ペルソナ2罰やったよ記と、P3以降のペルソナが失ったものの話

女神異聞録ペルソナ(以下1)やったのペルソナ2罪(以下2罪)やったのに続いて、ペルソナ2罰(以下2罰)もプレイしてクリアしました。例によってPSPリメイク版。これでペルソナシリーズのナンバリングは一通り触ることができました。

PSP版しか遊んでいないので、挙げていく要素が、2罰自体のものなのか、リメイクによって改善されたものなのか定かではありませんが、前作までのゲームとしての不便なところや不満なところが堅実に改善されている点はとても好印象でした。UI微妙なもたつきは軽減され、バトルの高速モードが本当に高速になっています(2罪の高速モードは高速ではなかった)。また2罪の時点で相当顰蹙を買ったのか、2罰ではただしくんが影も形もなくなっていて、最後まで一切姿を見せなかったのが面白かったです。

画像4

ゲームの難易度はリメイクで緩くなりすぎた2罪と比較して難しくなり、適当に進めていると全滅するような歯応えのある難易度に調整されていました(適当に進めたのでたくさん全滅してイージーに変更しました(イージーに変更しても大して変わらなかったです))。

ストーリー面においても、細かい分岐要素やパワーアップした噂システムによる無数のサブ要素の分岐があり、2罪ではサブキャラだったキャラがメインに立ち上がってきたり、2罪からの変化が描かれていたり、2罪では子供の視点、2罰では大人の視点をそれぞれ描くなど、二部作ならではの大きな仕掛けが散りばめられていました。主人公は罪罰で同じだと思っていたので罰のタイトル画面にバーンと摩耶が置かれていて驚きましたし、中盤から参戦する2罪主人公が2罪終了時点のレベルとペルソナで現れて極端な戦力差を見せてくれるのも嬉しい。総じて、とても野心的な作品だったのだなと感じました。前作から引き継がれた「ジョーカー」という存在から女媧、伏犠などに繋げていく言葉遊びのセンスは、P3以降では失われていくものです。

画像2

一方で、2罪との強い繋がりや、相変わらず1のメンバーに見せ場が用意されて前面に出てくるところなど、過去作のファンの方を向いた要素が多くあるのは、2罪までに感じた「閉じた作品」という印象をより強くするものでした。作り手がキャラクターに愛着を持っていることは分かりますし、かつ溢れるサービス精神によるもの(2罪罰はとてもサービス精神に溢れるゲームでした!)で、実際に嬉しくもあるのですが、そのわざとらしさにどうしても白けてしまう場面がいくつかありました。

しかし同時に、P3以降のシリーズがこれまでのファン以外にも開かれ、誰でも遊べる楽しいRPGとして進化していった影で、P3以降で失われていったものもあるように思います。それは取り返しのつかないことをしてしまったもの、自分ではどうにもならない業を背負った者への切実な眼差しです。

以降はペルソナシリーズのストーリーのネタバレを含みます。

画像3

もちろんP3以降も、プレイヤーたちはある意味はぐれもの、中心にいない存在として基本的に描かれますが、実際の描写を見るとどうしても、持てる者、陽キャ、中心にいられる魅力的な人物として描かれているように思えます。欠点や過去の過ちに関しても許せたり笑えるレベルに抑えられており、これは口当たりの良さや間口を広くすることには貢献している一方で、そこから弾かれた者たちへの視点を乏しくしています。

1ではホクロを増やしながらプレイヤーたちと敵対する千里はどこかユーモラスに描かれていますし、2罪のギンコは援助交際紛いの行為や薬物に手を出し、2罰のうららは摩耶を殺そうとしたことが明らかになります。敵である神取は闇にしか生きられない自らのことを語ります。2主人公は世界を滅ぼしかける業を背負います。2罰までのペルソナは笑って許すことの難しいこれらの過ちや生き方と正面から向き合う姿勢があったように思われます。

P3以降のシリーズでは、中心にいるものによる無自覚の傲慢さのような描写が鼻につく場面がしばしば見られます。ペルソナ4で繰り返されるゲイに対する無神経な描写。クボミツオは凶行に至るまで何を考えていたのでしょうか?ミスコンで敗れた柏木先生と大谷花子は旅館で何を話していたのでしょうか?彼女たちに寄り添う人はいなかったのでしょうか?自分が書いたポエムを毎回勝手に読まれるマリーの気持ちはどこにいくのでしょうか?

今とは時代が違うとはいえ、2罰以前とP3以降では、視線の焦点が移り変わっているように思えます。これはシナリオライターの里見直の持つ資質だったのでしょうか。カリギュラシリーズをプレイすればわかるかもしれないので、そのうちやるかもしれません。

画像5

ペルソナ2罰はサービス精神旺盛な志を感じるゲームでした。面白かったです。1と2罪罰通して一番好きなキャラは罪罰の頃の園村麻希さんです。ベリーショート!

画像1



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?