指す将順位戦7th自戦記 B級3組 2回戦 (vs ルルー7級[911])
未だ24ルールの感覚が掴めないまま2回戦に突入。
前局勝利した流れを持続させたい。
【対局前】
◇対局相手の印象
一回戦で四間飛車を指していたという情報しかないので断定はできないが、軽い指し回しからして恐らく振り飛車党。
四間飛車愛好家なのか気分で振り分けているのか先後や細かい形で振る筋を変えているのかは不明。
ある程度ブランクがあるようなので振りミレのような新機軸は使ってこないか。
ぷよぷよが好きなようだが、ルルーという名前もそこから取っているのだろうか?(未確認)
◇対戦成績
初手合。
棋風も指してくる戦法もわからないのでほとんど野良対局のような情報量。
◇事前準備
[▲先手番]
あまり時間に余裕もないので四間飛車に絞って対策していく。
[△後手番]
後手番においても当然対四間飛車を想定して準備する。
◇対局前まとめ
相手が何をしてくるのかわからないので踏み込んだ対策は練れないが、対四間飛車を想定して先手なら端歩突き穴熊、後手なら金無双急戦で挑む。
急戦は最近でこそちょくちょく指してはいるものの、まだあまり慣れていない上に レート的に格上が相手なので先手番が引けるように祈る。
【対局開始ッ!】
先手:doseikun(911)
後手:SaisokuAmanogawa(586)
祈りは届かなかった。
相変わらず最序盤は飛ばしていく。
ウォーズでも24でもこの指し方は間違っていないと思う。
66歩の前に68飛と、一瞬 角交換四間飛車を思わせる展開にヒヤッとしたが角道を開けたところ閉じてくれたので一安心。
事前の想定通り対ノーマル四間飛車に。
早速20秒ほど差をつけて画像の局面。
ここから42金上とすれば想定局面②へ合流しそうだが、事前準備のところで述べたように相手の駒組みに隙があれば穴熊に潜るというのが前提。
(“隙”というのはこちらが一方的に言っているだけで対居飛車穴熊歓迎の心意気なら隙でも何でもないのだが)
ここまでの先手の駒組みであれば穴熊に組むことが可能なので33角から端歩突き居飛車穴熊を目指す。
対するルルー7級は美濃囲いを構築。
ぷよぷよでいうところのGTRのように 組みやすさと手堅さを併せ持つ。
こちらも囲いの完成を急ぐが、少考の後75歩と指されて準備していた範囲から抜ける。
これがルルー7級の居飛車穴熊対策というわけか。
確かに75歩は居飛車穴熊を指しているとたまに指される手。76銀の進出や、三間飛車への変化を見せている。
この手を咎めるのであれば64銀で直接狙っていくのがわかりやすい。そうなるとすぐに戦いが始まるので後手の囲いは左美濃が相場だ(と思っていたが検討すると32金型の方が良いようだ)。
しかし本譜では急がず12香から居飛車穴熊を選択。
本局に臨むに当たって左美濃で指すという展開は全く想定しておらず、多少は想定していた後手番端歩突き居飛車穴熊を目指した方が実戦的に良いと判断した。
22銀とハッチを閉めて端歩突き居飛車穴熊第一形態完成。
これで少し安心だが、その間に先手は76銀から88飛と8筋逆襲を狙ってくる。
こちらは頑強な穴熊を構築するにはまだ時間がかかる。
ぷよぷよで例えるなら10連鎖を超える大連鎖を組もうとしているところに4連鎖くらいの速攻を発火されそうという感じか。
