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まだ反応なしのアジリティーテストですか?

NBAにおけるドラフトテスト
 バスケットボールの聖地 NBAでは,、毎年6月に開催するNBAドラフトというスカウティング事業を行っています。このドラフトではアマチュア選手をテスティングし、選手との契約交渉を行うものです。ここでは、選手のパフォーマンス、筋力、下肢のパワー、反応プロアジリティテスト、スプリント、身体組成などが測定されます。身長は2mを超える選手が多く、垂直飛びに至っては90㎝を超えるとてつもないフィジカルを持った選手が発掘されます。結果はインターネットにも公開され、この数値をもとに様々なチームが選手の獲得に動きます。これらのテストではバスケットボール競技に必要とされる能力を評価するために行われます。


NBAで行われる反応を伴ったプロアジリティテスト
 この中で2010年より、反応を伴ったプロアジリティテストが採用され、測定・評価されています。様々なスポーツで測定されるこのポピュラーなプロアジリティテストは、一般的に敏捷性を評価するために測定されます。しかし、NBAではもう10年も前からスタート反応を伴ったプロアジリティテストを採用しているのです。このプロアジリティテストでは、光電管(タイム計測用システム)を中央と左右両端に設置します。光電管にはLEDシステムが内蔵されており、合図を出すことができます。左右に設置してある光電管が光った方向にスタートし、プロアジリティテストを行います。これにより通常のプロアジリティテストでは測定できない反応を含めた評価を行うことができ、真のアジリティを測定することができます。

フィジカルテストによって競技レベルを区別することは可能なのか?
 このように、NBAでも重視されていることからわかるように、多くのフィールドスポーツ競技では高い反応能力が必須であり、それを評価することは極めて重要です。いくつかの論文で競技レベルの差が通常のフィジカルテスト以上に反応能力に差が表れることを明らかにしています。
 R.G. Lockieらは バスケットボール選手を対象として、あらかじめ移動する方向が決定されている敏捷性テストと、信号に対する反応によって移動する敏捷性テスト が、プロフェッショナルレベルとアマチュアレベルの差を区別できるのかを、10mスプリント、反応なしのY字アジリティテスト、そして応を伴うY字アジリティテストを用いて調べました。Y字アジリティテストは下図のような形式で測定されました。反応あり条件では、選手が中間の TriggerGate を通過した瞬間に、左右の光電管に内蔵されたLEDが点灯した方向に方向転換して走りぬけます。反応なし条件ではあらかじめ被験者にどちらに曲がるか指示していました。

Y字アジリティテスト

反応が含まれると競技レベルの差が如実に表れる。

 その結果、10mスプリントや反応を伴わないY字アジリティテストには競技レベルによる有意な差がみられず、反応ありのY字アジリティテストにのみ有意な差が見つかりました。このことから競技レベルを区別するためには、反応という要素が非常に重要だということがわかります。したがって、他のフィールドスポーツにおけるトライアウトなどでもこのような反応要素を測定評価するべきです。

本当に必要なアジリティ(敏捷性)とは?

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