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#14 解説『日本統計学会公式認定 統計検定1級対応 統計学』【問2.6】

 こんにちは。一番好きな数字は14の鰰です。今回は準記念投稿ということでよろしくお願いします。


解く前に

 今回もある分布とガンマ分布の混合である。分布の混合については#8で解説したので、もしよく分からなければ以下のリンクから読んでみてほしい。

 なお、上記のリンクは分布の混合についての説明である。実際に解く様子を見たい方は以下のリンク(#9)を見てほしい。

解答の方向性

 まずは$${N(0,\frac1\theta)}$$に従う式と$${Ga(\frac p2,\frac p2)}$$に従う式を定義する。そして今回は$${\theta}$$についてガンマ分布で混合するので$${x}$$の部分を$${\theta}$$に変換する必要がある。そしてそれらを混合して、計算していく。その計算結果が自由度$${p}$$の$${t}$$分布に従う式と一緒になればよい。

前提知識

 まずは正規分布・ガンマ分布・そして$${t}$$分布に従う式を知る必要がある。まずはそれについて解説する。

 まずは正規分布に従う式である。一般的には以下のように定義できる。これは教科書P.37の2.2.2に書かれている。

$${f(x;\mu,\sigma^2)=\frac{1}{\sqrt{2\pi\sigma^2}}exp[-\frac{1}{2\sigma^2}(x-\mu)^2]\sim N(\mu,\sigma^2)}$$

 よって$${N(0,\frac1\theta)}$$に従う式は以下の通りになる。

$${\frac{1}{\sqrt{2\pi\frac{1}{\theta}}}exp(-\frac{1}{2\frac1\theta}x^2)=\sqrt{\frac{\theta}{2\pi}}exp(-\frac\theta2x^2)}$$

 続いてガンマ分布である。ガンマ分布は2章では何度も出たので覚えている方もいるかもしれない。ガンマ分布の式は教科書P.39の2.2.4に書かれている。

$${\begin{array}{}f(x;\alpha,\beta)=\frac{\beta^\alpha}{\Gamma(\alpha)}x^{\alpha-1}exp(-\beta x)\\\ \int_0^\infty x^{\alpha-1}exp(-\beta x)dx=\frac{\Gamma(\alpha)}{\beta^\alpha}\cdots ①\end{array}}$$

 $${Ga(\frac p2,\frac p2)}$$に従う式は$${\alpha=\beta=\frac p2}$$だが、いきなり代入して計算するのもなかなかなので時期を見て代入する。また以下の式が成り立つことも覚えてほしい。

$${\begin{array}{}\Gamma(\frac12)=\sqrt \pi \\\ \Gamma(x+1)=x!\end{array}}$$

 最後に自由度$${p}$$の$${t}$$分布である。これは教科書P.48の2.3.2に書かれている。

$${\frac{1}{\sqrt\pi B(\frac p2,\frac12)}(1+\frac{x^2}{p})^{-\frac{p+1}{2}}\sim t(p)}$$

 ここで$${B(\frac p2,\frac12)}$$はベート分布のことを指し、ガンマ分布とは以下の式が成り立つ。

$${B(a,b)=\frac{\Gamma(a)\Gamma(b)}{\Gamma(a+b)}}$$

実際に解こう

 では、方向性に従って解いてみる。まずは正規分布とガンマ分布を混合して計算する。便宜上、計算式を$${f(x)}$$とおく。

$${\begin{array}{}f(x) &=& \int_0^\infty \sqrt{\frac{\theta}{2\pi}}exp(-\frac\theta2x^2)\frac{\beta^\alpha}{\Gamma(\alpha)}\theta^{\alpha-1}exp(-\beta \theta)d\theta \\\ &=& \frac{1}{\sqrt{2\pi}}\frac{\beta^\alpha}{\Gamma(\alpha)}\int_0^\infty \theta^{\alpha-\frac12}exp(-(\frac{x^2}{2}+\beta)\theta)d\theta \\\ &=& \frac{1}{\sqrt{2\pi}}\frac{\beta^\alpha}{\Gamma(\alpha)}\frac{\Gamma(\alpha+\frac12)}{(\frac{x^2}{2}+\beta)^{\alpha+\frac12}}\\\ &=& \frac{\Gamma(\alpha+\frac12)}{\sqrt{2\pi}\Gamma(\alpha)\beta^\frac12}(1+\frac{x^2}{2\beta})^{-(\alpha+\frac12)}\end{array}}$$

 ここで3つめと4つめの等号について解説する必要がある。まず3つめの等号については上記の①による。問題は4つめの等号である。これは以下の式により成り立つ。ただし$${\beta}$$とは関係ない部分は計算の必要がないため、ここでは除いている。

$${\begin{array}{}\frac{\beta^\alpha}{(\frac{x^2}{2}+\beta)^{\alpha+\frac12}} &=& \frac{\beta^\alpha}{(\frac{x^2}{2}+\beta)^\frac12(\frac{x^2}{2}+\beta)^\alpha}\\\ &=& \frac{1}{(\frac{x^2}{2}+\beta)^\frac12(1+\frac{x^2}{2\beta})^\alpha}\\\ &=& \frac{1}{\beta^\frac12(1+\frac{x^2}{2\beta})^\frac12(1+\frac{x^2}{2\beta})^\alpha} \\\ &=&\frac{1}{\beta^\frac12(1+\frac{x^2}{2\beta})^{\alpha+\frac12}}=\frac{1}{\beta^\frac12}(1+\frac{\beta}{2x^2})^{-(\alpha+\frac12)}\end{array}}$$

 これを左右の両辺に$${\frac{\Gamma(\alpha+\frac12)}{\sqrt{2\pi}\Gamma(\frac12)\Gamma(\frac p2)}}$$をかければ4つめの等号が成り立つことが理解できるだろう。以降は$${\alpha=\beta=\frac p2}$$を代入する。

$${\begin{array}{}\frac{\Gamma(\frac p2+\frac12)}{\sqrt{2\pi}\Gamma(\frac p2)(\frac p2)^\frac12}(1+\frac{x^2}{p})^{-(\frac p2+\frac12)} &=& \frac{\Gamma(\frac p2+\frac12)}{\sqrt p\Gamma(\frac12)\Gamma(\frac p2)}(1+\frac{x^2}{p})^{-(\frac p2+\frac12)}\\\ &=& \frac{1}{\sqrt pB(\frac p2,\frac12)}(1+\frac{x^2}{p})^{-\frac{p+1}{2}}\sim t(p)\end{array}}$$

 よって問2.6は照明された。


終わりに

 遂に第2章の練習問題が終わりました。なんだかんだ今回も1枚に収まりましたが、大変でしたね。次回以降は第3章です。よろしくお願いします。

 それでは最後までお読みいただきありがとうございました。コメントの方、お待ちしています。

参考文献
日本統計学会公式認定 統計検定1級対応 統計学(教科書)

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