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団地が舞台のアドベンチャーゲームを作っています(ゲーム開発日記no.1)

はじめまして、団地が舞台のアドベンチャーゲームを制作しているものです。ゲーム開発日記を書こうと思い立ったのでnoteを始めました。
初めての投稿は自己紹介も兼ねてゲーム開発に至った経緯について書こうと思います。


どうしてゲームを作ろうと思ったの?

子供の頃からゲームが好き。初めてのゲーム機は小学校2年生の時に買ってもらったゲームボーイカラー。よく日曜日の朝なのに早起きして『ポケットモンスター赤』を遊んだ思い出がある。

でも一番思い入れがあるゲーム機はゲームボーイアドバンス。年齢も上がったからか、GBAで遊んだゲームの方が記憶に残ってる。特に大好きだったのが『さくらももこのウキウキカーニバル』というアドベンチャーゲーム。当時はあまり売れなかったようで、子供の頃遊んだという方は少ないみたい。

そんな中、私がこのゲームに出会えたことは本当に幸運だと思う。このゲームに出会えなかったら、今私はゲームを作ってないだろう、というくらい私の人生に影響を与えた作品である。

ストーリーは、カーニバル委員に任命された主人公が町の人々やモンピーと呼ばれるふしぎな生き物たちをカーニバルに招待し、カーニバル開催を成功させる、というシンプルなものだ。招待してすぐ出席するよと返事してくれるキャラクターもいるし、悩みがありすぐに行くとは言わないキャラもいる。みんなの悩みはおつかいをしたりアイテムを使って解決する。

ゲーム内パソコンでインターネットごっこができる

いわゆるおつかいゲーだが、このゲームでユニークなのが「ミニパ」というゲーム内のパソコンを駆使してインターネットを使うということ。例えば、お寺の宝物がカラスに盗られたという悩みは「カラス」というキーワードをミニパで検索して「カラスもくげきじょうほう」というホームページ見て、主人公の町のとある木をねぐらにしているらしいという情報をゲットする。その後、実際の木の前で宝物を見つけることができる。「ミニパ」を使った一連のおつかいをコンプリートしながら、「探偵みたいでなんて楽しいんだ!!」と子供心ながら感心した。

そして大人になった2023年7月某日、ウキウキカーニバルを再プレイしてみた。感想は「このゲーム…大人でも面白いぞ!」可愛いグラフィック、おもしろおかしいキャラクター、ゲーム内のインターネットを利用したミステリー・探偵要素に夢中になった。「もっとこういうゲームを遊びたい!」と思い、似たようなゲームを探すが、見つからず、しょんぼりしているのも束の間、私の中のマリーアントワネットがつぶやいた。

「似たようなゲームがなければ自分で作ればいいじゃない」

た、たしかに…。そう気づいた瞬間目が覚め、ブワっと風が通り抜けた気がした。私の人生が映画だったらまさに感動的なサントラがかかる瞬間だった。

自分でゲームを作ろうとした理由はもう一つあった。大人になった今、子供の頃よりもおつかいクエストが簡単になった分ウキウキカーニバルが物足りなく感じた。この際大人でも100%楽しめるような大人版ウキウキカーニバルを作ろうと決心した。かくしてパンがなければケーキを食べれば良いじゃない的なテンションでゲーム作成の道を歩み始めたのだった。

どうして団地を舞台にしようと思ったの?

ウキウキカーニバルの舞台はカラータウンといって8つのエリアに分けられている。それぞれのエリアは和風だったり、近未来風だったり、トロピカル風、砂漠風など違う特徴がある。

さて、じゃあ私のゲームの舞台はどうしようかと考えた時、すぐに思い浮かんだ舞台があった。日本の団地である。世の中には既に団地を舞台にした映画、小説、漫画や団地についての本はあるけれど、団地を舞台にしたゲームは少ないようだ。調べてみたが、ホラーゲームが目立ち、私が作りたい「団地を舞台にした明るい雰囲気のGBA風ゲーム」はまだ無いようだ。

なぜゲームの舞台を団地にしたいのか?実は私は団地こそが未来の生き方である、という信念のもと、2023年11月からとある団地に住んでいる。団地に住んでいる、と人に話すと、「団地ってURがCMしてるやつ?」「団地って治安悪いイメージ」「団地って老人ばかりなんじゃないの?」などというリアクションをいただく。団地についてあまり知らないか、よく思ってない人が多いようだ。

