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指す将順位戦8th自戦記 B級2組 6回戦 (vs ずほ7級[974])
前期B級3組と比べて今期は振り飛車党との当たりが多い。
対振り戦術をどのように組み立てるかが昇級のカギになってきそうだ。
そんな中迎えた折り返し地点。
さてさてどんな将棋になるか。
【追記】
対局相手のずほさんも本局の自戦記をお書きになりました。
一つの対局を双方の視点から眺められるのがTwitter棋戦の良さ、面白さであり醍醐味だと思っています。
以下にリンクを貼っておきますので是非ご覧ください
https://note.com/zuho_3110/n/n792999f5e75c
【対局前】
◇対局相手の印象
純粋振り飛車党
先手番では中飛車、後手番では三間飛車が中心で、状況によっては他の指し方もする模様。
三間飛車にしても第8期叡王戦第一局で菅井八段が志向した組み方を取り入れる等まさに現代の振り飛車のトレンドをおさえたような将棋という印象。
また、参考にどうぞと対局前にわざわざ将棋倶楽部24以外の将棋アカウントも教えていただいた。
事前のやり取りで戦術家タイプだと感じたので、対抗形では珍しい研究勝負になるかもしれない。
◇対戦成績
初手合
ずほ7級は今期が指す順初参加とのこと。
◇事前準備
[▲先手番]
先手番では対三間飛車を想定。
ノーマル三間飛車に対してはへなちょこ急戦を採用。
素早い仕掛けで序盤からペースを掴んでいきたい。
![](https://assets.st-note.com/img/1695038031574-dPM8wgGyKe.jpg?width=1200)
ただ、ずほ7級の三間飛車は角道を開けたまま組まれることもあり、その場合は別途対策が必要になる。
本局は相手の形に合わせて角交換型と早繰り銀を使い分けたい。
![](https://assets.st-note.com/img/1695038062707-uwUY8Tg2Vj.jpg?width=1200)
3筋で構えたままの場合は自ら角を交換してしまう。
以下後手の対応によってそれぞれ違う将棋になる。
![](https://assets.st-note.com/img/1695038150252-F4dB2DtYR3.jpg?width=1200)
3筋から2筋に振り直してくる場合は角頭を弱点に見立てて早繰り銀で攻めていく。
これは ずほ7級の棋譜にあった局面なので本局出現する可能性も十分ある。
[△後手番]
後手番は対中飛車を想定。
依然として先手中飛車は難敵だと思っているが、ずほ7級の棋譜も参考に上手く対策を考えたい。
![](https://assets.st-note.com/img/1695038322800-hYksIODCE7.jpg?width=1200)
本命の変化。
ずほ7級は56銀型の採用率が非常に高い。
56銀型には早い仕掛けが有力というのが定説で誘導性が高い。
本局は珍しい仕掛けで主導権を握りにいく。
![](https://assets.st-note.com/img/1695038850674-Yk99HbOmhl.jpg?width=1200)
棋譜を見る限り可能性としては低いが、意表の66銀型も一応対策しておく。
66銀型に早い仕掛けは難しいので雁木に組んで千日手を含みに戦っていく。
~対局前まとめ~
先手番は対三間を想定し、急戦でこちらの土俵に引き込む。
後手番は先手中飛車をどう対策するかで、対56銀型には水匠5が好む仕掛けを採用。
66銀型には以前採用したこともある雁木で勝負。
【対局開始ッ!】
先手:arahagi_(974)
後手:* 最速キメ(950)
棋譜+振り返りは↓のリンクからどうぞ!!
