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バベットの晩餐会

読書

「バベットの晩餐会」イサク・ディーネセン 著 桝田啓介 訳 筑摩書房
を読んだ。以前ネット動画で映画を観て深く「感じ入り」原作を読みたいと思っていた。現在文庫本も出ているのだが、この本はハードカバーで読みたくて初版第一刷を古書店で購入したのだ。
そしてやはりこの本は文庫本ではなく、ハードカバーで買って良かった。

物語は19世紀の半ばから始まりそれを20世紀半ばに回想する形で始まる。
舞台はノルウェーのフィヨルドの奥の小さな町で
登場人物はその町で暮らしてきた素朴で信心深い人々とパリから亡命してきた料理人のバベットである。
抑制された筆致で淡々と描かれるそれぞれの人生は決して穏やかなだけではない。
都会からあまりに遠く離れた素朴な生活しか知らない人々の中、全く違う人生を歩んできたバベットはそこでの家政婦としての人生を全うすることにしたが、ある日パリの友人に託した富籤で当たった1万フランという大金を使って何をしたのか?

「あのかたがたは、おふたりにはまるで理解することも信じることもできないほどの費用をかけて、育てられ躾けられていたのです。わたしがどれほどすぐれた芸術家であるかを知るために」

これは一体どういうことなのか?
そしてバベットが生み出した「至福千年の時」とは?
これはぜひ本を手に取って読んでいただきたい。
ちなみに
映画と本ではけっこう重要な違いがあって(個人の感想です)
自分としては映画の方がいい解釈をしてくれた、と思っている。
もうひとつ
この物語を読む上でパリコミューンを始めとした、要するにヨーロッパの歴史を知っていると物語の味わいがいっそう深くなると思う。
知識というものは手を取り合って楽しみと豊かさをもたらしてくれるのだ。


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