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服地の潜在能力にあるロマン

こんにちは。
現在、慶應義塾大学にてファッションデザインの研究をしています平田です。これまで研究にてサステナブル・ファッションについて概論から実際にデジタルファブリケーションなどのツールを用いたデザインスキームについて検討してきました。その中で、Spiberが同学部の卒業生であることに感銘を受け、さらに、国内におけるサステナブルマテリアルの開発に興味を持ち、産地の学校を受講しています。

第5講では、旭化成株式会社の佐藤さんを講師にお迎えし、化学繊維について学びました。

簡単にですが、佐藤さんの紹介を。

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高校生時代にPlantationのアイテムに出会い、テキスタイル方面に興味をいだき、文化服装学院のテキスタイルデザイン学科へ進学、卒業後は八王子のみやしん(現:文化ファッションテキスタイル研究所)に就職されたそうです。その後、ISSEY MIYAKE社内のテキスタイルデザイナーなどもご経験され、現在は旭化成株式会社にてテキスタイル開発事業などに携わっているそうです。

主に旭化成株式会社の扱う繊維は、ストレッチ繊維であるロイカ®︎、キュプラ繊維のベンベルグ®︎、不織布であることなどを踏まえ、どのような種類の化学繊維がどのように作られているのかについて幅広く学習させていただきました。今回こちらの記事では、中でも個人的に興味深かった繊維やその開発ストーリーについて記載します。

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1900年代前半、化学繊維の開発をリードしてきたといわれるDupont。中でもウォーレス・カロザースという天才的な科学者によって1935年に開発された、nylon(ナイロン)。伝線しないストッキングの意である"no run”(=伝線)など名前の由来は諸説あります。他にもDupontは化学繊維の開発に従事し、アクリルやスパンデックス(ポリウレタン繊維)などがあります。

化学繊維は、服地に限らず、車や家電製品、医療品など使用範囲は広義に渡ります。例えば旭化成株式会社のラムース®︎という人工スウェードは、カーシートに、ベンリーゼ®︎はフェイシャルパックやマスクなどへ。産地の学校に「ベンベルグ®︎ラボ」がありますが、<ベンベルグ>は、コットンリンター(綿のタネの周りの産毛)を原料とした再生繊維です。主に裏地や、インナーウェアやインドのサリーに使用されているそうです。驚くことに宮崎の自社工場にて水力発電にて発電するところから従事しているそうです。

講義を振り返ってみて、マテリアル特性というのは奥が深くて面白いと思いつつも、化学繊維の場合、化学式で証明しきれてしまう現象が多いです。(熱可塑性はポリエステル繊維に有効など)普段着用しているだけでは気がつかない、服地の潜在能力は実は想像以上にロマンがあるように感じ、終わります。

平田


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