厄介を抱え込みたいってのは自暴自棄とは違うんだよ
珍しく雨が降りそうに見えてたからさ
拾ったんだよなんとなく
女はカターラと名乗ってたな
気に入らない先入観に穴を空けちまいそうなハイヒールを跳ね上げてさ
旅行鞄みたく身体を助手席に捩じ込んだんだ
「アムノージアまででいいからさ」
行くあてはあって無いようなもんだったんだが
ステアリングの中の気泡を調べてる指に目ざとく気づいて彼女は言ったよ
「気にしないでタバコ吸っていいよ」
「匂いとか病気とか言い出さないのか」
「昔さんざん吸っちゃったから」
それでなんか、気づいちゃったんだ
