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家の中の虫(関東編)

いわゆる不快害虫のお話
勉強

つづき
北海道の中でも、それも狭い範囲の中でも家の中の虫は違っているが
それが本州ではさらに違っていた。
とはいえ、やはり行動範囲は狭くて、東京~横浜あたりではあるが。
まず、もう40年以上も前
初めて本州の夏を過ごすために下宿を利用したときのこと。
押し入れを開けたら黒くて平たい感じの虫が壁にとまっていた。(察し)
「セミかな?」
ちょうど下宿のおばちゃんが来たので笑いながら
「セミが押し入れに迷い込んでました」と言うと
「ええっ!?」と押し入れをのぞきこんですぐ廊下にダッシュ!!
ハエ叩きを手に戻ってきていきなり「セミ」をひっぱたいたのである。
「アンタ、これ、ゴキブリよ!知らないの?」
えー、これがあのゴキブリというモノか!
テレビなんかでちょっと見たことはあるけど、すごく嫌われてというか・すごく恐怖されていてこれはアレかネズミのような位置づけか、と認識はしていたものの、実物を見たのは初めてだったのである。
確かに当時でも北海道にも「チャバネゴキブリ」というのはいた。ただ、せいぜい2㎝くらいの薄い茶色の虫で、その迫力と言うか存在感は始めて見たセミ並みの大きさのゴキブリには全く及ばないし、当時はそのチャバネゴキブリも一般家庭にはほとんどいなくて、いるのは暖房完備の病院や一部の大型ビルに入っている飲食店くらいでまだまだ一般的には認知されていなかったと思う。
というワケで
本州の人のゴキブリ(以降Gと表記する)に対する「強い感情」を初めて目の当たりにしたのを驚きをもって体験したのである。
その後、友人たちが必要以上にGを恐れているように感じていて
ということは、Gが怖くない自分は色々と重宝されることとなる。
いや、自分だって昔は異常にクモがコワかったのだが。

ちなみにGの攻略法はというと
「ぎゃー、Gが出たー!!」という悲鳴を聞くと、おもむろに新聞紙を筒状に丸めて構え
Gのすぐ横の床を強くひっぱたくとその衝撃でGは一瞬、1秒くらいすくむ・ひっくり返るのでそこにトドメの一撃を加えるのである。素早いので一度で仕留めるのは難しいので、生き物としての「びっくりした瞬間にフリーズする」習性を利用するのだ。これはGにとっては「閃光弾」のようなワケだ。
一方、この何年かでGを狩るアシダカグモが話題になるようになって、こちらはアシダカ軍曹などとGに比べて好意的に捉えられているようだ。
おや、昔関東地方にいたときには見なかったなー、と思ったら外来種ということでここ数十年の新人だった。
さてそこでこのアシダカグモは大人の手のひら大のクモにもかかわらず何故にGほど嫌われないのだろかと考えると、Gの方は人間の領域に無神経に入り込み、のみならず人間の食べ物に手を出すからではないだろか。要するに無遠慮で図々しい。一方でアシダカグモは動くものを狩る狩人なので必ずしも人間の生活とは重ならず、あくまでもGやその他のいわゆる不快害虫を狩るだけなので、結果、人目に付かない。そして、狩るべき獲物がいなくなると新たな狩場を求めて移動してしまうという、さすらいのガンマンのような性質だからなのではと。「シェーン!カムバアーック!」(昭和)
会いたかったなあ。
そして
それまで見たことが無かった別の大物にもその下宿で出会った。
台所の柱の上の方になにやら大きな「ムカデのようなもの」がくっついていたのである。最初は生きているとは思わなかった。なぜならそれまでおもちゃ屋のゴム製のしか見たことが無くて、あれは人を脅かすものだから大きく・コワそうに作ってある、あくまでもおもちゃだという理解だったから。
とりあえず、下宿のおばちゃんに日本語初心者のように聞いてみた。
「あれは、何ですか?」
それを見たおばちゃんはGの時と同様ダッシュしてハエ叩きを手に戻ってきていきなり「おもちゃ」をひっぱたいたのである。
え!?リアル生き物だった!?
「あんた、刺されるわよ!!ほんっとに北海道の人は!!」
「ムカデ知らなかったの!?」「え、ホントに!?」
…おもちゃ屋さんでは見たことあるんですが…
というワケで
「あの、北海道にいない生き物って、大体これくらいですか?」と聞いたら
そうではないか、とのことだった。
実際はツクツクホウシだとかタマムシだとか他にもいたのだが
本州は北海道と違うんだなあ、と思った若かりし自分であった。


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