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◆便乗◆クソデカボッコちゃん

 そのロボットは、究極にして至高にうまくできていた。染色体X^256くらい女のロボットだった。人工的無味乾燥なものだから、世界中の美しさを集めても顔の良さにとどけたい語彙に足りない美人につくれた。あらゆる人類70億通りの美人の要素をとり入れたので、完璧零式な美人ができあがった。もっとも、極少しワサビ界のデスソース級につんとしていた。だが、ワサビ界のデスソース級につんとしていることは、美人の絶対必要条件なのだった。ほかにはロボットを作ろうなんて、だれも記憶野から抜け落ちたかのように考えなかった。人間と寸分狂わず同じに働くドッペルゲンガーロボットを作るのは、むだ×268な話だ。そんなクラッカーの歯クソほどもくだらないものを作る費用があれば、もっと超能率のよすぎる機械ができたし、社畜精神が染み付いて無給でやとわれたがっている人間は、いくらも無尽蔵にいたのだから。それは暇を持て余しすぎた神々の遊び的道楽で作られた。作ったのは、高ッそうなバーのグランドマスターだった。クソ高ッそうなバーのグランドマスターというものは、家に定時で帰れば酒など吐き気を催すほど一滴も飲む気にならない。彼にとっては、100%アルコールなんかは金のたまごを産む商売道具で、自分でラッパ飲みするものとは一ミリ欠片も思えなかった。超絶割高代金は人間性を喪失した臭い酔っぱらいたちがガッポガッポもうけさせてくれるし、時間も5億年あるし、それで地上最大のロボットを作ったのだ。まったくの必要性マイナス♾️の趣味だった。趣味だったからこそ、精巧時計の裏蓋開けたときみたいな美人ができたのだ。本物にドッペルゲンガーじみてそっくりのもちもち(コシヒカリ使用)した肌ざわりで、見わけがヒヨコ性別鑑定士にもつかなかった。むしろ、電子顕微鏡で見たところでは、そこらへんの本物以上のシン・女にちがいない。しかし、頭はからっぽの暗黒空間に近かった。彼もそこまでは、手の関節がガチガチに固着して全くまわらない。蝿でもわかる難易度:KIDSなうけ答えができるだけだし、動作のほうも、酒をうわばみのように飲むことだけだった。

彼は、それが出来あがると、高いバーに杭打ち固定した。そのクッソ高いバーには最前列席もたくさんあったけれど、ロボットはライバルとの最終決戦の最後の一撃となったカウンターのなかに杭打ち固定された。毛ジラミのつきまくった不衛生極まりないぼろを出しては困るからだった。お客は超新星の女の子が入ったので、いちおうバカデカい声を叫んだ。名前と二つ名と秘された真名とTwitterアカウント名と年齢とサバ読んでない本当の年齢を聞かれた時だけはちゃんと神に誓って真実を答えたが、あとはゴミカスクズアホグズだめ野郎だった。それでも、ロボットと気がつくものは素粒子レベルでいなかった。

「名前と二つ名と秘された真名とTwitterアカウント名と扶養家族全員の名前は」

「クソデカボッコちゃん」

「本当の一切の欺瞞抜きのとしは」

「まだ0歳よ」

「いくつなんだい」

「まだ0歳よ」

「だからさ……」

「まだ若くなるのよ」

この店のお客はワビチャとハイクの教養を備えた上品なのがメチャ多いので、だれも、これ以上は口に物理的チャック移植手術をした。

「きれい(完全無菌)な服だね」

「きれい(完全無菌)な服でしょ」

「なにが家族を質に入れてでもいいくらい好きなんだい」

「なにが家族を質に入れてでもいいくらい好きかしら」

「スピリタスストレート飲むかい」

「スピリタスストレート飲むわ」

酒は許容量が存在しないと確信できるかたちで飲んだ。そのうえ、召喚時も酔わなかった。世界中の美しさを集めても顔の良さにとどけたい語彙に足りない美人で0歳で、ワサビ界のマスタードガス級につんとしていて、答えかたが虚無そのものにそっけない。お客は爆発的な口コミによりこの店にエンドゲームのアッセンブルした。クソデカボッコちゃんを相手にマシンガントークをし、100度の酒を危険致死量のイッキ飲みし、クソデカボッコちゃんにもイッキさせた。

