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エッセイ:大人がわかってくれない


今日からは 歩く花
根っこが消えて 足が生えて
野に咲かず 山に咲かず
愛する人の庭に咲く

『歩く花』
ザ・ブルーハーツ



0才児から選挙権を。
というニュース欄の見出しを目にし、ネタやろと思いきや、どこかの大阪府知事が本気でいっているらしい〈🔗〉。
しかも賛否あるとかで。

否定派:「意思のない子たちに投票権というのは特にいらないのかなと。お子さんが多い家庭は親の意思が強くなってしまう」

賛成派:「子どものことを思って投票するのであれば、子どもの分の一票があるのも良いんじゃないかなと」

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1180935?display=1




世にはいろんな意見があっていいしあるべきですが、もし実現したら、さすがに赤さん、幼児のあいだは親御さんが代理で投票するのでしょうね。成人するまでは親が選挙権を代理行使するという記事〈🔗〉もありましたが、たとえば小学生くらいから投票に行かせるのであれば「金融」と同じように「政治」の授業を子どもにするのでしょうが、「政治」とは集団にとっての正しいありようを決めるということであります。ですから、それはとりもなおさず、私たちのための政治であるということをまず教えなければなりますまい。
以下、グローバリズムについて少々。お付き合いいただければ幸いです。


グローバリズム(英: globalism)とは、地球全体を一つの共同体と見なして、世界の一体化(グローバリゼーション)を進める思想である。

Wikipedia



地球のために滅びればいい

数年前だったと記憶しておりますが、小学生が環境問題について授業で作文を書かされ、その結論がなんでも、人間が悪い、だから人間が滅びればいいだったとか。
なるほど、地球温暖化と聞いて近年の夏の酷暑をおもいうかべれば、実感する方がほとんどでしょうし、その原因が二酸化炭素などの排出による人為的なものであるとは「既定の事実」といって差し支えないでしょう。

地球温暖化には懐疑論〈🔗〉もあるようですが、真偽がどうであれ、すでに世の中が、世界中が「脱炭素社会」なるものが「正しい」と認識し、その実現に向かって動いており、この国も然りでありまして、いちいち例をあげるまでもないかも知れませんが、最近ではカーボンニュートラル燃料を製造すべくいくつかの国内企業が連携したといい〈🔗〉、首相官邸で「GX実行会議」が開かれたように〈🔗〉、ニッポンも世界の趨勢であるグローバリズムに足並みを揃えざるをえないというのが実情です。



持続可能な開発目標(英語: Sustainable Development Goals、略称: SDGs)は、2015年9月25日に国連総会で採択された、持続可能な開発のための17の国際目標である。

Wikipedia



国際連合が採決したSDGsなる「世界共通の目標」も同様、政治マターなので足並みを揃えざるをえないのですが、純真無垢ナイーブな子どもにはそれがわからない。政治的な正しさという己の外にあるものと、倫理という己の内に根をもつものとのちがいがわからない。だから人間が悪い、地球のために滅びればいいなどと短絡する。
地球のことを考え、地球のために生きている人間とは、グローバリズムに押しつけられた「地球市民」なる幻影でありましょうが、私たちの政治とは、現に今この国に生き、死につつある私たちのための正しいありようを決めるということであり、私たちの正しさを抜きに、地球市民としての正しさなどという虚しい幻影を追い求めるとは、根無し草の政治にほかなりません。
しかし、この根なし草の政治と私たちの政治とは別物であることを、大人がわかっていない。


上述のどこかの大阪府知事ですが、公立大学の公用語は英語にすべきといったとか〈🔗〉。

「……大阪がこれから国際化、もっと言えば日本全体が国際化目指していかなきゃ、もう、どんどん衰退していくと僕は思っています。実際衰退しています。世界は成長していますから」と語った上で、世界的な競争力のある人材を育成するため「将来的に大学の公用語は英語にするべき」と発言しました。

https://www.fnn.jp/articles/-/656513?display=full



言葉とは、母語とは私たちのありようの根幹であることは申しあげるまでもありませんが、それを奪うとは根を奪うことであり、自ら捨てるとは、自分がどこに由って立っているのか理解できていない証左といっていい。
こんな政治家を選んだのはしかし、ナイーブな子どもではない。
この国の大人なのです。
根をなくしたのでしょう。


日本人の心は僕等の深い処にある。僕等が理解したり或はしなかったり、或る時は信じたり或る時は疑ったりして居る思想やら知識やらのもっと下の深い処にある。

『感想』
小林秀雄





吉村氏と
ゆかいな仲間たちさんへ



世も末でしょうかね。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。グローバリズムも政治的な正しさポリコレも外部にあるものであり、独自のものが私たちにはあったはず。