コロナリストラに遭ったょ☆その③「陳さんの奇行」

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その①では解雇宣告を、その②では陳さんについてお伝えしました
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こんな「いいひと」陳さん、我々が解雇通告を受けた直後、

私はてっきり「三月ちゃん、こんなことになるなんてね!泣泣」等とみんなの心配をしてくれると思っていた。

しかし私を見て最初に放った一言が、なんと、
「三月ちゃん、私はどうなるの?」であった。

はい?????

「私はどうなるの?」

って、いやあんたは残るんでしょう?残留組やん。

「ねぇ、三月ちゃんがいなくなったら、三月ちゃんの仕事私がするってこと?私のお給料はどうなるの?(=お給料増えないの?)

…こいつ、まさかこの期に及んで自分の心配だけしている?(口が悪くてスミマセン)自分はクビを免れたのに?

私は心底「引いた」。

普通一緒に頑張ってきた仲間がみんなクビになったら、憤りを感じるとか、仲間の心配するとか、それが普通じゃないか?

それなのに、この人は自分の心配だけをしている。

こういう時、人間性が出るのね~~~~~~。私は感心した。

とりあえず「5日後までということなんで、それまでに引き継ぎの準備しますね」と答えると、
「ねぇ、営業なら、フリーでやってインセンティブもらえるって言ってたよね。三月ちゃんもそうしたらいいじゃない」と言い出した。

私が営業になると彼女にとっては大量の引継ぎ作業はまぬがれ、今後も私に事務作業をやらせれるという魂胆が丸見えの発言である。

気の強い私はもちろん言い返した。

「私が営業をやるとしても、事務の仕事はもうできないので、すべて引き継ぎますね」と。

この時彼女は「三月ちゃんはきっと営業として残ってくれる」という淡い期待を抱いたのか、はたまた自分の今後の仕事量を考えて頭がパニックになったのか、その次に出た発言がまたホラーであった。

「そういえば今日は営業Bさんの誕生日。みんなで以前行った中華料理屋に行ってお祝いしましょう^^♪」

………その場にいた全員(営業3人+私)が凍り付いた。

5分前に、解雇通知されて、何が「お祝い」や?むしろ、何の「お祝い」だっけ?ああ、誕生日か…てか、めでたいの?それ?とすら思えてくる状況。

私は丁重にお断りした。

だって、参加者5名のうち、一人だけクビがつながった人で、その他4名は全員クビ。何を、会話するのか?てか、Bさん、誕生日にクビ宣告って、不幸すぎるだろう。

解雇通知がなくとも、すでに大阪は緊急事態宣言が出ていて、会社側も外出は控えるようにと言っていたし、中華料理って、大皿をみんなでつつくし、絶対行けない場所であることはみんなが分かっていた。

しかも、陳さんはもともと新型ウィルスに超敏感で、まだ日本人がのほほんと過ごしていた2月初旬から、消毒用アルコールの購入を指示し、私にも「これからお米とかの買いだめが始まるから、備蓄できるもの買っておいた方がいいよ」とか、中国から届いた郵便物はアルコール消毒するとかを始めていた。そんだけ敏感な陳さん、なぜ、緊急事態宣言が出始めた今、「誕生日のお祝い」をしようとしたのか、本当におかしくなったとしか思えなかった。

しかも、私は参加を断ったにも関わらず、何度もしつこく誘ってきて、その自己中な態度に私はカチーンとき、ついにブチ切れた。

「Bさんに何をお祝いするんですか?こんな状況で何をお祝いするっていうんですか?!もし感染したらBさんどうなるんですか?Bさんが死ぬことをお祝いするんですか!?」と中国語で言い放った。

中国語が分からないDくんを除き全員が「ドン引き」したのが分かったが、とりあえずそれでひとまずこの「お祝いしようよ~~~~」攻撃はおさまった。

しかし「いいひとのふりをするのに忙しい」陳さん、その後も誕生日祝いの信念はおとろえることなく、翌日、休みの私に対し、「ねぇ三月ちゃん今どこにいる?今日みんなでBさんのお祝いしに中華料理屋さんに行こうとしてるんだけど、どうかな~?」とメールしてきた。

