見出し画像

ウサギの旅

こんにちは。いつもはおすすめのミステリー小説を紹介させてもらっておりますが、今回はSFよりの物語を紹介したいと思います。

襲いかかる困難に知恵と勇気で立ち向かうウサギたちの冒険物語です。

「ウォーターシップ・ダウンのウサギたち 上」

この本は、上下の2部作となっており、今回は「上」の紹介をさせていただきます。
2006年9月に初版が発行されており、「上」だけで442ページとボリュームは結構あるかもしれません。
物語は、ある村に住んでいるウサギが外の世界に飛び出し、仲間とともに冒険をしていく中で、幾多の困難に出会い、その度に知恵をしぼり乗り越えていくというものです。

著者は、リチャード・アダムズ。「疫病犬と呼ばれて」「ザ・ガール・イン・ア・スウィング」などを書かれています。

ストーリー・見どころ

物語のキッカケは、予知能力のあるファイバーの言葉を信じたヘイゼルが、仲間を集め、旅を始めるというものです。その中で、自然・他の動物・人間・他のウサギ達が彼らに牙をむけてきます。厳しい環境の中でも、助け合って前に進んでいくその姿を、物語展開や背景描写とともに楽しむことができます。

見どころは2つあって、1つ目は、ウサギの中にも多様な生き方があることです。ウサギは1匹では生きていけないので、集団で生活をし、故に村が作られます。その村の在り方がいくつかあり、どれもが村を守るために行われています。特に最後に登場する村の組織図は、人間社会の中にも存在するような報われない構成になっています。そんな価値観を共有できないような同種と出会ったヘイゼルたちがどのような行動を起こすのかが読んでいて面白いです。
2つ目は、他の動物たちとの関係性です。ウサギは狙われる生き物なので、自然には敵が多く、遭遇しないため若しくは遭遇したときに、知恵や感性・脚力をどう使うかという描写を楽しむこともできるのですが、敵ではない動物を、ウサギ(特にヘイゼル)の知恵を使って、生き延びるためにどう利用するかも見どころとなっております。

感想

ウサギの視点で物を見る・考えることができるのは面白いし、勉強になると思います。また、人間が非情に見えますが、ウサギ達にとってこれほど怖い存在なのかと感じました。
随所で、村に伝わる昔話が話されるのですが、童話のようで、一匹のうさぎ(エルアライラー)と神様の知恵のぶつかり合いが読んでいて面白いです。この知恵のあるウサギが、今後ヘイゼルと重なっていくのかと思うと続きが気になります。他にも読みたいものがあるので時間がかかるかもしれませんが、「下」も読み進めていきたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?