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雲南日本商工会通信2020年5月号「編集後記」

 春節休暇のために東京の実家に戻ってから、もう3カ月半が経ちます。国連事務総長は3月末、新型コロナが「世界にとって第二次世界大戦以来の最大の試練だ」と警告。日本では4月になって緊急事態宣言が発出されました。ニュースは連日、深刻化する感染状況や崩壊に瀕した医療システムを報じています。
 しかし私にできるのは家に留まることだけだったので、暇つぶしにNHKの大河ドラマ「八重の桜」のDVDを見ることにしました。
 東北地方に興味があったので何となく見始めたこのドラマでは、会津藩が朝敵の汚名を着せられ「討伐」されるまでの悲惨な過程を、これでもか!というほど見せ続けられます。悲惨すぎて、もし主役が綾瀬はるかでなかったら、途中で見るのをやめたことでしょう。
 そんな物語に耽溺している中、ふと我に返って日本の状況を見ると、深刻だったはずのニュースがとても平和なもの、生ぬるいものに感じられました(「コロナ疲れ」でウツになっている人は、悲惨なドラマを見れば心が軽くなるかもしれません)。
 しかし私は首を振り、「しかし、国連の偉い人は第二次世界大戦以来の試練だと言っているではないか。より深刻な状況に備えなければならない」と思いました。
 食事の席で老母に聞きました。「第二次世界大戦のとき、どうやって生き延びたの? この状況が長引けば、多くの企業が倒産したり、食料難になったりするかもしれない。最悪、経済がボロボロになって街は荒廃し、失業者で溢れるかもしれない。我々は生きていけなくなるかもしれないな」。
 「お米と味噌と塩があれば何とかなるよ。庭で野菜を作ればいい。むかし疎開していた農家とまだ知り合いだから、いざとなったら今回も厄介になろうかしら」。
 「さすが戦前生まれ」と言って、老いた母を褒めてあげました。

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