あきれてモノも言えねぇ。

私は「行けません。」とだけ返したが、
「お祝いはしなきゃ!」という人を苛立たせる魔法のような言葉が返ってきた。
私はすぐさま「私はもうお祝いはしました(クビ宣告の前に私はクッキーをあげていたのだ)。そしてお祝いとは一緒にご飯を食べに行くこと以外でもできると思います」と返答した。

その後どのようなやり取りがあったのか覚えていないし思い出したくもないが、私は人間とは、ここまで変われるものかと思った。
そして誰かにこのことを話さずにはいられなくなった!!!!!!!

ここに、頭のおかしい人が、いますよ~!!!!!と。

引き継ぎのために会社に行っていた際、またもや耳を疑う発言があった。「あのねぇ三月ちゃん、営業のDくんが、事務手伝ってくれるらしいの」

…Dくん、正気か?

Dくんは優秀な人間である。誰も教えてくれる人がいない中、一軒一軒自宅訪問し営業活動をしていた。愚痴一つこぼさない。
しかし彼もまたリストラの被害者であり、今後営業をフリーでやるとしても基本給などはないのである。

だから事務を手伝うって、ボランティアですよ、ボランティア。

その状況をわかって、それでなお「事務手伝ってくれるらしいの♡」と言えるのか?

なーんも情況分かってねーなー…まぁどうでもいいけど…

そんなとき、事務所にまた経理のおばちゃんと2人になった。
私は思わず緊急会議後の陳さんの奇行についておばちゃんにマシンガントークをした。
おばちゃんは笑いながら冷静に私に言ってくれた。
「陳さんてね、本当にそういう人なの。自分の仕事を減らすためなら何でもするのよ。もし今回陳さんがリストラ対象やったら、社長に絶対抗議してたわね。」

そう言われて私は初めてわかった。

陳さんの「いいひと」は自分がラクをするための防御であり、すべては「自分のため」であるということを。

それでも陳さんは「明日のある人」で、私たちは「明日のない人」に変わりはない。

そこに何の不満もないし、むしろこの変な会社を辞めれてラッキーとまで思ったが、私にできることは、ありとあらゆる仕事を一つも漏らさず陳さんに引き継ぐことで、さらに陳さんに「これは私引き継がれてません」と言わせないことであった。
そのため私は全引き継ぎ内容をExcelに起こし、どんだけ小さいどうでもいいようなことも引き継ぎ事項として丁寧に説明し引き継いだ。
そしてそのExcelを陳さんだけでなく、経理のおばちゃんと社長に渡した。そんなExcel貰ってませんと言われるのを防ぐためだ。

引き継ぎ時にはなぜか営業Dくんも同席し、二人に対し説明したが、Dくんにすべてを押し付けたい陳さん、途中から集中力が途切れたのかせんべいを食べ出していた。

Dくんもこれにはドン引き…

Dくんには「営業として必要になることだけ手伝えばいい。それ以外はちゃんと断るんだよ」とだけアドバイス?しておいた。(利口なDくんはきっと分かってるであろうが。)
そんなDくんは陳さんの奇行を目の当たりにしたとき、「陳さんは一人だけ頭にお花畑が咲いていますね~」と言っていた。その通りである。

これがコロナリストラに関する一部始終である。
その後この会社の内部がどうなっているのか私はあまり知らない。
私の最終出勤日は社長もおり、最後はなぜか同じく解雇になった営業さんたちも含め全員で見送ってくれた。
社長は人はいいので、
「事業が回復したらまた戻ってきほしい!そのときはみんなで火鍋に行こう!」
と言ってくれた。

返事は一つ。
「行かねーよ!」
であることは心に閉まった。

私個人としては、自分がリストラに遭ったことよりも、陳さんの奇行の方がショックであった。
しかも彼女の奇行はこれ以外にもたくさんあるし、解雇日以降の会社の奇行もある。

この辺は番外編としてまた書きたいと思う。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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