見出し画像

日本に先にフランス式が入ってきていたら。アロマテラピーの基礎知識・その2

アロマテラピーには、2種類あることをご存知ですか?

イギリス式とフランス式という2種類の楽しみ方があるのです。

日本でアロマテラピーといえば、一般的に「イギリス式」のことを指していることが多いです。

もし日本に先にフランス式が入ってきていたら、どんな広まり方をしたのかなあ、ヨーロッパのように、もっと自然の材料を活かした代替療法が盛んになっていたのかなあなんて思います。

フランス式のアロマテラピーとは

香料や香りを持った植物は昔から使われていました。

精油の蒸留技術は中世になって確立されますが、それはあくまでも香料としての使い方であり、薬草などとはちょっと区別されていたんですよね。

近代に入りフランスの化学者、ルネ・モーリス・ガットフォセという人が香料の実験中に負ったやけどが元で、精油の研究が始まるのです。

ガットフォセが火傷を負った手をラベンダーの精油の中に付けたところ、傷の治りが早かった。

お、これはもしかしたら香りがいいだけじゃなくて、なんかいい効能があるんじゃない?ってことで精油の薬理作用に着目するんですね。

その研究の成果を本に書いたのが「アロマテラピー」。1937年のことです。

アロマテラピーはガットフォセの造語なんです。

アロマ=香り、テラピーは=療法と訳されますけど、フランス語は「H」を発音しませんから「テラピー」ってなってるんです。

英語だと「アロマセラピー」ですから。

フランス式は香りは度外視で、精油の薬理作用や効能を重視する方法です。ですから、メディカルアロマテラピーとも呼ばれます。

私はメディカルアロマをセラピストさん向けに教えていたこともあるのですが、例えば肩こりにはどれがいいか、ストレスにはどれがいいかということを香りではなくて効能重視で選ぶのがフランス式のアロマテラピーです。

どんな症状に対してどんな精油を使えば効果があるか、ということを考えて選ぶので、使うときの濃度はやや高め。まさに、薬のようなイメージで使うんです。

私は普段からメディカルアロマを暮らしの中でも取り入れているので、風邪を引きそうだなと思ったらユーカリを使ったり、PMSにはフェンネルを使ったり、その時々の症状によって精油を使い分けて体調を管理しています。

イギリス式のアロマテラピーとは

フランスで始まったアロマテラピーですが、イギリスでは違う広がり方をします。

オーストリアの生化学者であったマルグリット・モーリーという女性が結婚してイギリスに渡るのですが、そこで「精油をオイルで希釈する」という方法を編み出します。

これが今でいう「アロマトリートメント」ですね。

フランスで薬のように使われ、治療に役立てられたのとは違い、美と健康を増進するために使われるようになります。

良い香りを嗅いでリラックスしたり、マッサージをして疲れを取ったりというアロマテラピーの方法はイギリス式なんですね。

日本で広まったのは、こちらの方式なんです。

日本でフランス式を実践するのは難しいだろうなと思う

私は日常的に精油を使いますし、効能を重視してブレンドすることも多いです。

精油のすごさは実際に体感していますから、風邪の予防にも使えるし、痛み止めにも使えるし、家庭の薬箱だなと思っています。

でも、日本でフランス式が広まるのは難しいでしょうね。

もっと民間療法みたいに広まってくれたら、育児に、仕事に頑張る働くママの疲れも癒せるし、同じく仕事を頑張ってるパパのサポートもできると思うんですけどね。

日本では精油は雑貨扱いなので、今は誰でも売ることができますけど、医療に役立つものとなると基準が厳しくなるし、専門知識がある人しか扱えなくなるのでどういう法律で規制するのかなど色々問題が出てきそう。

それに、たしかに精油にはすごいパワーがあるんですけど、やっぱり薬ではないから、過信しても困りますしね。

もっと臨床試験とか精油を科学的に分析するような検証が進んだら、精油が予防医学に役立つ日が来るでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?