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顔で笑って心で泣く

11月8日付プロジェクトニュースで、「利用者と利用者が出会う場づくりに着手」という記事が掲載されました。10月のメイカソンの後、翌週末から毎週土曜日開催を目指して開始した「ファブラボCSTユーザーズフォーラム」の紹介記事です。

このモデルとしたのは、2018年5月に私がネパール・カトマンズのNepal Communitere(現ファブラボ・ネパール)を訪ねた際に現地で行われていた「フライデーイブニングラウンドトーク」です。隔週開催だと聞いていましたが、Nepal Communitereの入居者や利用者が、毎回他の利用者やすでに施設外で事業を立ち上げたスタートアップからその経験を訊き、自らのキャリア形成やものづくりに役立つインスピレーションを得るというものでした。

Nepal Communitereは2015年ネパール大地震の災害救援活動の拠点を改装したもの
被災地救援物資を運んだコンテナがそのままオフィスとして使われていた
タクシー配車アプリ"Sarathi"の創業者が話題提供
先駆者の話を真剣に聴く他の参加者

Nepal Communitereに入居している組織の関係者やメイカースペースの利用者のみならず、カトマンズの大学生や公務員、他企業の関係者も集まり、午後4時30分開始なので、遅れてきた人もかなりいて、最終的には20人以上になっていました。別にプレゼンが行われるわけでもなく、話者はあくまで話題提供。それでも質疑応答は非常に活発で、90分のプログラムは、あっという間に終わってしまった印象です。

当時これをファシリテートしていたのは、被災地救援国際NGO"Communitere"の英国人女性常駐スタッフでした。

彼女の務めていた役割を自分がファブラボCSTで勤めたい―――私はそう考えました。メイカソンの参加チームには、彼らがファブラボCSTの工作機械をどう使って試作を進めたのか、語って欲しかったし、11月7日から25日まではCSTは期末試験期間に入るため、メイカソン参加チームに話してもらうのも難しくなるだろうと予想しました。そのため、ややフライング気味に、10月末からフォーラム開催をスタートさせたのです。(結局、やはりメイカソン参加チームに発表してもらうのは、期末試験中は難しいと断念しました。)

第1回(10月29日)は15人。悪くない滑り出しです。第2回(11月5日)は10人。これも、私の中では想定内でした。

第1回
第2回
第3回

そして問題の11月12日の第3回。これは学生ではなく、10月の第17回世界ファブラボ会議(FAB17)"Bali Fab Fest"に出席した、ファブアカデミー修了生3人にしゃべってもらいました。しかも、前日に学生、教職員それぞれのメーリングリストにおいて、イベントのリマインド案内も行いました。これやらないと、簡単に忘れられるのがブータンあるあるなので。

で、蓋を開けてみたら―――。あれ?発表者を除いたらわずか5人…。

学生は期末試験中だし、学生が話者でもないため、学生が来るというのはあまり期待できないかもと、ある程度覚悟はしていました。でも、CSTの教職員で一応このプロジェクトの関係者とされている方々は? 母集団としては14人いて、うち4人はファブアカデミー修了生ですので言わば発表者側。ですので、聴く側の想定人数は10人はいる筈です。しかも今回は土曜日の午後。CST学外の関係者で、9月に日本に研修に行った2人のうち、少なくとも1人は参加可能なのでは? 

私は、メーリングリストだけでなく、WhatsAppのグループチャットへのポストも含め、今回はプロジェクトの同僚が話すんだからねとしつこく念を押しました。JICAの事務所からも話を聴きに来る人がいるから、失礼のないようにねとちょっとプレッシャーもかけておきました。

ところが、この想定ターゲット11人のうち、実際に第3回フォーラムに来たのはなんとたったの1人。これはガックリでしたね。学生が2人だったのもショックはショック。学生の登録メーリングリストは1,000人以上をカバーしている筈ですが、それでも2人です。しかも、「期末試験で忙しい」と言われているわりに、目の前のグランドではサッカーに興じている学生が大勢いる。このギャップをどう理解したらいいのか…。

ただでも敗北感に打ちひしがれていたのですが、夕方、足取り重くファブラボを後にして宿舎に引き揚げる途中、散歩していた教職員のプロジェクト関係者2人とすれ違いました。普通に「Good evening.」と軽やかに挨拶されました。土曜日の16時から17時という時間帯は、もうプライベートタイムということなのでしょうか。週明けにうちのプロマネにこの日の参加人数を伝えたところ、プロマネは悪びれることなく「すっかり忘れてました」とのフィニッシュブロー。

あゝ、前日リマインドでも効果がないのだ。当日にもう一度リマインドしないと、物事は思ったようには進まない。これが今回学んだ教訓でした。

第4回は1週開けて11月26日(土)開催予定。よっぽど頑張って告知して、しかもしつこくリマインドしないと、目標の20人確保も覚束ないでしょう。

こんな面倒なこと、私のような外国人がいなくなってから、彼ら自身でやるのだろうか… Nepal Communitereは、2021年1月から「ファブラボ・ネパール」になりましたが、ユーザー間の交流促進は、今どのように進められているのだろうか。そこに外国人は今も絡んでいるのだろうか。ネパール人で自律的に運営されているのだろうか―――。ファブラボ・ネパールの話が聴いてみたくなってきました。誰か、カトマンズ在住の邦人の方で、そういう視点でパタンに足を運んで、見てきてもらえないものでしょうかね。

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