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勝ったから、ヨシッ J1第17節vsアルビレックス新潟 マッチレビュー

試合サマリー

・前半

試合の入りは予想どおり。後ろから繋ぐアルビに対して、サンガは前からハイプレスで追いかけるが基本展開になりました。

明確な奪いどころを設定して誘導し刈り取るのではなく、各自が個別に突撃していく良くない時の追い方でした。一人が寄せる、かわされたらボールを受けた選手にまた寄せる、の繰り返しに。
アルビが繋ぐスタイルに固執してくれたこともありひっかけるシーンも作れますが、狙ったポイントで奪えているわけではないため攻撃にはリンクせず。高い位置で引っ掛けて不用意に相手に渡してしまうシーンが多く、良いシーンはあまり作れません。

アルビの攻撃は後ろからのビルドアップで形を作り、京都の左サイドへボールを届ける狙い。佐藤とダニーロ・ゴメスのマッチアップの形を作られますが、一対一やクロス処理で落ち着いた対応でシャットアウト。
高い位置で剥がされても、サンガのディフェンシブサードに届く前に帰陣すればチャンスになりにくい。ハイプレスのメリットを感じました。

試合が動いたのは28分。コーナーキックのディフレクションから好調をキープする豊川が叩き込んでくれました。明らかにオンサイドなのに旗が上がり、VARの時間も長くヤキモキさせられましが、結果はゴールが認められることに。
VARが現地に届かない事件が今日でなくてよかったと心から思いました。

得点を機にペースを握る京都。良い流れでチャンスシーンを作りますが決めきれず、1−0で前半終了。

・後半

サンガは後半からイヨハを投入し5バック(3バック)に変更。
狙われた左サイドを手厚くする意図が推測され、監督は「決して守備をするためにあのシステムを採用したわけではなく、あと1点、2点を取るために」との狙いを語っていました。

しかし、これが大誤算も大誤算。重心が後ろに倒れてしまいベタ引きで守るような形になってしまいました。前線でターゲット・起点になっていた山﨑の負傷交代も押し込まれる展開に拍車をかけます。

各戦術には一長一短あるものですが、当面ハイプレスをやめる(引いてブロックを作り守る)ことは無理なのだろうなと感じさせられるほどに、一方的に押し込まれる時間が続きます。

相手のフィニッシュ精度やビッグセーブに助けられ耐えていましたが、セットプレーの流れでクロスからフリーを作ってしまい失点。エリア内の守備人数は足りているのですが、相変わらずの守備です。

「唯一の勝ち筋は耐えて耐えて1-0」と思っていたので、連敗ストップどころか連敗の上積みが見えてしまったな...と絶望していた3分後にまさかの得点。

前で引っ掛けたボールが絶妙にパトリックの足元へ。振り抜いたシュートがニアを打ち抜き2−1。光が見えたとホッとしていた5分後に、前で引っ掛けたボールがエリア内に入り一美が倒されPK獲得。パトリックが決めて3−1。目まぐるしい。

得点直後の失点。普段サンガが嫌ほどやられている形で、今日は得点することができました。安い失点がいかに試合の流れを変えるか。積み上げた努力を台無しにするかを痛感させてくれるなあ。と引いた目線で客観視させてくれるシーンでした。

