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はじまりは産後から。産後は女性と家族のアイデンティティが変化します。

産後うつ、産後クライシス・・・。子どもの誕生という喜ばしさとは裏腹に、統計的には結婚・出産はストレスの高い出来事でもあります。

近年は、コロナ禍でこれまで身内のことだからと隠されてきた家庭環境のうみが明るみに出てきたこともあり、社会的な注目度も以前より高まってきました。

当相談室にも、子どもがずいぶん大きくなってから、にっちもさっちもいかなくなった方がご相談にいらっしゃいます。

産後ガルガル期といわれるように、産後は女性ホルモンのオキシトシンが子どもへの愛情を深めるとともに、パートナーである男性を敵対化しやすいことは、医学の進展とともに知られるところとなりました。

この時期を乗り越えていくパートナーシップがある方もいますが、なかなかそう簡単にはいかないことも多くあります。

それは、パートナーシップの力が足りないとか、親として駄目だとかいうのではなく、単に、産後におとずれるさまざまなことを知らないというだけの話でもあります。

夫婦という二者関係から、親と子という三者関係に家族が変化するということは、思いの外、大きな出来事なのです。

「自分が期待した通りに相手がやってくれない」のは当たり前であって、大切なことは、自分が「何を期待しているのか」を言葉にして伝えることです。

このように書くと、ごく簡単なことに思えるのですが、言葉にせずに忖度し続けていると、とんでもなくこじれてしまうケースもあります。ここまで来ると、それぞれが相手に投影しているものがいわば「妖怪化」していることもあります。

それを、ひとつひとつ紐解いていくのはたいへん時間のかかることですし、We(わたしたち)としてのつながりを再構築することが困難なケースもあります。なるべく早く、「助けて」を言えることが大切です。

「助けて」というのは相手を責めることではなくて、「自分ひとりではできない」という限界を知ることでもあります。実はこのこと自体が、大きな一歩でもあります。

それは、自分には力がないとか、何かが足りないとか、そういうマイナスなことではありません。むしろ、自分には何ができるのかを知ることでもあります。こうして、自分自身の境界設定ができてくると、関係が改善してきます。

日本では、家族の問題は「身内のこと」として外に知られるのは恥ずかしいこととされてきました。けれども、心理・医療・法律・ファイナンスなど、あらゆる専門領域に、実は家族の問題が深く関わっています。

「どうにかできる」とひとりでがんばらずに、心と関係の交通整理にもカウンセリングをご利用ください。

当相談室は、女性の産後を応援しています。

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