ユダヤ的世界観と精神的世界帝国

リュディア王国はヒッタイト系だからアーリア人か。アーリア人(厳密にはインド・ヨーロッパ語族)の世界への拡散力はすさまじい。アーリア人はセム・ハム・ヤペテのヤペテ系である。

ユダヤ教の聖書では、ハム系は東はエジプト系、中央はカナン系、東はニムロデ系。セム系はバビロン、アッシリア。ヤペテ系はメディア・ペルシア、ギリシア、ローマ系。

一神教はヤペテ系アーリア人がゾロアスター教で初めて作ったというのは本当だろうか。ゾロアスター教はメディアが広くオリエンを統治し始めた頃にできたのだろう。それ以前にもハム系エジプトでもアメンホプテ4世のアテン信仰とか、セム系でもヘブライ人のヤーウェ(エロヒム)信仰があった。

よって、一神教の起源は、
・セム系バビロン→ヘブライ人のヤーウェ(エロヒム)信仰
・ハム系エジプト→アメンホプテ4世のアテン信仰
・ヤペテ系アーリア人→ゾロアスター教(アフラ=マズダ)

ユダヤ教の聖書(創世記)は、セム・ハム・ヤペテの先祖はノアであり、このノアは人類で唯一大洪水を生き残った家族の頭で、彼らは一神教のヤーウェ(エロヒム)信仰であったと見なすことで、ヤーウェ(エロヒム)信仰こそが世界の起源と見なす。

セム系アッシリア帝国の功績は「図書館」を作ったことである。これによりメソポタミアの歴史がある程度分かるようになった。

メディア・ペルシア帝国以降は人類はずっとヤペテ系の政治的支配下にある。ハム系とセム系の天下の時代はメディア・ペルシアによって滅亡した。

しかし、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教はどれもセム系宗教だから、キリスト以後は宗教はセム系が支配していると言える。

インド、中国、日本あたりが蚊帳の外なのは何故か。

日本人はセム系なのだから本来はユダヤ・キリスト教との親和性は高いはずだが、嫌われがちなのはシュメールの多神教的な宗教の影響の方が強いからかもしれない。西欧文化が嫌いというなら、仏教も同じアーリア系(ヤペテ系)である。

カナン人は聖書ではハム系だが、フェニキア人のことならヤペテ系ということになる。

日本人もセム系だから、オリエントのシュメールやカナン(ウガリット)やヘブライの影響は通底にある。しかし、ヤペテ系のバラモン教や仏教の影響が平安時代以降強く浸透している。

トーラーの法律は、同じセム系のハンムラビの法典の不条理な点を改良したという側面がある。またハム系カナンの野蛮な宗教儀式を排斥したという側面もある。

セム系は「法典」を発明した。バビロン系はハンムラビ、ヘブライ系はトーラーという二大法典が存在した。

バビロンに関しては、アッカドやアムールやアッシリアなどはセム系と分かるが、南部の先住民族シュメール人は何系だったか正確には分かっていない。

しかし、ニムロデはハム系だから、多分シュメール人はハム系だろう。ということは、ハム系には西はエジプト、東はシュメールという最古の文明があったということになる。

したがって、ハム系は文明(都市国家→東はバベルの塔、西はエジプト)を発明し、セム系は法典(ハンムラビ法典とトーラー)を発明し、ヤペテ系(アーリア人)は高度な製鉄技術(武器と貨幣)を発明した。

ユダヤ人(というか聖書)というのは多分、イスラエル(セム系)vsバビロン(セム系)、vsエジプト(ハム系)、vsアーリア(ヤペテ系)という対立構造で世界を見ている。

古代においては、
真のセム系…アブラハム→イスラエル→南ユダ王国→メシア)

敵のハム系…ニムロデ(バベルの塔=東のシュメール)、ファラオ(西のエジプト王朝)、カナン(中部)

敵のセム系…アッシリア帝国、新バビロニア帝国

敵のヤペテ系…メディア・ペルシャ帝国、ギリシア帝国、ローマ帝国

これが現代キリスト教になると、

セム系…内面のユダヤ人がユダヤ人→キリスト教
敵のハム系…シュメールの末裔である神道=多神教(自然崇拝)
敵のセム系…ユダヤ教とイスラーム教=反キリスト的一神教
敵のヤペテ系…アーリア系→ギリシア哲学由来の西洋の科学主義と、東洋の仏教的価値観)=不可知論

となる。

メディア・ペルシャ以降はヤペテ系の支配が継続しているから、現代でもヤペテ系の科学主義や不可知論が最もキリスト教に対抗する力を持つ勢力(精神的な世界帝国)なのだろう。

脱キリスト教的価値観として科学主義を発明した西欧人が、19世紀以降東洋の仏教に関心を寄せるのは納得が行く。インド・ヨーロッパ語族(アーリア人)は元々同族だからだ。ニーチェやショーペンハウアー以降この傾向は顕著となった。形態を変えただけで思想的には近親なのだ。

また、製鉄技術や貨幣を発明したヤペテ系が、産業革命や資本主義経済を発達させたのも納得が行く。

よって、ヤペテ系内部での宗教性は、西欧の科学主義と資本主義と不可知論に、インド系(バラモン・仏教)のより超越的な観念を加えたものということになる。

したがって、これがユダヤ・キリスト教的世界観に対抗する精神的な世界帝国となる。

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