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ぶつかりおじさんはいます!

STAP細胞はなかったけど。

大阪にはいないとか言う人がネットニュースになっていて、思い出しちゃった。自分が見たことないからとか、やめて欲しい。とは言え、私が被害にあっていたのは若かりし就職してからしばらくのこと。

当時、周りの人に、「わざとぶつかってくる人いるよね?」って言ったら、「そんな奴おらんやろ~ち、ち、ち~」みたいな反応があって、意外だったし、強く主張もできなかったのが悔しかった。

大体、お前が避けないからだとか、そういう問題じゃない。人波のなかで、明らかにその人だけ周りと違う勢いと方向でこっちに向かってきて、避けきれないでぶつかってしまう。必ず死んだ目をした会社員風、決まって朝よりも帰りの地下鉄の駅。今日一日、イラっとしたことをこれで解消するんだろうか。すっごい迷惑なんですけど!こっちも行きよりは気を抜いていたりするので、初めはただぶつかられて驚いてたよな。

こういう男がいると気が付いてから、相手は胸のあたりを目掛けてあたって来るので、まずはこちらの肩を相手に向けて鞄を胸に抱くことにした。背中ですれ違えたらセーフ。

それにしても一番衝撃だったぶつかり男にぶつかったのは阪神百貨店、阪神電車、地下鉄御堂筋線、阪急百貨店にぐるりと囲まれて、ランダムに大勢が行きかう、カオススポット。激しく手というか腕というか、明らかに勢いを付けて当たられて、思わず振り返った。そいつは振り向きもせずにすごい勢いでホワイティ梅田方面にずんずん歩いていきながら、前からくる女性にだけ、ゴン、ゴン、と激しく手を打ち付けながら去って行った。

ぶつかられた女性たちは、あまりの衝撃に振り向きながらもすぐに忘れたように歩き始めた。あまり気にしてないように見える人もいた。これは酷い。こんな奴を放置してはいけない。曽根崎警察署に駆け込みたい衝動に駆られたが、なんの証拠も手掛かりもなく、人に腕を打ち付けながら歩き回っている男がいますなんて言いに行って、相手にしてもらえそうもないと感じた。もしあの時携帯があって動画を撮れていたら、結構衝撃の作品になったんじゃないか。

約30年前の話だ。今、どんな奴がどんな風にぶつかってくるのかは分からない。おばさんには敢えてぶつからない、それこそが、わざと目的を持ってぶつかっている証拠のように思える。しかし、上記のぶつかり男は年配女性にもぶつかっていた。

人込みは、ネット世界に似ているかもしれない。匿名の見ず知らずの大衆の中、吐き出される暴言、悪意。それはヴァーチャル「ぶつかり」なんじゃない?






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