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僕が社長として「小売業」に対して思ったこと

僕がもともと会社を起こしたのは小売という業態での起業でした。
小売業という非常に身近な業態で、実際に会社を起こして、人を雇ってスケールさせるところまで行った中で、
思った事や感じた事あっというのを少しだけまとめてみました。

+アート性の高い商品しか伸びない?+

僕が扱っている自動車部品というのは、非常にアート的な部品で、車の外装の見た目を変えるパーツです。

例えばこれをつけることによって実用性が上がるだとか機能が良くなるということはなくて、単純にデザインが変わるということだけで実は大したことのない部品ですが、
自動車に使われる部品としては最も高価な部品で見方を変えればアートを売っているような感覚に陥ることがあり
全く同じものを1000円で売っても5万円で売っても売れるような商品です。

これはすごく面白くて、例えばタイヤが同じもので1000円のと5万円のタイヤがあったら確実に5万円のタイヤは売れないと思うんですが。
デザインだったりアート性の高いものであれば、5万円でも売れます。
これは、そのデザインに惚れ込んでもらったり、そのデザインに一つの思想を見出してくれて5万円という価値をつけてくれている。
そのような商品なので、ただ単に部品というものではなく、ある意味でアートを扱っているような事業となっています。

+消費者の定価信仰に驚愕+

なので値段をつけることに対してすごく学ぶことが多い商品です。
いくらで売れば損益分岐点に達するとか、そういうことも考えるんですが、原価に反映されない商品の生まれる背景などを考慮にしながら値段を決めます。

あと面白い現象として、全く同じ商品を、全く同じ画像で、全く同じ商品説明で、価格だけ5000円ほど差をつけて販売すると、
お客さんから問い合わせが来て、「この商品は中身は同じように見えるんですが何が違うんですか」という問い合わせが多く来ます。

明らかに同じ商品なのに、価格が違うということはこの二つの商品には何か差があるはずだと考えるという消費者意識というものが露呈していて、
人々の定価に対する信頼度というものが非常に高く、あまり疑うことを知らないで、自らの価値基準というものがかなり曖昧になってきているなと感じました。

+淘汰されていく企業とは+

小売のビジネスというものは突き詰めれば、需要と供給のグラフに、どれだけうまいこと商品を合わせてスケールさせるかという部分だと思うのですが
この構造で商売をしていくと、必ず規模の経済という大資本に飲み込まれて、あらゆるものの限界費用が低くなっていき、普遍的な物の価値が下がっていくことになります。

そのような世界になった場合、小売という物の値段の付け方というのは、二極化していくと思っています。
その差は大きくなっていき、片方はゼロに近づき、片方は青天井の価格へと上がる
業界が二極化していった結果、それ以外の中途半端な企業というものは淘汰されていく。

+小売業界のデジタルシフトは意味ない+

そもそもデジタルにシフトしなければならないのか?

デジタル化というのは一見すれば、スマホに対応するだったり、流通にデジタルデバイスを導入するなど、
ちょっとした変更ということに重きを置いているように見えます。
しかし、デジタルシフトというのは会社のカルチャーから変えていかなければ本当のデジタルシフトとは言えず
中途半端なデジタルシフトは、多くのタスクや多くの人材を消耗させるだけで経営者が思うような改善が行われないことが多く、ほとんど失敗に終わるような事例が近年多く見られます。

例えばヨーロッパ的なブランドのように、そもそもデジタルを入れなくても儲かるような企業があるように
わざわざ既存の小売業に時代の潮流に合わせているかのような、表面的なデジタルを入れても全く意味がないということを理解した上で
慎重にデジタルの導入を進めなければ 、「既存の従業員」と「デジタル化に特化した従業員」での考え方や文化の違いによる衝突が起こり、
せっかく築き上げた会社の文化というものが破綻してしまうことになりかねません。

これからの時代を生き残りたいと考えるのであれば表面的なデジタルシフト以外の対策を企業内でしなければ自然淘汰されることになるのではないでしょうか

+小売という業態が変わる+

テレビや冷蔵庫を買うのではなく、サービス提供者が「モノ」を提供する、ゼロ円携帯電話のようなサービスと「モノ」との組み合わせというものが生まれてくるとも考えられます。
テレビであればテレビを買うのではなく、Netflix と契約するとテレビが送られてくるなど、ソフトウェアサービスがハードと繋がるなど、
業界の仕組み自体が変わっていくということも考えられるのではないだろうか。
また、デジタルファブリケーションのような、 3D プリンターで自宅で「モノ」を出力するような業態へシフトしていくことは十分あり得ます。
このような業態がマッチするのは非常にコモディティ化した商品で、わざわざ流通させるほどもない100円ショップにあるような商品は、
ほとんどがインターネット上でデータだけ購入し自宅で出力するような仕組みへと変わっていくと考えられる。

+インフルエンサー手当+

小売業で働くスタッフにインフルエンサー手当のような、その人に対して好意を抱く人達がどの程度いるかに対して、手当を与えるように、
雇用の待遇が変わることで、そこで働くスタッフも[誰もができる仕事]ではなく、本当に人と接することが好きで、
SNS のフォロワーが多い接客に適した人材を、適した場所へ配置することでそのお店の価値を上げるということも視野に入れた方が良いと思われます。

「モノ」というものがコモディティ化した世の中では。物を売っていくだけではなくその人の価値を企業側が認めその人の人柄により売れていくような取り組みも今後は必要になってくでしょう。


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