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【小説】守護霊のりおちゃん

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「まさかわたしが乳がんに?!」 大分県別府市に住む主婦の小百合には、普通の人間にはない能力が備わっていた。特定健診で右乳房に乳がんが見つかった小百合は、摘出手術を受けることに。…
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#乳腺外科

のりおちゃんの幻視

診察室の扉を開けたわたしに視線をやり、大谷先生はぎょっとしたように目を見開いた。髪型を話…

餅は餅屋

「う~ん、彼と私は違う人格だから、あくまでも憶測なんだけど…。夫婦喧嘩したとか、そんなん…

龍の通る道

令和6年1月4日。新年一発目の診察である。皮膚科の予約時間は朝9時だ。病院に行く前に、八…

大谷先生の豹変

令和5年12月25日。今年最後の診察である。わたしは鶴見にある「火売神社」にお参りしてい…

マイ・ホーム・グラウンド 競輪温泉

夫の運転する車の助手席にわたしは座った。自宅から競輪温泉までは、車で5分とかからない。温…

生麦・生米・生卵

わたしは談話室の窓際に座り、ぼんやり外を眺めていた。窓からの景色は、巨大な屏風絵のようだ…

手術説明ムズすぎワロタ

令和5年10月6日。乳がん手術について、夫と一緒に説明を受ける日である。のりおちゃんはこの日、わたしたちと一緒ではなかったと思う。 わたしが初めて夫を連れて実家に帰省したとき、母が夫に言った。 「うちの子には霊感というか超能力みたいなのがあるから、びっくりすることが何度も起こると思うけど…」 夫はその時、愛想笑いを浮かべながら「?」という表情をしていた。面と向かってそんな話をされても、普通は困るだろう。だからわたしはのりおちゃんのことを、夫にまだ話していない。 夫とわたし

おっぱい喪失まであと1か月

国立別府病院は、「地域医療支援病院」である。かかりつけ医からの紹介患者に対し、医療提供・…