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こころはどのようにして育まれていくものなのか

精神科医の小林隆児さんは、「関係」から自閉症や発達障害について診療にあたっている方です。

「こころ」が育まれるときには、重要な養育者とのあいだで繰り広げられる成り込みと映し返しが大切だと述べています。

小林先生は、「こころ」は「関係」を通して初めて育まれていくものだと言います。

また、「おとなの発達障碍の謎を解く鍵は、乳幼児早期の親子関係にある」と言っています。

こんな風に言うと、「すべての原因を母親に押し付けるということ?」と捉えてしまう方もいるかもしれません。

確かに、重要な養育者との関係は人間のこころの基盤を形成するうえでとても大切であるということは、D.W.ウィニコットばかりでなく、多くの精神分析家が明らかにしているところです。

けれども、世の中が今日の少子高齢社会や虐待の現状を鑑みて、「社会で子どもを育てる」というとき、まず何より大切なのは、「自分の目の前の人の話を調律をとりながら聴く」ということだと思うのです。

それをどこかの段階で得ることができれば、人のこころは育まれていくように思います。

けれども、ミヒャエル・エンデの『モモ』を引き合いに出すまでもなく、灰色の男に魂を盗まれてしまったかのような人たちには、「他者の話を聴く」時間はちっともないかのようです。

そして、精神分析的心理療法が提供しているのは、この、「時間」と「関係」であるのではないかと思うことがあるのです。





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