なぜ銀座ランチにパーカーを着て行ってはいけないのか【エッセイ】
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☀️この記事は、クロサキナオさんの10月企画に参加するために書いた記事です☀️
#クロサキナオの2024CrispOct
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いきなり変なタイトルですみません。
記事を開いてくださったみなさん、ありがとうございます😂
クロサキナオさんの10月企画に参加するために、数日前に題材を探していました。
クロサキナオさんが企画記事の中で「ちょっと捻ったのが好み」とおっしゃっていたので、ちょっと捻った題材にしようと思い、これまで20数回経験してきた「10月」というものを思い出してみました。
そこで思い出したのが、「銀座パーカー事件」です。
2022年10月、「銀座パーカー事件」と呼ばれる、とある不思議な出来事が起こりました。
というか、私が勝手に事件と呼んで一人で騒いでいただけです。
ただ、パーカーというたった一枚の服をきっかけとして、私は一人の男性とお別れし、別のご縁を探すことになりました。なので、事件と呼ぶかはともかく、大事な出来事であることに間違いはありません。
◆
2022年10月某日。私はとある男性とお昼に銀座で待ち合わせて、一緒にランチに行く予定にしていました。
その男性Aさんとは、マッチングアプリで知り合い、一度会って良い人だなと思ったので、2回目会うことにしていたのでした。
当時出会いがなくて、彼氏を作るために思いきってマッチングアプリに登録した私。慎重にメッセージを重ねて真面目そうな男性がいれば会うことにしていました。
なぜそのAさんと銀座で会うことになったかというと、たしか「どのエリアがいい?」と聞かれて私が「銀座でランチしてみたい!」と希望したからだったと思います。
私はミーハーなもので、おしゃれで高級なエリアである銀座に軽率に憧れを抱いていました。休日によく銀座に遊びに行っては、ウインドウショッピングだけして何も買わずに帰ってくることもしばしば。
あの空間に浸ることが楽しかったのです。
でも、「銀座で一緒に遊ぼう!」となる友達がなかなかいなかったので、これを機に銀座でランチをしたいと思って、Aさんにそう伝えたのでした。
銀座でランチとなると、当然のように、1000円やそこらでは収まりません。もちろん数千円するランチコースを予約したわけではないですが、2000円ほどしたような気はします。
あまりカジュアルな服装だとふさわしくないだろう。
そう考えた私が着て行くことにしたのは、ネイビーの小花柄のワンピース。
この判断が、今から思えばあの事件の背景にあったのだと思います。
◆
当日。私はあえて早く行きすぎないで、待ち合わせ時刻ちょうどくらいに待ち合わせ場所に向かいました。
行く予定のレストランの最寄り出口で待ち合わせる予定でしたが、そこまで混む出口ではなかったので、Aさんの姿はわりとすぐ見つけることができました。
(ん??)
私は一瞬、目を疑いました。
(あの人で合ってるよね? あのパーカーの人で?)
そう、彼はパーカーを着ていたのです。
そして、なんと当時の私は、その服装が許せなかったのです。
(あのラグジュアリーなエリアである銀座に! カジュアルなパーカーを着てくるなんて! ありえない!)
と、私は一瞬ぷりぷりしてしまいました。
それでもそこでお別れするわけにもいかないので、私はその後は特に気にしないようにして午後を一緒に過ごしました。
実際に、Aさんとは話していて悪い意味で気になる点はないし、優しいし、コミュニケーションも取りやすいし、本当に良い人だったと思います。
しかし、私は帰宅してからもどうしてもあのパーカー姿に対する強烈な違和感を忘れることができませんでした。
私が銀座にふさわしい服装をしようと思ってワンピースを選んだのに、ワンピースにパーカーは組み合わせとしてちぐはぐになってしまう。
そのことに対する居心地の悪さを、あの姿を見た瞬間感じたのかもしれません。
また、こういう見方もできると思います。
銀座というエリアのおしゃれさをそこまで意識していなかったからこそ、特に自分もおしゃれをしようと思わないでパーカーを着たのかな。
あのパーカーはカジュアルで、ハイブランドのロゴとかは入っていなかったので、おそらく普段から出かけるときに着ているものだろうと思いました。
いや、パーカーでいいんです。私のように目くじらを立てるほどマナー違反のことをAさんがしたわけでは決してありません。
でも、本当にどうしても、私は「パーカーで来てほしくなかった」と残念な思いを感じざるを得ませんでした。
◆
後日、とある友達に「銀座パーカー事件」について相談してみました。
「私の感覚がおかしいと思うんだけど、どうしてもいやだったんだよね」
と話すと、友達はこう言ってきました。
「そんな小さなことが気になるってことは、サナちゃんにとってはそれまでの人だったってことだよ。本当にサナちゃんがその人のことを気に入っていて、お付き合いしてみたいと思うんだったら、そんなこと気にならないはずだよ」
なるほど!と、私は目からうろこが落ちました。
私はAさんのことを良い人だと思っていたけれど、どこか心の中で「なんかピンとこない」という声が聞こえていました。
私は「自分にはもっと合う人がいるはず」と思いながらも、「いや、そんなこと願ってたら際限ないよ」と妥協しようとしていたのだろうと思います。
もしかすると、実際には、心から良い人と思って気に入っていたのではなく、本当は「良い人と思わないといけない」と心の中で無理に努力していたのかもしれません。
その妥協にストップをかける形で、Aさんに対して強烈な違和感を抱かせるあの「銀座パーカー事件」が起きたんだなと思いました。
その後、私はLINEでAさんにお別れを告げました。Aさんは何も悪くはなくて、ただ単に私たちはご縁がなかったということだったと思います。
◆
10月は衣替えの季節。本格的に秋が始まり、おしゃれを楽しめる季節になります。
薄着が許される8月だったら、Aさんとの間でもう少し別の展開があったのかもしれない。
そうふと考えてみても、いや、私のことだから「銀座にロゴTを着てくるなんてありえない!」とかなんとか言って、自分の中で事件に仕立てるんだろうなと思いました。
ーー後日談。
本件を相談した友達というのが、現在のパートナーの彼です。
人生、何が起こるかわかりませんね。
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