赤いパンツが似合うようになった
私は美容院が好きだ。
髪を切りそろえ、好きな色に染め、丁寧にシャンプーしてもらい、嗅ぎなれないトリートメントの匂いをふわふわさせながらブローしてもらう。
普段ダルダルでだらしないわがままボディの私でも美容院に行けばスーパービューティフルエレガントウーマンになることができるのだ。(ボディはわがままなまま)
特に担当の美容師を指名などはしない。500円の追加料金もあるしなんだか恥ずかしいからだ。
今回も以前担当してくれたもじゃもじゃ頭の美容師がいる日に予約した。
こうしておけば「あー、前僕やった人だからやります。」的な感じでやってもらえるはず。完璧な予約をし意気揚々と美容室に向かった。
ビンゴ
もじゃもじゃがいた。
しかし他の客を担当しておりまだまだかかりそうである。抜ける感じもない。私の予想であればここで美容師同士の「あの客来たからお願いします」的なやり取りがあるはずなのだが。
すると違う美容師が準備を始め私を席に案内した。
おいおい お前も もじゃもじゃかよ。
少し違うタイプのもじゃもじゃが今回私の担当なようだ。
はっはー!私は刈り上げもするし結構明るい色に染めちゃうちょいと癖のある客なんですけど?私のことをお前さんは満足させられるのかい??思いながら席に着いた。
しかしその新しいもじゃもじゃは素晴らしいもじゃもじゃであった。
気さくだが話しかけすぎず、ユーモアも見せ、私の要望を丁寧にくみ取ってくれ、挙句の果てに温かい緑茶まで出してくれた。(店のサービス)
肝心な髪だが、私の理想とするかっこいい刈り上げ、そして暗い髪色になっているのにしっかりと個性を持った何だか素敵ないい女みたいな色・・・・。
ふっ・・・アタイの負けだよ。この7500円はすべてあんたのもんさ!
と夫の口座から引き落としされるカードの暗証番号を打ち込んだ。
帰って風呂に入ろうと服を脱いだ。家にある一番いい赤いパンツをその日履いていたのだが私は言葉を失った。
色気あふれるいい女がそこに立っていた。
髪色は確かに暗いのだが、ただの黒髪ではなくいい感じの髪なのだ。その髪と赤いパンツのコントラスト。
あ~~~~。たまんないいい女~~~。これは夫も一発KOですわ~~。と鏡に向かって渾身のお色気フェイスをぶちかましていたがちらりとみえる腹の肉が私を現実に引き戻した。
ただいま。
そして夫と息子が待つ風呂へと腹を波打たせながら向かった。
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