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雲南日本商工会通信2020年9月号「副会長の挨拶」

 コロナ下で中国ではジョギングする人が増えたらしい……。
 コロナは、糖尿病や心臓病など基礎疾患のある人、生命力が減退した高齢者が重症化するというのは世界的な傾向。WHOテドロス(Dead &Loss?)さんの呑気で他人事のようなパンデミック宣言通り、すでに封じ込めに失敗したわけだから、このままだといつかは感染、早晩感染するのは避けられないとすれば、感染しても大丈夫な身体を作るか、治療法の確立を期待するか、ワクチン開発とその接種を待つか、命が惜しければこの三つという事でしょう。自分でできる事は健康管理、ジョギングくらいになんのかな。年齢を重ねるのは避けられないから、身体年齢、健康年齢を若く保つ方法しかないのでしょう。
 自粛を徹底、コロナには感染しなかったが、肥満が原因で心臓病になりました、脳血管障害で若死にしました、孤独死しました、妻から捨てられました、会社から捨てられました、愛人と会えなくなりました、鬱病になりました、借金が返済できなくなりました、なんていうことになると、自分自身の「コロナ感染死亡リスク」と「コロナ未感染不幸リスク」を天秤にかけた判断が究極かもしれません。強制圧力や同調圧力が強い国は国民が政府の言う事を聞いたり、社会の圧力を忖度したりするけど、個性が強くて自由な国ほど「合理的な判断」として「未感染不幸リスク」を避けようと行動するのも合理的かもしれません。
 そう考えて人口あたりの感染比率上位の国を見ると、ブラジル、アメリカ、アルゼンチン、イタリアなどが並んでいて、なるほど、いかにも自由、勝手、楽天的な人が多そうな国民性で妙に納得できます。逆に国家の強制的圧力が高い中国と、政府が言わなくても社会の空気を読み「忖度大国」という同調圧力が強い日本で感染が少ないのも納得できるような気がします(KY〈空気読めない〉だけでイジメの対象になる日本ですから)。
 ワクチン開発も治療法確立も一つの対処療法ではありますが、その一方で温暖化の影響でシベリアの永久凍土層の氷解も始まっているようで、数十万年眠っていたウイルスや細菌が渡り鳥を介して拡散するという話もあり、人類はこれからもまた新しいウイルスや細菌に定期的に悩まされ続けるのかもしれません。
 自己増殖能力のないウイルスと細胞分裂できる細菌は、大きさも分類も異なりますが、 この世の細菌は下図のようになっているようです。

 70億人の人間の体重の合計が4億トンに対して、地球上の細菌の重さが400億トンというのはかなり想定外の数値ですし、細菌の歴史の38億年に対して人間が20万年というのもちょっと対等に比べるのは細菌に失礼というほどの地球の大先輩ではあります。
 人類は地球の生物を征服し、万能のようですが、細菌から見ればポッと出の若輩者の人間がたかだか1%の細菌を把握しているだけで、この方面ではほとんど何も知らないに等しいようです。
 この状況を知って細菌の立場に立てば、ちょっと見方も変わってきます。
除菌、抗菌、滅菌というのも、「お前達人間、俺たち細菌が見えないことを良いことに、どこに住んでそんなタワケゴト言っとんねん、肌も腸内も口の中も細菌まみれの中に住んでいて何が除菌やねん」という感じでしょう。「お前が毎日垂れるウンコには1gあたり数百億個のオレ達細菌がいるわけで、お前のお腹にいる1.5kg100兆個の細菌のお陰で食べた物の毒素を分解し、ビタミンを作り、免疫力の80%をコントロールしてるというオレら細菌との共生で20万年生き延びてきたのを何と考えてボケ抜かしとんねん」「オレら腸内細菌としてもお前の腹の中は都合がええねん。むかし、酸素がない時代、オレら嫌気性細菌は世界で我が世の春を謳歌してたねん。ところが30億年ほど前に葉緑素をもつ植物が光合成を始めるもんやから地球に酸素が増えてきたわけや。オレらにとって酸素は猛毒や。猛毒が増えるからオレらが生きる場所がなくなって来たわけや。そこで地中深くかお前の腸内に住まわせてもらってるわけや。でもタダで住まわせてもらってる訳やないで。お前が死んだらオレらも死ぬから、お前に長生きしてもらおうと思って、脳と連絡(腸脳相関)とりながら免疫増やしたり、ビタミン作ったり、消化できないモノを消化したり、いろいろと700万年も協力してきたわけやん。そのお陰でお前は生理機能を増やすことなく脳の発達に集中できたんとちゃうのか? お前ら人間がよく言う、ギブアンドテイク、ウインウインというやつよ。ところが最近、なんやねん。お前の態度。除菌、抗菌、滅菌、バイ菌って、オレらを含めてスゴイ悪いもののように言うやん。味噌もクソも一緒にするな、というけどな、最近のお前は恩を仇で返してないか? この地球に38億年生きてきたオレらと、20万年のお前にどれだけ違いがあるか判っとんのか。お前の自慢の頭で考えてみろよ。オレら細菌がいま100歳とすれば、お前ら人間は生後2日目やん。お前をやっつけるのは赤子の手をひねるようなもんやで。」というのが細菌の言葉の代弁でしょう。そう、代弁、大便、その大便こそが文字通り、腸内細菌からの「大きな便り」というわけで、便りを読まずに簡単に水に流すわけにはいかないわけで、大便こそが健康状態のメッセージです。
 安倍さんも大便の異常で、総理が続けられなかったんですね。

