短時間で遊べるノベルゲームの紹介

https://adventar.org/calendars/7773

 この記事は、慶應理工アドベントカレンダー2022の11日目の記事です。
 10日目の記事はこちら ChatGPTで面接対策をするのは面白いと思いました。


 本記事ではWindowsPCで遊ぶことの出来るノベルゲームの内、短時間でプレイが可能なものをいくつか紹介したいと思います。これらのゲームは全てWindows10もしくはWindows11にて動作確認をしています。

 昨年の記事はこちらです。昨年の記事では個人的に面白いと思ったノベルゲームを5つほど紹介しており、プレイにかかる時間が長いものが多いですが、本記事では短時間で遊べるノベルゲームを紹介します。

注意事項 
 本記事で紹介するノベルゲームは全て全年齢対象(一部R18版が存在するものも含む)です。
 本記事には(面白さを削ぐような)ネタバレを含みません。(ただし、感想や雰囲気を述べるのに必要な最低限のネタバレはあります)
 プレイ時間は全エンディングを回収するのにかかる時間の目安となっています。

LoveChoice 択愛

プレイ時間2時間程度/定価235円
購入はこちらから可能です。

概要
 
本作は「ラブゲーム」、「愛 距離」、「愛 探偵」の独立した3つのストーリーから構成されています。それぞれの話でストーリーを読み選択をしていくことによって物語が変化します。

感想
 これらの作品では愛に関する物語となっています。主人公が大切な人と適切にコミュニケーションをとっていき、うまく関係を構築することが主に本作品の目標です。
 本作の魅力として、ギミックが面白いということが挙げられます。どのようなギミックかはネタバレになってしまうのでここには記述しませんが、ノベルゲームならではのギミックであると感じました。
 個人的に最も面白いと感じたのは2つ目の「愛 距離」であり、1つ目のストーリーのエンディングを2種類以上見ないと選択できないようになっているのですが(少なくとも筆者がプレイしたときはそうだった)、1つ目のストーリーで用いたギミックを有効活用していて面白いと思いました。

A YEAR OF SPRINGS

プレイ時間1.5時間程度/定価580円
購入はこちらから可能です。

概要
 
本作は「one night, hot springs」、「last day of spring」、「spring leaves no flowers」の連続した3つのストーリーから構成されています。それぞれの話でストーリーを読み選択をしていくことによって物語が変化します。
 なお、1作目である「one night, hot springs」に関しては無料でプレイ出来るので気になる方はこちらから入手してください。1作目だけであれば全エンディング回収にかかる時間は30分程度となっています。

感想
 これらの作品では性自認(自分がどの性に属するかという感覚)および性的指向(自分がどの性を恋愛的な意味で好きになるか、どの性に性的な魅力を感じるか)をテーマとしています。1作目では、トランスジェンダー女性(出生時に割り当てられた性別は男性であるが性自認が女性であるトランスジェンダー)の鈴木ハルが友人と温泉に行く話となっています。2作目では、ハルの友人である永田エリカがハルのためにスパ旅行を企画する話となっています。3作目ではハルの友人である立花愛美が前2作の友人や彼氏と遊ぶという話になっています。
 本作はいわゆるLGBTQ+に関連するストーリーとなっているのですが、これらの知識があまりない人でも楽しめる作品となっていると思います。このゲーム自体の雰囲気はポップでかわいらしいのですが、物語には性質上一部重めな部分もあります。しかしながら、その部分も含めて個人的には非常に面白いと思いました。

Narcissu 10th Anniversary Anthology Project

プレイ時間15時間程度/定価 本体298円+シーズンパス2980円
購入はこちらから可能です。

概要
 
本作はナルキッソスの10周年記念版となっており、「ナルキッソス1」、「ナルキッソス2」、「ナルキッソス2姫子アフター」、「ナルキッソス小さなイリス」、「ナルキッソスゼロ」、「ナルキッソスすみれ」から構成されています。「ナルキッソス小さなイリス」だけ世界観が異なりますが、それ以外は全て共通の世界観となっています。時系列は「ナルキッソスゼロ」→「ナルキッソス2」→「ナルキッソス2姫子アフター」→「ナルキッソスすみれ」→「ナルキッソス1」の順番となっています。一番新しい「ナルキッソス1」でも2005年が舞台となっています。
 「ナルキッソス小さなイリス」、「ナルキッソスゼロ」、「ナルキッソスすみれ」を遊ぶためには本体のほかにシーズンパスが必要となっています。また、昨年の記事では無料版である「ナルキッソス1」「ナルキッソス2」を紹介したので気になる方は昨年の記事をご覧ください。無料版の入手はこちらから可能です。
 すなわち、
無料版:「ナルキッソス1」「ナルキッソス2」
有料版本体:「ナルキッソス1」、「ナルキッソス2」、「ナルキッソス2姫子アフター」
有料版シーズンパス:「ナルキッソス小さなイリス」、「ナルキッソスゼロ」、「ナルキッソスすみれ」
 のようになっています。
 本作は全てプレイすると15時間程度かかってしまうのですが、1つ1つのストーリーは数時間程度でプレイできるので本記事で紹介することにしました。