穴熊も大連鎖も組んでしまえば強いが 組むまでの隙が大きい。
67金というのは角頭のケアと何かあったときの飛車の転換を見せているのだろうか。
こちらからどう動くかあまりわからない局面になってしまった。
折角開いたままの角道を塞ぐ手は指したくない。
42角と引く変化を残しておきたいので右金もあまり動かしたくない。
ということで左金を囲いにくっつける手を考える。
31金か32金か。32金なら松尾流穴熊への変形の余地を残すことができるが、このままでは金が浮いていて、41の割り打ちの筋もある。
先手の形を見るに、どうやら相手は囲いの強化を悠長に待ってくれそうにない。
よって31金として端歩突き居飛車穴熊第二形態。
32金型よりも金銀の連結が良く、すぐの戦いに強い。
しかし97桂と力を溜められて困ってしまった。
折角開いたままの角道を塞ぐ手は指したくない
42角と引く変化を残しておきたいので右金もあまり動かしたくない
……から先ほど31金を選択したのに また選択を迫られてしまった。
ここで2分以上の長考に沈む。
この局面で考えていた手は三つ。
93桂、62金、42金。
93桂は97桂に呼応した手。しかし桂馬を跳ねたからといって8筋逆襲が止められるわけでもなく、逆に95歩から動かれるきっかけを作ってしまいそう。
95歩同歩同角が73角成の先手になっており、この受け方が地味に難しい。72飛も62金も割り打ちの筋が発生するので64銀くらいだが、どう応じても94歩打が飛んでくる。
検討したところここまで進んでも評価値は後手に振れているようだが今の自分の実力ではとても指しこなせる気がしない。
62金は先手の8筋逆襲を受け止めようという手……というより角道を開けたまま42角の変化を残すためにはこう活用するしかない。
しかし割り打ちの筋が残る上に85銀や86歩から動かれてどうなっているか。こちらの飛車が窮屈に見える。
42金は93桂、62金がダメなら一貫してさっきの続きをやろうという手。
つまり
・折角開いたままの角道を塞ぐ手は指したくない
・42角と引く変化を残しておきたいので右金もあまり動かしたくない
このどちらかを捨てる選択をすることになる。
考えてみると42角と引く変化がこれから出てくるとは思いにくい。現時点 すぐに戦いが起こりそうな局面で、そうなったときに42角が活躍するまでに時間が掛かりすぎるからだ。
その上 先手からの8筋逆襲が受かりそうもない(上記3つの選択肢のうち93桂からソフトに指させると何とかしていてビックリするのだが、対局中はそう思っていた)。
そうなったとき飛車を左に転換することを考えると飛車の横の可動域が広い方が良い。
そうした思考の中で42金を導き出した。
やはり2分の長考は大きく、時間差が逆転してしまった。この選択が吉と出るか凶と出るか。
85銀から歩を回収されたが、これなら飛車先が重く速攻はない。
飛車の横の可動域を広げるという方針に従って32金と寄って端歩突き居飛車穴熊最終形態完成。
角筋を通しており、44銀型の余地を残しているので四枚穴熊への変化も一応見せている。
ここで76銀と普通に戻られて手がわからなかった。
72飛から動いていく筋があったようだが、検討していてもよくわからない。
72飛に対する応手が68飛や98飛なのだが、角筋から逸れておきたいということだろうか?