 上の図を見ると、人類誕生以来、つい最近まで1日あたり平均で15000歩を歩いていた人間が、現代では6000歩程度しか歩かなくなっているのが、私たち人類の文明と科学の発展結果です。テクノロジーは人間が楽する方向、働かなくても食べていける方向に進んでいるようで、さらなる変化をもたらすAIは、運動だけでなく考えなくても生きていける時代をもたらそうとしています。これは、野生動物が動物園に入ったような状況で、エサが来るから狩りは必要なく、1日中、檻の中から参観者を見るか、家の中からスマホゲームかチャット、テレビ会議の画面を見るかの違いしかありません。コロナで外出自粛というのは、動物園の野生動物がさらに小さな犬小屋に閉じ込められたような環境かもしれません。
 一万歩は約7 kmだそうですので、それを毎日1.5時間かけて歩くことが健康には必要かもしれませんが、なかなかみんなができる事でもないでしょうから、人類はこれからも肥満の方向に向かうのでしょう。
 「太ってて何が悪い、肥満も個性だ」とも言えるのですが、健康だけを考えるとそうとも言えないデータが次のBMIと疾病との関係です。BMIとはご存じのように、体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))で求められる数値です。
 次ページのグラフのように、男女で若干の違いはあるものの、太っていること、痩せすぎていることが平均的には疾病のリスクや寿命を縮めることがデータとして明らかになっている限り、タバコが健康に云々というのと同じように、デブやガリガリも健康に云々という話題がもっとあってもいいでしょうけど、食べる自由、太る自由は擁護されているようで、個人問題としてあまり世論やマスコミの話題にはなりません。逆に大食いは好意的な目でも見られます(医療費で国庫、税金にかなり迷惑。無駄な食料消費をかけている筈ですけど)。

男女別BMI数値と疾病リスク

 この不思議をちょっと邪推すれば、人々が食べなくなると食品業界が困る、それでなくても減反している票田の農家も困る、みんな健康になっちゃうと医療業界や製薬業界、健康業界も困る、食品業界、医療業界、製薬業界、健康業界が困ると広告も減り広告業界やマスコミも困る、これら全部の業界が困り、票田の農家まで困ると税収も選挙の票も減って政府も困るという関係があるんじゃないかとも疑えます。まさか、国民の健康を犠牲にしてでも産業を守るという事はないだろうと思いますが、疑念はちょっと湧きます。
 肥満問題を論理的に考えれば、運動するか食べる物を制限するかの二つしか解決方法がないのが、動物園の動物状態の人間だと思うのですが、運動はシンドイからイヤ、食べるのは本能的に好きだから止められない、というワガママな動物人間がどう健康に過ごすかというのが現代的課題でしょうし、先進国の共通課題でしょう。ペットになった犬や猫が肥満になるのを、「ダメ、もうない、食い過ぎ」と小言を言っている飼い主が、「食べ過ぎ、飲み過ぎ」で太ってんだから、自分が見えない滑稽な人間です。
 
 マーケティングの世界では、現代を「Effortless(努力なし)社会」と定義しているそうです。努力が必要なことは流行らない。本読むより画像、画像よりも動画。会社行くより自宅。姑と暮らすより核家族。考えるより反応。上司より友人。生身の女性よりネットの女性。結婚より独身。面談より電話、電話よりメール、メールよりチャット。出掛けるより自宅、買い物よりネット購入、外食よりUber Eats……。
 世界中がローマ帝国になりつつある現代は、奴隷の代わりに機械とロボットとネットを奴隷にして享楽に向かっているかのようです。
 医聖といわれるヒポクラテスは、2400年も前に「食べ過ぎによる病気は、食べることを制限することでしか解決しない」と言っているそうです。
 この言葉が正しいのか、それとも、現代の医学や薬学の発展はヒポクラテスの洞察さえも超えるのか、コロナの自粛はこの命題の実証試験時期を早めているとも言えそうです。
 
*注:アフリカや中東、バングラデシュのロヒンギャなど、貧困や紛争によって、飢餓の状態にある人々がいることを考えないわけではありません。富と食が偏在する事を肯定する新自由主義では、豊かな国の肥満と後進国の飢餓が同時進行しているのが世界の現実でしょう。計量経済学の試算だと、現在の世界の食料生産量が皆に公平に行き渡れば90億人が普通に生きていけるそうです。そう考えれば「わたし、痩せたいの」と言いながら無駄に大食いしているのはお天道様から見ればふざけた話ではあり、さすがにサジを投げるでしょうけど、その投げられたサジで「このモンブランすごく美味しいの」とケーキを頬張るのだから度し難い話ではあります。

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