感想
 昨年の記事でも紹介した通り、本作は非常に重い話となっています。無料版の部分は昨年の記事で紹介したので、有料部分について説明します。まず、「ナルキッソス小さなイリス」だけは中世ヨーロッパが舞台となっていて、このストーリーはあまり本筋には関係がないので説明を省きます。ナルキッソスの舞台は、7階と呼ばれる病院のホスピスとなっており、そこの患者やヘルパーが主な登場人物となっています。「ナルキッソス2 姫子アフター」ではナルキッソス2の患者姫子の最期に関するストーリーとなっています。「ナルキッソスゼロ」ではホスピスの設立のきっかけなどについてのストーリーとなっています。「ナルキッソス すみれ」では長らく引きこもっていた少女すみれが突如7階に行くことになり、そこでの生活に関するストーリーとなっています。
 これらのストーリーは選択肢がなく一本道となっていて、基本的には救いのない話となっています。そのため、好みが分かれる作品かもしれません。しかしながら、本作品の購入ページを見て興味をもったなら、まずは無料版の部分だけでも良いのでプレイしてみるとよいでしょう。なお、本作品のシーズンパスにはサウンドトラックもついてくるので、そちらもシーズンパスを購入した方は聞いてみるとよいでしょう。筆者の個人的な感想にはなりますが、本作品の楽曲には聞いていて気持ちのよい曲が多いと思いました。

少女と罪 栞編 ~jalouse~

プレイ時間1.5時間程度(全オートで3時間程度)/定価 980円(DVD版)
公式サイトはこちらになります。

概要
 
本作品は個人で作られたフルボイスの純文学風百合ビジュアルノベルゲーム(フルボイス純愛百合ADV)となっており、地の文にも音声が割り当てられています。購入方法は複数存在するので、上記の公式サイトから好きな媒体で購入してください。
 なお、R18版もあるので気になる方はそちらをプレイしてみるのもよいでしょう。

注意全年齢版でも軽めの性描写があるので苦手な方はご注意ください。

感想
 本作は全寮制の女学院を舞台としており、「教会のマリア様にお願いをすると何でも一つ願いが叶う代わりに何か一つ大切なものを失う」という言い伝えがあります。そこで、主人公の草壁 栞は同室で暮らす茅ヶ崎 美姫と親しくなります。そして、2人の関係に重きをおかれて物語が始まります。
 本作品の特徴として、ノベルゲームでは通常音声が割り当てられることのない地の文にも音声が割り当てられているという点があります。そのため、主人公の内心の描写などを思い浮かべやすく、そのあたりが面白いと思いました。本作品は個人製作なのですが、個人製作でこのクオリティはすごいと個人的には思いました。
 本作品はシリーズの1作目ということなので、筆者は2作目が出るのを楽しみにしています。(個人製作なのでなかなか製作が難しいかもしれませんが)

ことのはアムリラート/いつかのメモラージョ

ことのはアムリラート:プレイ時間6時間程度/定価3800円
いつかのメモラージョ:プレイ時間6時間程度/定価2800円
公式サイトはこちら

概要
 これらの作品はエスペラント語をテーマとした作品で、ことのはアムリラートでは、主人公である女子高生の凜(リン)が異世界に迷いこんでしまい、そこでは日本語が通用せず、ユリアーモ(エスペラント語が元になっている)という言語が公用語となっています。途方に暮れていたところ、そこで出会った少女ルカと共同生活を送るという作品になっています。
 いつかのメモラージョはことのはアムリラートの続きとなっており、ルカの過去などについても触れられています。

感想
 この作品は純百合アドベンチャーというジャンルに属するのですが、百合というよりも家族愛に近いかなと個人的には思いました。(これに関してですが、そもそも百合の定義とはみたいな話みたいになりそうなので言及は避けます。)濃厚な性的描写などはないため百合と聞いて抵抗感のある方でも楽しめると思います。
 本作品では、エスペラント語が登場するのですが、最初は何を言っているのかわからない部分でもゲームを進めていくとわかるようになってきます。また、ゲームをクリアすると、エスペラント語の訳を表示できるようになるので、分からなかったところはそれで確認することができます。
 本作品の見どころとして、声優のエスペラント語の発音の良さもあげられます。最初プレイしたときにエスペラント語の不自然さのなさに驚きました。いつかのメモラージョのEDテーマがYouTubeで無料公開されているのですが、発音が滑らかですごいと思いました。(こちらから聴けます)
 また、エスペラント語の部分に関してですが、日本エスペラント協会の監修を受けているようで、結構しっかりとしているのだと思いました。そのため、エスペラント語に興味のある方も楽しめると思います。