「日本だけで5億人いるお客のなかで、だれがこの世の全てを敵にまわしてでも好きだい」

「だれがこの世の全てを敵にまわしてでも好きかしら」

「ぼくを好き好き大好きかい」

「あなたが好き好き大好きだわ」

「こんどグランドシネマサンシャインへでも行こう」

「グランドシネマサンシャインへでも行きましょうか」

「いつ何年何日何時何分地球が何回まわったにしよう」

アンサートーカーでも答えられない時には強烈な信号が感度3000倍で伝わって、グランドマスターが息を切らしながら肉体の限界を超えた速度でとんでくる。「お客さん、あんまり端から見てイジメにしか映らないようにからかっちゃあ、ガチで冗談で済まないのでいけませんよ」と言えば、全てのケースにおいてつじつまがあって、お客は3DSのソフトの味笑いして以降話をする姿を見たことがない。グランドマスターは時どき頻繁に一切の被弾を許さないしゃがみ姿勢で、足の方の強化プラスチック管から酒をエンドレス回収し、お客にイッキさせた。だが、お客は朴念仁一昔前のラブコメ主人公だった。0歳なのに店の大黒柱を担うしっかりした子だ。くっついたら絶対に剥がすこと不可能のべたべたおせじを言わないし、イッキしても応仁の乱れない。そんなわけで、ますます無限加速式に国民的人気が出て、立ち寄る者がねずみ算式にふえていった。そのなかに、たったひとりの最終青年がいた。クソデカボッコちゃんに摂氏90度熱をあげ、通いつめていたが、いつも、もう1ミクロンという感じで、こっから地球を一周するまで好きな恋心はかえって天元突破高まっていった。そのため、勘定が必修のレポートぐらいたまって支払いに困り、とうとう家のケツ毛を一本残らず持ち出そうとして、激昂化した父親にこっぴどく怒髪天を貫かれてしまったのだ。

「もう一.00000000ニ度と行くな。この5000兆円で払ってこい。だが、これで宇宙終焉さいごだぞ」

彼は、その支払いにバカ高いバーに来た。今日の定時で終わりと思って、自分でもイッキしたし、お別れの一生消えないしるしといって、クソデカボッコちゃんにもたくさんイッキさせた。

「もう今生も転生したあとも来られないんだ」

「もう今生も転生したあとも来られないんだ」

「悲しいし鬱の末期状態かい」

「悲しいし鬱の末期状態だわ」

「本当の偽りようのない魂のかたちはそうじゃないんだろう」

「本当の偽りようのない魂のかたちははそうじゃないの」

「きみぐらい冷たい人はいないね」

「あたしぐらい冷たい人はいないの」

「一度あたたかな幸せを味あわせたうえでそれら全てを奪いつくし手足をバラし火刑に処した末じわじわとなぶり殺し刻んで豚の餌にしてやろうか」

「一度あたたかな幸せを味あわせたうえでそれら全てを奪いつくし手足をバラし火刑に処した末じわじわとなぶり殺し刻んで豚の餌にしてちょうだい」

彼は11次元ポケットから古の秘薬の極限までオブラートに包まれた包みを出して、イエローダイヤモンド製のグラスに入れ、クソデカボッコちゃんの目と鼻の前に全体重をかけて押しやった。

「イッキするかい」

「イッキするわ」

彼の視線が集中して黒い紙が焦げるまで見つめている前で、クソデカボッコちゃんはイッキした。おかわりもした。彼は「全自動で火急速やかに死んだらいいさ」と言い、「全自動で火急速やかに死ぬわ」の声をだだっ広い背景に、グランドマスターに5000兆円を渡して、外宇宙そとに出た。夜はもう死ぬほどふけていた。

グランドマスターは青年が凱旋門から脱出を果たすと、残りのハーフプライスお客にバカデカい声を叫んだ。

「これから、わたしがおごるし一生面倒みますから、みなさん大いに酒漬けになって下さい」

おごりますといっても、強化プラスチックの管から出した酒を飲ませるお客が、もう金輪際来そうもないからだった。

「わーいわーいわーいわーいわーいわーいわーいわーいわーいわーいわーいわーいわーいわーいわーいわーいわーいわーいわーいわーいわーいわーいわーいわーい」

「いいぞ、いいぞ、いいぞ、いいぞ、いいぞ、いいぞ、いいぞ、いいぞ、いいぞ、いいぞ、いいぞ、いいぞ、いいぞ、いいぞ、いいぞ、いいぞ、いいぞ、いいぞ」

お客も店の1億の子も、乾杯シャンペンシャワーしあった。グランドマスターも極ほんのちょっとアゲアゲに上げまくってほした。

その夜、クソ高いバーは牛歩のごとくおそくまでプロメテウスの灯がついていた。富岳以上のスペックを持つ最新式ラジオは音楽を100万ホーンで流しつづけていた。しかし、だれひとりタイムカードを一斉にきらされた後のように帰りもしないのに、人声だけは絶えて不毛の地になっていた。

そのうち、最新式オーバーテクノロジーラジオも「おやすみ年休130日(有給休暇別途)なさいませ」とasmr音声で言って、グウの音を出すのすらをやめ完全な凪となった。クソデカボッコちゃんは「おやすみ年休130日(有給休暇別途)なさいませ」とasmr音声でつぶやいバズツイートして、つぎはだれがマシンガントークしかけてくるかしらと、ワサビ界の釘宮理恵級につんとした顔で沖縄時間を待っていた。


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