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ミシャとオシムの言葉で学ぶ原理・原則 J1第14節vs北海道コンサドーレ札幌 マッチレビュー

試合サマリー

前半

早々に試合が動きます。開始4分、札幌のリスタートに合わせてラインを上げたところで札幌のロングボール。一発で佐藤の裏を取った金子がドリブルで仕掛けたクロスの先にいた小柏を麻田が倒してしまいPKを献上し失点。

リスタートの下げるボールに食いついて裏のケアをおざなりにした点、サイドで起点を作られた点、危険な時間帯である点など鳥栖戦と共通点の多い失点でした。
京都は札幌の倍以上の数がエリア内にいたのですが。ゴール前に数を並べるだけでは意味がないと痛感させられるシーンでした。

主導権を札幌に握られ苦しい展開。京都は我慢しながら木村勇大のコンディションを頼りに糸口を探ります。
耐えて迎えた41分、バックラインでのたどたどしい繋ぎからテンポ良く前に繋がり、山田からパトリックにボールが渡り得点。麻田と井上のボールを受けるポジションがどう見ても間違っているのですが、チャンスと見て食いつかせ結果剥がせたことでチャンスが生まれたシーンでした。

後半

開始から60分くらいまではテンポ良くボールが繋がります。パス・ドリブルの選択が良くリズムを掴むことで攻め入ることに成功しました。
これはもしや…と思ったものの、失速。チームとして意図してボールを動かしたのではなく、中盤の選手の当意即妙だったのでしょう。

拮抗した展開を動かしたのは札幌。ロングカウンターで白井が仕掛けたところでロスト。危険なパターンであるカウンターのカウンターが生まれてしまい、またも左を金子のドリブルで崩され最後は好調の浅野。

仕掛けてロストした白井、完全に置き去りにされた木村。分かりやすいミスではありましたが、白井はリスクを取るべき場面であり、木村は本職でない位置で奮闘して体力的にも厳しい状況でした。

その二人よりも、木村がリーグNo1ドリブラーとの1対1を迫られている状況で、内側で歩いていた佐藤響が問題です。カバーに行かないのであれば木村が戻る意味がありません(意味がないどころか攻撃の枚数を減らすので有害ですらあります)。
何か意図があったのかは知りませんが、ただの怠慢と私の目には移りました。非常に残念なプレーでした。

札幌が組織として整っていてコレクティブに戦っていたのは事実ですが、10個20個と攻め手があったわけではなく。
シンプルにストロングのサイド(金子拓郎を活かす)攻撃と、サンガのウィークであるハイプレス剥がし・サイドバック裏を狙うことを徹底していただけですが、それができるから強いのだよなと思いました。

場面場面に応じて何をすべきかに迷いがなく、ピッチにいる11人のプレーの一つ一つが速く、強く、正確です。11人の足し算でサッカーをするサンガと、11人の掛け算でサッカーをする札幌との差を感じました。

PickUp:ミシャとオシムの言葉

曺 貴裁とミシャのコメント

試合後の曺監督のコメントで、あまりにも引っかかるところが有りました。

何か無理やり課題を見つけ出して改善して次の試合に臨むというよりは、自分たちができていることにも目を向けながらやっていきたいと思います。

https://www.jleague.jp/match/j1/2023/051901/live/#coach

課題とはすなわち「解決しなければならない問題を抱える状況を解消するためにやるべきこと」です。

セットプレーで外れるマーク、サイドを抉られるたびにガラ空きになるバイタルエリア、確立され始めた集中が切れるパターン…。

何度も何度も問題が繰り返されていて、課題は「探さないと見つからない」ものなのでしょうか。コメントの揚げ足取りは無粋と分かっていてもさすがに酷いと思わされれる一言です。

当方の監督がそんなコメントを残す中、札幌の監督であるミシャが興味深いコメントをしています。

まさに問題の一つである「目的意識の欠如(良く走るけど走っているだけ)」に関する話でした。
刺さるなあと思う一方で、同じようなコメントを残している人がいますね。そう、オシムさんです。