【対局後】
【急所の局面】(59手目▲4五歩まで)
![](https://assets.st-note.com/img/1695021709300-E3SIFuRLU6.jpg?width=1200)
中飛車から仕掛けられた局面だが、ここの対処がわからず、本譜は長考の末△8一飛から形勢を損ねてしまった。
この仕掛けがあるなら実は序盤から上手くいってなかったのではないかと思っていたが、感想戦では ずほ7級も自分が悪いと思って指していたとのこと。
聞いてみると、ここで△4五同歩から強く戦ってこられて自信がなかったと言う。
[基本図]以下 △4五同歩 ▲同桂 △5五角 ▲同飛 △4四銀 ▲5九飛 △4五銀 [a-1図]
![](https://assets.st-note.com/img/1695022483862-1ciRhEK2ei.jpg?width=1200)
感想戦で示された手順。
△4五同歩には▲同桂で角の行き場が酷いと読みを打ち切ってきたが、ここで△5五角ともう切ってしまう手があった。
駒損だがこれが穴熊の暴力というやつか……。
感想戦では以下▲4六歩が挙がった。
[a-1図]以下 ▲4六歩 △5四銀 ▲3五歩 △6四桂 ▲6五桂 △同桂 ▲同歩 △7六桂 ▲7七角 △8八桂成 ▲2二角成 △同金 ▲8八金 △8七歩成 ▲5四飛 △同金 ▲4一角 △8八と ▲3一銀 △4九飛 ▲2三角成 △同金 ▲3二銀 △3九角 ▲同金 △3七金 ▲同玉 △3九飛成 [b図]
![](https://assets.st-note.com/img/1695023406114-UHFjXLDbCG.jpg?width=1200)
感想戦で指された手順。
あとからソフトで検討すると途中色々あるが、評価値としては常に後手良しで推移しているので▲4六歩と弾いてからの攻め合いは居飛車満足の変化と見なして良さそうだ。
戻って[a図]では▲5一角と、桂馬取りと銀頭攻めの両狙いを見せる好手があった([a図]画像の最善手▲2五歩も順番が違うだけで意味合いとしては同じである)。
以下桂馬取りを回避する△8五桂に▲6五桂と躱して角道を止める△4六歩に▲7三角△9二飛から難しい将棋になる。
ソフトの読み筋としては、
*検討 1 時間 00:58.8 深さ 22/39 ノード数 97133122 評価値 27 読み筋 △8五桂(73) ▲6五桂(77) △4六歩打 ▲7三角成(51) △9二飛(82) ▲6三馬(73) △8七歩成(86) ▲同 金(78) △3五歩(34) ▲5三歩成(54) △4四金(43) ▲8六角(68) △4七歩成(46) ▲同 金(38) △5五桂打 ▲5七金(47) △5三歩(52) ▲5六歩打 △2五歩(24) ▲5五歩(56) △3六銀(45) ▲3八銀(27) △2六歩(25) ▲5三角成(86) △4三金(32) ▲6四馬(53) △4七歩打 ▲4九歩打 △2七歩成(26) ▲同 銀(38) △同 銀成(36) ▲同 馬(63) △6八銀打 ▲2四歩打 △同 銀(23)
→[a-2図]
こんな感じ。
![](https://assets.st-note.com/img/1695024399649-6xmAkKVGWM.jpg?width=1200)
飛車をどこかでビュンッと転換したい。
この展開が不満であれば、shogi.ioの方で示したように銀冠穴熊を作らず△8五飛から積極的に動いていく方が良さそうだ。
◇本局の振り返り
想定局面はヒットしたがすぐに外れてしまい 穴熊も上手く使いこなせず……というイマイチ噛み合わない将棋だった。
お互いに疑問手が多かったからこそ、感想戦でも述べたが勉強になる対局だった。
特に急所の局面でも取り上げた穴熊の暴力はものに出来れば大きな戦力になると思う。
◇最後に
相居飛車に比べて対抗形の研究は洗練されていないと感じているので今後は対抗形研究の比重を増やしていくことになるかもしれない。
局面を決め打ちしにくい対振り研究はどういう方向性でいくのかはまだ模索段階で、最近はとにかく仕掛けを早めて想定局面にヒットさせることを狙っているがどうだろうか。
本局のようにそれでもすぐ未知の局面に入ってしまうと考えると以前のように持久戦を志向するのもアリなのか。その辺りは棋風と相談して煮詰めていきたい。
棋戦を終えたとき それ以前より一段階高みに至れるように知見を増やしていきたいです。それじゃあ。
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