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雲南日本商工会通信2018年1月号「編集後記」

 大晦日。TBSの「逃げるは恥だが役に立つ」一挙放送を見ながら、まったりとこの原稿を書いています。
 最近はデザインの依頼が多く、「現場を見て顧客の話を聞き、提案を作り、プレゼンをする」という作業の繰り返しをこの数か月、延々としています。全てが受注できるわけではありませんが、それなりに大きなプロジェクトをいくつかゲットできています。
 雲南あたりはデザイナーがおっとりしており、実力者も多くありません。クライアントも同じで、それほど厳しい要求を求めてきません。
 一方、先月行った上海では、平米当たりの単価は高いものの、小さなプロジェクトを強者どもが群がっている状況です。まるで、少ない獲物に狼たちが群がりむさぼっているような感じです。大きな仕事は世界トップクラスの国内外デザイナーが独占。無数に存在する普通のデザイナーが上海で仕事をつかむためには、ニッチな強みを作って小さなプロジェクトを狙うしかありません。
 つまりデザイン業界にとって北京、上海、広州といった大都市は、すでに美味しい狩場ではなくなっており、主戦場は地方都市に移っているのだと想像します。
 先日参加した昆明のクライアントのコンペでは、北京と上海のデザイン会社との三つ巴の争いでしたが、我々が1位になりました。お客さんの話だと、その理由の1つには「北京や上海の会社だと、交通費を出さないといけないし、臨機応変な対応をしてもらえなそうだから」というものがありました。つまり我々は、「地の利を生かす」ことができたのです。
 かつて私は、「デザインの仕事をする以上、最先端都市で働かないと腕が磨かれない」と思っていました。でも上海の状況をみると、むしろ「地方都市で大きな仕事の経験を積んだほうがいい」と思うようになりました。
 地方都市で働くことは「逃げ」だと思っていましたが、今では「逃げるは恥だが役に立つ」と思うようになった次第です。

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