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世の中は三日見ぬ間の桜かな

高校から実家を出て、寮生活を3年間、そして大学進学のため上京し、今年で4年目。この街とは今年でお別れになる。

幼少期から、街を転々と移動することが多く、馴染みのある思入れ深い街や場所が私には一つもない。

だけど、色んな土地での生活から気づくことができた、”好きな場所”はたくさんある。

そして、その”好きな場所”を最後に巡り尽くし、お別れを告げる私式のならわしをする瞬間が今年もやってきた。


最初は『この街は住みにくい』と不満を感じつつも、結局最後には『いい街』だった。と、思うことが鉄板である。”住めば都”とは、本当にその通りだ。


去年、人生初の自粛生活を経験していることから、この街では散歩をすることが多く、いい場所を見つけては、また、新たな場所を探しにと、日を過ごした。

だから、この街は巡る場所がとても多い。就職活動、部活、学校と三立した状態で、それらを全て回ることができるかわからない。

だが、絶対に訪れておきたい場所やその季節にその場所でやりたいことをあらかじめリストアップしている。


そのリストアップしている1つ目は、この春にしかできない『花見』だ。


今私の住んでいるアパートの目の前には、河川敷がある。そして、その河川敷には、両サイド均等に桜の木が並んでいる。春になるとそれらが綺麗に鮮やかなピンク色でこの街の河川敷を彩る。

この街に来た年から、毎年その河川敷にあるベンチに座って優雅に恍惚に浸る時間を私は楽しんでいる。


この時間自体は、次の街でも作り出せるかもしれない。だが、この街で、この河川敷に咲く桜を見るのは、今年が最後である。

この4年間色んなことがあった。楽しいことも、辛いことも、嬉しいことも、悲しいことも。

今年は桜の木の下で、人生の夏休みに起きた壮絶な4年間をゆっくり振り返りたいと思う。

偶然この世界に人間として生まれ、偶然この街にたどり着いた。そして新たな土地で、辛いことも悲しいことも楽しいことも嬉しいことを体験した。その感じた瞬間を、その時と同じ熱量では感じれないけれど、思い出して、懐かしさに浸りながら、桜の木の下で、お酒を啜る瞬間が楽しみで仕方ない。

#この春やりたいこと

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