スーパーマリオの哲学


カメ帝国の魔王クッパはキノコ王国のキノピオたちをブロックに変え、ピーチ姫をさらう。配管工のスーパーマリオはピーチ姫を救出するためにカメ帝国に挑む。

カメ帝国は悪のイメージで描かれているが、色々考えるとそうとは言い切れない。マリオはスーパーキノコやファイヤーフラワーやスーパースターなどのアイテムを使って敵を倒しながら進んでいく。スーパーキノコからはマジックマッシュルーム(麻薬)が連想される。ファイヤーフラワーからは花火または火薬が連想される。スーパースターは陰陽道の五芒星が連想される。これらのアイテムは麻薬であり、火薬であり、魔術である。

アヘンは大英帝国が東インド会社を経由して中国(清)に輸出していた麻薬である。中国で火薬は発明され、陰陽道は中国の占術や魔術であり、古代中国は甲骨文字(カメの甲羅を使った卜占)を行っていた。だから実はカメ帝国は中国(清)の象徴なのではないだろうか。そして、キノコ王国はインド(東インド会社)の象徴であり、その背後にイギリス(大英帝国)が潜んでいるのではないか、と考えられるのである。ピノキオの頭はターバンを巻いたインド人にも見えなくはない。

マリオとルイージは配管工であるが、実は彼らはイギリス政府のスパイ(MI6)なのではないか。彼らはスパイ活動のためにイタリア系アメリカ人に偽装している。イタリア風の髭を蓄え、アメリカ国旗の赤青白のシンボルカラーの服を着ている。髪色は茶色なのに口髭は黒色なので、偽装のためのつけ髭だと思われるのである。

キノコ王国からさらわれたピーチ姫はなぜキノコ姫でなく人間なのだろうか。西洋ではリンゴが神聖な果物であるが、中国ではピーチ(桃)が神聖な果物だとされている。おそらくピーチ姫は大英帝国から遣わされたお姫様で、クッパは彼女を人質とすることで大英帝国に要求を突きつけているのだろう。あるいはピーチ姫は中国の桃の姿に偽装したクライシスアクターで、すべては大英帝国のマリオたち(MI6)の陰謀かも知れない。

クッパは朝鮮半島の食べ物で、兄はカルビであり、それも朝鮮半島の食べ物であるから、クッパは朝鮮系の中国の皇帝である。クッパは大英帝国がキノコ王国(東インド会社)を経由して大量に送り込んでくるキノコ=麻薬(アヘン)に困惑している。だから帝国内のキノコたちをブロックに変えてしまったのである。これは秦の始皇帝の兵馬俑を彷彿とさせる。したがって、クッパは大英帝国に麻薬(キノコ)をこれ以上送り込むなと要求しているのだろう。

マリオたちは中国内の麻薬や火薬や魔術を用いて敵をなぎ倒してゆく。クリボーはキノコ王国を裏切った椎茸である。一方ノコノコはおそらくカメ帝国の支配に不満を持つ市民である。だからノコノコたちは容易にマリオたちにマインドコントロールされてしまう。マリオに上から叩かれると、首を引っ込めて思考停止してしまう。こうしてノコノコたちはマリオたちの武器(道具)と化してしまうのだ。

マリオはドクロマークの旗を引き摺り下ろすとカメ帝国の砦は奪取される。そして花火が上がるが、それは砦を奪還したことを示すためではなく、むしろ砦の陥落を悟ったカメ帝国の兵士たちが、マリオがここまで迫ってきたことをクッパや周囲に知らせるために打ち上げた最期の花火なのではないだろうか。

さて、敵キャラの中に日本人の象徴であるキャラクターが存在する。それはジュゲムである。寿限無(じゅげむ)は日本の古典落語である。彼らは一見、敵だか味方だか分からない動きをする。ある時は、マリオにパイポ(これも寿限無の中の言葉)を投げつけて攻撃してくる。ある時は、1UPキノコを釣竿でぶら下げている。自分は安全な雲の上から攻撃また支援をする。こうした日和見主義的な動きは日本人の政治の暗喩なのである。また、釣りをする姿は七福神の恵比寿様を彷彿とさせる。

