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何年か前の予期せぬ病気

ちょっと昔の日記を見ていたら、記憶を辿って追記して書いてみたいネタがあったので今回は昔話を書いてみることにしました。あくまでも個人的な病気の話しになるので、気になったり、時間のある方だけ読んで下さいね。

あれは忘れもしない2009年3月30日でした。

俺は仕事中で自分の事務所から少し離れた現場へ出ていて、用事も済んだので14時半頃、そろそろ事務所へ戻ろうと思ったのですが、ふと『あれ?何だか口が思うように開かないなぁ』と気になったのです。

そして、戻る途中で知り合いとすれ違ったら、「あれ?なんか顔の雰囲気が違うけど体調悪いのかい、大丈夫?」と言われ、『もしかするとヤバいことになっているかもしれない』。すぐにでも鏡で自分の顔を確認したくなって急いで事務所へ戻って、トイレへ駆け込みました。

鏡を見るとすぐ自分の顔の異変に気がつきました。いつもの自分の顔じゃない!『ヤバい、顔の左側半分が全然動かない。そして感覚が無い』と。

俺の嫌な予感通り、『これは顔面麻痺になってしまった!』と結論付けました、本当に突然のことでした。原因が全く思いつきません、普通に生活していただけだったのに。
『何で俺なんだろう』と、そんな気持ちになったりしました。

この日。不幸中の幸いで、俺は仕事中、誰とも話をしなかったので、気にも留められず、この日は仕事を終えて帰りました。

ここからどうしていくか、俺なりにグルグルと考えが巡ります。そして、ここで俺の変な考えがよぎります、『このまま一生治らなかったらどうしよう。嫁に嫌われるかな?』とか、当然ながらこういう場合、悪いイメージが全体を支配していくのです。

そんな訳で初日は嫁にも言えず、色々と誤魔化しながら過ごして、夜はネットでこの症状の検索をして、治療や自己ケア、病院探しとか遅くまでやってから寝ました。

次の日、本当はすぐ病院へ行けば良かったのですが、タイミングが悪いことに仕事で秋田への2泊3日の出張がありました。まだ雪もたくさん残る寒い時期、この麻痺の症状には寒いのも良くないと書いてあったけど行くしかなかった。

ここで、この時の俺の顔面麻痺の症状がどういうものか書いてみます。
基本、顔の左側(向かって右側)半分が全て動かないというもの。思い切り、顔に力を思い切り入れてみると、ゆっくり反応して動く感じだ。

◎まず目が閉じれない:
 ①まぶたがなかなか閉まらない(常に半開き状態になっている)
 ②瞬きできない(反応がとても悪い)
 ③眉毛も動かない
 ④目が乾燥する、など

◎口がなかなか開かない
 ①食べ物が噛めない、飲めない、こぼしてしまう
 ②口の中を噛んでしまって口内炎になる
 ③普段通りの話しができない(声がうまく出せない)
 ④口が開かないので大きな声が出せない
 ⑤笑っても感じの悪い笑い方になる、など。

◎耳がおかしい
 ①一定以上の大きな音だけが耳を塞ぐほど大音量に聞こえる
 ②自分の声が頭の中で反響する、など。

まぁとにかく不便で仕方が無い。
逆に出張先では、こういう人なんだと思われてもいいと開き直っていたが、今までの生活と違うので苦痛以外に何モノでもない感じ。

出張が終わって、帰りの電車から嫁に迎えをお願いする時、やっと病気のことを言えた。嫁はかなり気が動転していて心配していたが逆に俺が冷静になれた。

その週末にやっと神経内科を受診できて、「ベル麻痺」とかいう病名を知り、これが原因不明、期間は不明だが9割は完治する病気だと言う。医者から聞いて、治るのかもしれないと少しだけ安心するが、その治らない1割が俺じゃないかと思う自分も当然いる。まだこれから治療するのだから。

病院から自分で出来る対応方法を書いた紙をもらい、お薬をもらって帰宅。毎日、寝る時は針金のワイヤーを耳に掛け、口角が下がらないよう引っ張ったまま寝た(はたから見ると笑えるが真剣にやっている)。
それから病院での診察と神経の薬投与、自宅での顔面体操、マッサージ、会社でのマスク生活が始まる。

今でこそマスクって当たり前に毎日付けているけど、この当時は風邪ひいたり、花粉症とかインフルエンザ対策とか何か無いと付けている人がいなかった。俺もその後、何か月間ずっとマスク生活になるわけだけど、これは仕方がないことでした。そして仕事柄、それほど積極的に人前へ出ることもないので、上司には説明して理解を得たけど、その他の人にはなるべく何も言わずに過ごそうと思って頑張っていました。

それから約1ヶ月後くらい経った時だろうか、一番最初に動いてきたのは眉毛だった。そこから徐々に目や鼻、口が動いてくれるようになった。おそらく俺にしか分からない小さな動き、それでも大きな喜びでした。

完治には至らないが気にならない程度まで回復したのは約3ヶ月後。この間、いつまで続くのか分からないストレスもあったけど健康であることに有難さは感じた。
今現在、昔の顔に100%戻ってはいない。目も少しだけ違ってしまったし、耳の聞こえ方もたまに詰まったような感じで、とても不愉快な時がある。でも当時に比べれば全然マシだと思う。

こういう病気は、いつどのタイミングで発症するか誰も分からない。昨日まで元気に過ごしていても明日は病気やケガをするかもしれない、みなさんも明日の自分を当たり前に感じないで当たり前に感謝して過ごすといいのかなと感じた出来事でした。

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