賭けに負けた
今日、賭けに負けた。
いくつか勝算はあったはずなのだ。
経験がものを言うが、それだって素人じゃないはずだった。
さかのぼって考えると、それは10:00ごろから始まっていた。
まずは、家から出るところから。
ルーティーンが大事だと五郎丸がいっていたが、雨あがりのどんよりとした雲をみたのに、これから降るのか、降らないのか思案しながら、洗濯物を干し、セーターを手洗いしてしまったからいけなかった。
ポタポタと垂れる滴。ベランダに干すしかなく、それが鉄製の板にあたって音を奏でると、彼女がやって来て、手を伸ばした。
そういう意味では、賭けにかったとも言える。
雨は降らず、日中日差しまででて、なんとかセーターを乾かすことはできたのだから。
「虹を探しに行こう!」
彼女はもう一度着替えて、靴を履く。さて、こんな雨上がりには、もしかしたら虹が出ているかもと、ワクワクしながら二人で自転車にのり、外へ繰り出す。
虹は残念ながら見つけられなかったけれど、ショッピングに、雨上がりのきらきらした公園、わずかな時間でも彼女の笑顔が眩しい。
14:00帰り道。
ここで、分岐があった。
スーパーによるか、帰るか。賭けに出た。
彼女が「がんばれる」というので、スーパーによる。
帰ってきて15:00まえ。
余裕はある。おやつを食べて、お風呂をわかす。ご飯が先?お風呂が先?それとも……なんて言葉が浮かぶが、ここはお風呂が先でしょう。
ご飯も手早く準備して、彼女を見ると、ものすごく楽しそうにテレビを見ていた。聞くと、やはりお風呂に入らないという。
テレビが敗因のひとつかもしれない。彼女の好きなテレビがなかなか終わらない。
お風呂にと何度か誘うが、彼女が、「それとも……」の方を選ぼうとし始めたので、慌てて夕食にする。彼女はいつも美味しそうに食べるので、彼女の食事を見るのは好きだ。
ふと、おもむろに彼女が立ち上がる。
やばい。
これは、まずい。
彼女が有無を言わさず私の膝に体をねじ込み、抱かれ、そして目を閉じ始めた………
……すぅーっと、眠りの世界に入っていった。
そのとき、私は時計をみて、確信したのだった。賭けに負けたのだと。
たったいま、お昼寝なし2歳児が、限界を迎えられました。
17:00。
夕飯は少し食べたけど、お風呂に入っていない。
夜中1:00くらいに覚醒するやもしれぬ恐怖を抱えて……
完全に、母の敗北である。
早めのお昼寝→9:00頃就寝が理想スケジュール。
お昼寝なし→早めお風呂→早めご飯7時頃就寝で、朝までコースが、ゴールデンタイムスケジュール。
賭けに負けると、不機嫌と父母の疲労負債がもれなくついてくる。
そして、急な上に謎のボーナスタイムの始まりでもあるので、これから久々にゆっくりお風呂に入ってこようかと思う……。お湯の流れる音って、どうしてこんなにも泣き声に聞こえるのだろう。私だけだろうか。もしやと思って気が気じゃない。
今夜は早く寝よう。
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