BAD END THEATER

プレイ時間2時間程度/定価1010円
購入はこちらから可能です。

概要
 
本作は4人の主人公「勇者」、「少女」、「悪魔」、「魔王」がおり、それぞれのキャラクターを操作することでTrue Endを見るのが目標となっています。エンディング数は42種類あり、そのほとんどがタイトルの通りBad Endとなっています。

感想
 本作品では主人公が4人いてそれらのキャラクターを操作することで、物語が変化します。どういうことかはプレイをしてみれば分かるのですが、例えば「あるエンディングを見るためには勇者はOO、少女はXXの選択をとる必要があるから…」のように考えてキャラクターを動かす必要があります。すなわち、このゲームはパズル的な要素を含むということです。そのため、パズルが好きな人(論理的に組み合わせて何かするのが好きな人)にはお勧めします。
 1ENDあたり数分で完了するのでエンディングを回収していき、次はどのキャラクターを動かすかを考えるかのが本作品の面白いところだと思いました。

少女は裏山へ薬草をとりに

プレイ時間1~3時間程度/無料
プレイはこちらから可能です。

概要
 
本作はタイトルの通り少女が裏山へ薬草を取りにいくゲームです。主人公には病気の妹がいるのですが、180分以内に妹に薬を飲ませないと妹は死んでしまいます。そこで主人公は妹のために裏山にある薬草をとって妹に飲ませようとするのですが、裏山には熊がいるのでした。
 本作のジャンルはRPGに属するのでノベルゲームではないのですが、短時間でプレイ出来ること、RPGというよりもストーリー要素がついたパズルゲームのような感じであるので、本記事で紹介します。
 なお、本作品を遊ぶためには RPGツクールVX RTPが必要です。

感想
 本作品では裏山に行って薬草を取って帰ってくるというだけの話で、1プレイあたり5分程度で終わります。また、RPGの定番である戦闘も1回しかありません。しかしながら、True Endを見るためにはそれなりに試行錯誤する必要があります。何故かというと時間制限があるからです。仲間を呼ぶために時間はかかるため仲間は誰を呼ぶか、武器は何を使うか、どの技を使うかなどをいろいろと考える必要があります。
 筆者はTrue End到達までに2時間程度かかりましたが、True Endを見たときには達成感を感じました。上手いことゲームバランスが考えられていてそれなりに頭を使いました。本作品は「2017 裏山薬草ゲームフェス」という「最大でも、町1つ&ダンジョン1つ&ボス戦1回」という制限の中で作られた作品なのですが、知名度の割にかなり面白かったので興味を持ったならプレイをしてみましょう。

まとめ

 これら7つの作品を紹介しました。Steamで購入可能な作品についてはウィンターセールなどのセール時に買うと安い値段で買うことができます。興味がある作品があったらセール時に買ってみてもいいでしょう。
 なお、一部の作品はPC以外で遊べるため、気になる方は各自調べてください。

余談

 余談ですが、昨年の記事で紹介した「ATRI -My Dear Moments-」がアニメ化決定したようです。公式サイトはこちらから確認できます。以前フロントウィングが作成したノベルゲーム作品「ISLAND」も以前アニメ化したのですが、かなり詰め込んでしまっていて原作の面白いところが生かしきれていないと感じてしまいました。それは原作が40時間程度の長さがあるのに対して12話で強引にまとめようとしてしまったからだと思います。ATRI -My Dear Moments-に関しては原作が10時間程度の長さなのでアニメ化するとちょうどいい感じになるのではないかなと思います。むしろアニメオリジナル話とかを入れてちょうどいいくらいでしょうか?筆者としては主人公の声優がどんな感じになるのかが気になりますがアニメ化を楽しみにしています。
 それと、本アドベントカレンダーの4日目の記事(これ)で聖地巡礼の話があったのですが、ATRI -My Dear Moments-の聖地がどこなのか気になっていて、軽く調べてみた感じだと確定的な場所は現時点では判明していないようです。個人的にはEDENの聖地が結構気になってます。(EDENはATRI -My Dear Moments-に登場する場所なので未プレイの方はプレイしてみてください。)
 ちなみにISLANDはこちらから購入できます。

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