連敗は6でストップ。兎にも角にも結果が欲しかったので、一安心です。

スタッツで振り返り

基本スタッツ

・シュート数:2倍
・枠内シュート数:3倍
・パス成功数:4.5倍
・支配率:7割近く持たれる

ここまで差をつけられることはなかなか記憶にありません。
とはいえ勝負するのはスタッツではなく、得点の多さと少なさ。

モウリーニョも言っています。
「そんなにボールが好きなら家まで持って帰ればいい。その代わりに私は勝ち点3を持ち帰るさ」と。

...そんな良いモノじゃないと思いますが。
まあ、走り勝って試合にも勝てたのは事実。

パスネットワークで比較

サンガ側の赤色線(パス数)の小ささ。
そしてなんと矢印の数(パス成功本数)が「ゼロ」。

アルビの図と比べるとえらい違い。
単純な本数で負けているとかは別に構わないのですが、流石に自分たちで試合を作るクオリティが心配になるところです

結論

ボールを支配され倒して、打たれまくって、嫌な時間帯で失点したけど
まぁ勝ったので

だって裏天王山だったもん。

個人評価

GK 1 若原 智哉 7 MON OF THE MATCH
3−1で勝つか1−3で負けるかの分水嶺となる時間で2つのビッグセーブ。苦しすぎる時間を1失点で耐え抜き、勝利を引き込んだ素晴らしいシュートストップでした。伊藤のミドルを指先で触ったシーンは鳥肌ものです。

DF 3 麻田 将吾 6.5
苦し紛れに見えるクリアがチャンスのきっかけになるのは、麻田のキックの質・精度が大きい。蹴り飛ばしが多いとの批判を見ますが狙いを持って蹴っていると感じます。

DF 4 井上 黎生人 6.0
アピと比べると安定感が際立って感じられました。ありとあらゆるプレーで。

DF 14 白井 康介 6
さすがと思わされるプレーはあるのですが、体力的にしんどそうな場面が見られて少し心配です。

MF 7 川﨑 颯太 6.0
いつもの悪い癖ですが、チーム全体で悪い時間帯で後ろに吸収されてしまい、押し返すチャンスを作れませんでした。引かざるを得ない時の守り方は要改善です。

MF 10 福岡 慎平74' 6.0
走って、走って、走って...。不満は出ないのか心配になるほど走らされているのですが、「走らされている」のではなく「走っている」のかもしれません。

MF 39 平戸 太貴74' 6.0
技術の質が高いうえに戦える、今まさにサンガに必要な選手。とはいえセットプレーで判断を誤り新井をフリーにしたのは痛恨でした。

MF 44 佐藤 響 6.5
狙われた左サイドを決壊させず、ビルドアップでも落ち着いていました。不必要に飛び込んで抜かれるシーンはご愛嬌。とはいえ改善はしてほしい。

FW 11 山﨑 凌吾54' 6.5
チームを支えるハイパフォーマンスだっただけに、負傷交代は残念です。チーム全体で組織を作れない中で山﨑と豊川の個人連携は目を引きます。

FW 17 木下 康介46*' 5.0
サイドではなく中央で、組み立てではなくフィニッシュワークに専念させてあげたい、といつも思っています。もったいない。

FW 23 豊川 雄太 6.5
連続得点以上に、途中交代時に死にそうな顔になるほど走り倒してくれる姿に心を打たれています。これだけ走り回らされてシーズン10点ペースはすごいの一言。

サブメンバー・監督

DF 24 イヨハ 理 ヘンリー46*' 6.0
押し込まれる展開を作ってしまったのは本人のせいではありません。プレーは安定していました。

MF 19 金子 大毅74' 6.5
中盤に安定をもたらして、押し返しに大きな役割を果たしました。シーズン序盤から言ってますが、頭から見たいパフォーマンスです。

MF 27 山田 楓喜64' 5.5
目立った見せ場なく。

FW 22 一美 和成74' 6.5
実質2アシストでチームを救いました。ボールがこぼれた先はたまたまでも、引っ掛けたところは実力です。

FW 9 パトリック54' 7.0
少ないチャンスをモノにして決勝点。リーグトップの決定率に救われています。

曺 貴裁 5.0
「前を削って後ろを3枚にしたら、攻めるつもりだったのに守りに入ってしまった」は、アビスパ戦と同じ反省の弁を繰り返しています。戦略のミスを選手が戦術で取り返したのも監督コメントどおりです。
組織の面であまりにも向上が見られません。

以上です。
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