仮に72飛に86歩なら以下74歩同歩64銀65歩77角成同金55銀が変化の一例。66銀同金77角打が直接の狙いだ。
変化によっては先手の8筋逆襲より早い攻めがあるということのようだが複雑すぎて今はまだ指しこなせる気がしない。
こうして振り返ると75歩を咎めず実戦的に端歩突き穴熊を目指したことでかえって混沌としてしまっている。
手が見えずに24歩と突き 銀冠穴熊やビッグ4への進展を目指す。
手数が掛かりすぎて完成する気がしないが、それくらいしかやることがない。
まさかこの24歩が後に思いもよらぬ働きをすることになるとは……。
いよいよ86歩から8筋逆襲が始まるが、この瞬間だけ先手の角が隠れるので95歩から小競り合いに。
92飛としてこのまま突破を狙うが96歩打→95歩打で止まってしまった。
ここまで評価値上では常にこちらが有利な状態が続いているが、対局中は完全に作戦負けを意識していた。
自分の形勢判断と実際の評価値がここまで乖離するのは珍しく、修正が必要かもしれないが、何分ソフト推奨手の意味がわからない。
画像の局面では97香同香74歩84歩75歩65銀73桂74銀55桂68金76歩86角42角という変化を推奨している。
以下63銀成には77歩成→85桂、それ以外の手には85歩打で角を退かしてから44銀と玉を堅めながら角筋を通してこちらが快調なようだが……。
銀や歩を成られまくって飛車がいじめられても繊細な攻めを繋げて優勢というのが如何にも穴熊感覚だが、その感覚に追い付けていないのが現状だ。
観戦者との感想戦でもここらへんは先手が上手く抑えこめているというのが共通認識だったので、自分がどうというよりはルルー7級の指しまわしが流石というべきだろう。
23金→32飛というのがこちらの非常手段にして最後の切り札。一貫して飛車の可動域を横に広げるという方針に従ったことで成立した指し方。
仕方なく突いた24歩がここにきて活きたのは僥倖だった。
ぷよぷよで例えると発火のトリガーとなるぷよを待っている間に適当に置いたぷよがたまたま物凄い連鎖尾を構築していたという感じか。
23金→32飛や43金31金型のときの23銀→22飛という指し方は野良対局で稀にやるのだが、もちろん研究などではなく苦しいときの最後の足掻きという位置付け。
評価値は先手に振れてしまったが、実戦的には多少経験のある形だ。
対する先手も遂に8筋を突破。
玉のコビン攻めと横からの攻め、どちらが早いか。
92と とされて画像の局面。
ここも36歩、42角、44銀などで悩む。
単純に36歩とするのは同歩とした手を先手に利用される可能性がある。
42角と引くのは今さら右側を攻めるわけでもないので飛車を通す以外の意味が薄く、味が悪い(しかし今考えると31の金に紐をつける意味があった)。
よって銀を攻めに活用するべく44銀と指した。
感想戦では42銀という手も指摘された。
飛車角桂歩でも意外と攻めが繋がっていることが局後の検討でわかった。先手に正確に対応されると流石に無理なようだが、ここで右銀を守りに使う発想は今後どこかで役に立つかもしれないので覚えておきたい。
ソフト推奨の82歩打は全く見えていなかった。今さらそこを受けてもという印象だが、飛車の横利きのおかげで意外と先手の攻めが遅くなっている。
44銀に対して単に81飛成とされていたらどうして良いかわからなかった。
本譜では45銀を恐れたのか46歩と突いてこられたが、ここを逆に争点にすることができた。36歩同歩35歩打で銀の進出をはかる。
これに対して長考の末47銀と受けられたが、これは両取りの桂馬が決まる形。この手で指しやすさを感じた。
一旦攻めが決まれば穴熊は強い。
42の角で取った香車も添えて先手玉のコビンを集中砲火。
投了図からは確実な寄せを重ねていけば自然と勝つことができる。
後手玉は端歩の突いてある金銀3枚の穴熊に飛車もついて、おまけに97の馬が遠く利いている。
絶対に逆転を許さない強靭な穴熊だ。
【対局後】
◇本局の振り返り
序盤から中盤までは評価値と指しやすさが真逆だった。
相当繊細な指しまわしをしないと優勢に出来ない局面を作られたが、最後の足掻きで飛車を転換したのが功を奏したようだ。
長考した末に指した42金から飛車の横利きを拡大していく指し方が上手くハマった形となった。
終盤は先手陣の一瞬の隙を咎めて一方的に攻め込む展開に持っていくことができた。
居飛車穴熊の難しさと強さを再確認できた一局だった。
◇最後に
情報がほとんどない中 四間飛車を狙い撃ちすることに成功したのも一つの勝因だと思う。
もし一回戦で当たっていたら全くの無の状態でスタートだったので、対局する順番も大事だとつくづく感じた。
ちなみに所々ぷよぷよで例えようと頑張っていましたがぷよぷよは全然できません。それじゃあ。
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