スーパーマリオワールドにはヨッシーが登場する。これは恐竜と考えられているが、正確にはカメである。マリオの乗る鞍は甲羅なのである。ヨッシーは元々はカメ帝国側のDNAを持っているのだが、マリオたちの味方をする。その名前はイギリスのネス湖に生息するとされるネッシーに由来している。ヨッシーが生息する島はヨースター島であり、これはイースター島に由来している。ヨッシーは長い舌を伸ばして敵を食べるので、カメとカメレオンのDNAのハイブリッドで作られた人工的なキメラ恐竜なのであろう。それはアメリカの映画『ジュラシック・パーク』を彷彿とさせる。ジュラシック・パークはコスタリカの西側にある架空の島である。したがって、ヨッシーはイギリスのグルであるアメリカが開発した生物兵器なのであろう。

さて、マリオブラザーズの前作は『ドンキーコング』である。ドンキーコングは巨大なゴリラだが、これは映画『キング・コング』を彷彿とさせる。巨大な生物が都市を襲うという無意識の中にある恐怖は、アメリカではキング・コングだが、日本ではゴジラである。古代のセム族ではネフィリームとして恐れられた。ドンキーコングは樽を投げつけて来るのだが、これはアメリカ独立戦争のきっかけとなったボストン茶会事件を連想させる。アメリカはイギリスの紅茶の課税を拒否して紅茶の入った大量の樽を海に投げ捨てたのである。したがって、ドンキーコングは、アメリカの独立戦争におけるイギリス(マリオ)とアメリカ(ドンキーコング)の対決を象徴している。

『スーパーマリオUSA』という作品もある。これはタイトルからも分かるように、アメリカを舞台としている。このゲームは元々は『夢工場ドキドキパニック』の新作リメイクである。夢工場ドキドキパニックでは、主人公はイマジンであり、オリエント風である。

スーパーマリオUSAの話はこうである。マリオたちはある時に夢を見た。夢の国サブコンはカエルの魔王マムーに支配され、ちなみにマムーは野菜が苦手…。マリオたちはその後夢の国に迷い込み、マムー討伐に挑む。

マムーはカエルで、野菜が嫌いである。フランスやアメリカ南部では今でもカエル肉を食べる。また、アメリカ人はハンバーガーやポテトチップスばかり食べて野菜不足だというステレオイメージが存在する。また野菜が嫌いだというのは、後述するがロシアが嫌いであるという暗示でもある。したがって、マムーはフランス系アメリカ人の象徴であろう。

キャサリンという中ボス的な敵キャラはトランスジェンダーの設定である。それゆえ、口から卵を吐き出すのだろう。キャサリンはアメリカ国内のリベラル勢力を象徴するのかも知れない。

ヘイホーはいつも仮面をして歩いているザコ敵キャラで、英語ではシャイガイ(恥ずかしがり屋)と言う。彼らは古代インカ帝国やアステカ帝国の象徴であり、アメリカ国内のスペイン系アメリカ人(スパニッシュ)を象徴している。ヘイホーの派生キャラにはムーチョが存在するが、これはスペイン語であり、この説を補強する。またインディアンの姿をした派生キャラも存在する。したがって、彼らはヨーロッパに支配されたアメリカ大陸の原住民たちの象徴なのであろう。

マリオたちは蕪(かぶ)を引き抜き、それを投げつけて敵を倒す。一説には蕪はアフガニスタン辺りを起源とする野菜だとされる。西ヨーロッパではアリストテレス哲学の影響で、天に近いところ(より高いところ)に生える食物は格が高く、地下に生える食べ物は格が低いとみなされていたため普及率は低かった。しかし、東ヨーロッパでは蕪は保存食としてよく生産された。今でもビーツ(赤かぶ)はロシア料理で欠かせない野菜である。また、童話『大きなかぶ』もロシア民話である。したがって、大英帝国側のマリオたちが蕪を使って攻撃するのは、ロシアを利用してアメリカに攻撃することの暗示ではないか。あるいは蕪は株を表していて、資本主義の金融による支配も意味するかも知れない。

しかし、これらはすべて夢の国の中での話であり、ファンタジーである。要するに、スーパーマリオUSAは、歴史上には存在しないが夢見ている戦いを表している。つまり、これはオリエントのオスマン帝国またはイギリスが、ロシアを利用してアメリカを制圧して勝利する夢の戦いなのである。この夢物語は、逆説的なアメリカンドリームなのである。

以上、スーパーマリオに関する哲学的な考察を試みてみた。これらは開発者の実際の意図を書いたものではなく、人々の無意識の中に潜在的に眠る元型的なイメージを独自に考察してみたものである。遊び半分で読んでくだされば幸いである。

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