけど、MC中の彼の挙動をファンが嘲笑しているように感じてしまった場面が何度かあって、
その違和感をポロッと話したところ、

"そもそもそのアーティストとファンの関係性が前からあるのにそれを知らない、初めて観た俄かファンが何バカにしてるんだ"

といった要旨の返答をされた。

もうこっから先はあまり記憶にないがいくつかやり取りしたものの、結局なし崩し的にその場は終わり、モヤモヤだけが残ったので、
そこから近くのホルモン屋に梯子して飲み直して仲直りするという着地。

この飲み直せるようになったこと、昔だったら僕がおそらくその場を飛び出して帰っていたので(実際そういうことが何度もあった)、僕らとしてはものすごい進歩なのだ。

そんなことはどうでもよくて、
大抵火種は僕の方から蒔いているということ。


振り返るとその火種を自分に放って燃してしまいたい気分になるが、
ここでもファイティングポーズで仕掛けているのである。
そんなつもりはない、という言葉は最近大嫌いなので使わない。
意識無意識関係なく仕掛けてるのだ事実。

戦うような環境にいるから、いつの間にか好戦的になったのか、
いやもともと好戦基質があるから、そういう環境に置かれた時に無条件に戦えてしまうのか



こうやって綴ってみると、
要は、戦ってる自分が結構好きなんだと思う。
戦えなくなった自分が嫌、というか。


ただ戦い方はもう少し学ばないと、
変な大人になっちゃうぞっ。


あ、やっべぇもう十分大人だったっ。



べべんべん。


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