だが、私にとって団地は住みやすいし、ワクワクに溢れている場所である。歴史のある団地は棟と棟の間にたくさんの木々が生えていて夏は木陰がとても涼しい。団地の自室の窓を開ければ風がそよそよと通り、鳥のさえずりが聞こえる。商店街が併設されている棟に行けば団地を出ずに買い物や食事ができる。車道と歩道が分かれるよう設計されたから安全で静かで空気のきれいな散歩ができる。そして、団地の公園のベンチに座って知り合いや友人と楽しげに話す団地の住人たちを見かける。こういう風に生きたい。私にとって団地はただの建築用語ではなく「生き方」なのだ。団地という素晴らしい生き方をゲームを通して広めたい、そういう思いがある。

木陰たっぷりで歩きやすい団地の敷地

また、実際に歴史ある団地を訪れた方は分かるかもしれないが、緑が鬱蒼と生える団地の異世界感はすごい。団地外の世界とは違う空気をまとっていて、すぐにでも冒険が始まりそうな雰囲気。晴れた青空の日は「夏休み1日目」のような雰囲気だ。なにか楽しいことが始まる予感、という空気。アドベンチャーゲームにこれ以上ピッタリな舞台があろうか!

1960年代の団地の土管で遊ぶ子供だち。マリオじゃん!

「団地を舞台にしたアドベンチャーゲーム」ってどんなゲーム?

ストーリー

主人公は12歳の女の子。50年以上の歴史がある団地に住んでいる。その団地では建設当時から毎年夏祭りを開催していたが、住民の高齢化のため、ここ数年は中止されてしまっていた。ひょんなことから主人公は団地の夏祭りを復活させる夏祭り委員に任命される。久しぶりの夏祭りの開催をみんなに知らせるためにチラシを配って、よりたくさんの参加者を集めることがゲームの目標。

ゲームシステム

ゲームを作ろうと決心してから、色々試行錯誤したが、2024年5月に入ってからゲームシステムのアイディアが色々固まってきた。共同開発者がアップロードしてくれたプロトタイプを使って説明したい。プロトタイプのアートはもちろん仮のものだ。また、プロトタイプは英語だがゲーム完成時には日本語・英語の両方でリリースする予定だ。

①ゲーム内インターネット

『さくらももこのウキウキカーニバル』の意思を継ぐゲーム内インターネット。キャラクターのホームページを訪問して、そこで得た情報を駆使しておつかいやお悩み解決をして夏祭り参加者を増やす。このシステムを使ってゲームにミステリー要素や探偵要素を入れたい。

②周囲を「観察する」

主人公の前の最大3マスをLボタンで「観察する」ことができる。ポケモンや牧場物語などのゲームだと画面上の周囲のものに深い意味は無く、ただの背景である場合が多い。だけど私たちのゲームでは周囲を観察する楽しさを表現したい。重要な情報やゲーム内インターネットで検索できるキーワードを「観察する」ことで手に入れられる。プレーヤーには団地を舞台に「発見する楽しみ」を見出して欲しい。

③感覚を研ぎ澄ませて「感じ取る」

画面上で気になるものがあったらRボタンで「感じ取る」ことができる。例えば池に気になる「泡」があったらその近くで「感じ取る」。そうすると主人公の五感が研ぎ澄まされ音がよく聞こえたり、匂いを敏感に感じ取ったりできる。上の動画では「感じ取る」ことによってカエルを発見できる。発見したものはアイテムになったり検索できるキーワードになったりする。

以上、①ゲーム内インターネット、②観察する、③感じ取る、を軸に団地を冒険するアドベンチャーゲームになる予定だ。これらのゲームシステムを通してプレーヤーには少し変テコなキャラクターたちと出会い、おつかいクエストの結果に驚き、ストーリーの行方にドキドキ・ハラハラ・ワクワクして欲しい。

誰とゲームを作ってるの?

今のところ私がメインライター、共同開発者のMelos Han Taniがプログラミング・サブライター・音楽を担当している。幸運なことにMelos氏はAnodyneAnodyne 2を開発したベテランのインディーゲーム作者である。ゲーム開発がもっと進んだらアーティストもチームに迎えたい。

ゲーム制作していない時は何をしているの?

本業は英語教員。ゲームを作りながらよく思うのが、授業のデザインとゲームのデザインって似てるな、ということ。両方とも楽しい、夢中になれる体験を学生・プレーヤーにしてほしい。そして両方とも教員・ゲームデザイナーはヒントのみを与えるべきで答えに辿り着くのは学生・プレーヤー自身であるべきだ。

教員として学生に私が目指したい人生の姿勢の話をすることがある。「ふしぎを見逃さず、面白がる姿勢」だ。人生を通して、日々の小さな違和感や不思議に思うことを追求したい。今まではそれを授業で表現してきたが、これからはゲーム制作を通して表現していきたい。どんなゲームができるか、ワクワクする気持ちを忘れずに完成させたい。

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