オシムの言葉

大変ありがたいことにレビューや解説文を誉めていただくことがあるのですが、私の思考の9割はオシムさんのトレースです。

女子にモテたいとの下心でサッカーを始めてはみたものの、見るのもプレーするのも面白くなく、当然パフォーマンスも上がらず。

つまらないし辞めようかと思っていた矢先にオシムサッカーと出会い、世界が変わりました。
サッカーの原理原則だけでなく、物事を考える基本をオシムさんの言葉から学び、モチベーション向上だけでなくパフォーマンスも劇的に変えることができました。

いくら何でも上手くいきすぎて作り話かと思われるかもしれませんが、本当に本当の話です。サッカーが上手くなって女子からモテるなんて嘘みたいな話ですが、それは本当に嘘の話です

余談さておき。
ひとまずデー京がオシムチルドレン(勝手に入信した押しかけ信者)であることは分かってもらえたかと思いますので、今節含めた今のサンガにピッタリな言葉をご紹介します。

玄関を出入りするときに毎回つまずいて、転びそうになるならば、それはドアが悪いのではなく、つまずく方に問題がある。

毎試合、もれなく毎試合同じところで躓いてしまっています。
悪いのはドア、つまり相手によるところが大きいのでしょうか。そんなことはないでしょう。躓いているサンガに問題があります。

本当に強いチームというのは夢を見るのではなく、できることをやるものだ。

相手に合わせることを嫌い自分たちの理想を追求するのは結構ですが、できることをやるのもまた大事なこと。「相手をリスペクトするのが負けない秘訣だ」との言葉もありますよ。

例えば先が読めるような選手が真のクレバーなプレーヤーといえるだろう。5秒先を読めれば40メートルのダッシュをしなくてもいいはずだし、力を蓄えられる。

先を読んで意図を持って動くことの重要性を感じます。しかし一方でこんな言葉もあります。「相手より5歩余計に走れば、その5歩がすでに勝利の5歩だ。」と。量と質は両方大事。質が伴うことを祈るばかりです。

(「なぜリードしている状況で工藤を投入したのか」の質問に対し)
ゴール前に人を増やすだけが守備ではない。工藤は背が低い選手ですが、前線で追い掛け回せば自分たちのゴールから相手を遠ざけることができるでしょう。

吸収されエリア内に過剰な枚数を置いてしまうチーム、特に中盤の選手に聞いてほしい言葉です。背が低い川崎・福岡・松田がエリア内にいたとてクロスによる失点リスクは大して変わりません。
走って戻ってくれるのは有難いのですが、より効果的なプレーは何かを考える段階が来ているはずです。

ただ大量の水を運べばいいわけではない。おいしい水でなければならない。泉からわいたばかりの、冷たい水だ。日本にもワサビを栽培する泉があるだろう。ああいうところの水だ

解説不要でしょう。ワサビが育つことを祈ります。

リスクを冒して失敗したらそれは褒めてやった。その代わり、同じ失敗は繰り返すなよ、と言った。そうすると選手は成長する

リスクは冒していて、頑張ってもいると思っています。そう、あとは同じ失敗を繰り返さないだけです。


「守備の原則はFWの枚数+1枚」といった話もありますが…
サッカーにおけるテクニカルなテーマ以前に、そもそもの行動原理のところで響く言葉が多いなと思い紹介させてもらいました。

サッカーにおける目的は「勝利」であり、逆算した原理・原則は「正しい選択を続ける(≒効率的に攻めて守る)」と考えられます。

「走ることが目的」になってしまっている今が、「勝つための手段としての走り」に一皮むけた時に、大きく飛躍できるのではないかなあ。と期待しています。

おわりに

ルヴァンでガンバ相手に勝利したように、暗い話題ばかりでもなく、降格以外の道が見えないわけでもありません。

まずは結果を得て自信と余裕を取り戻すこと、失敗と向き合い課題を改善し続けること。その2点を追求できれば変わることができるはずです。
赤く染まってしまいそうなサンガスタジアムですが、やってくれるのではないかとの期待を胸に現地に足を運ぶ予定です。

以上です。
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最後までご覧いただきありがとうございました!

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