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絵本が教えてくれる真理

テレビに出ている人たちは元気が良い。芸人さんや落語家さんなど、いつもパワフル。その笑顔とテンションを見ているだけで、こちらもエネルギーをもらえる。いつもあれほど元気だったら良いなあと自分も思ってしまう。

昔働いていた会社の上司にとてつもなく明るい方がいた。いつもジョークを飛ばし、終始笑顔。テンションが高くて、傍にいるだけで周りの皆が明るくなる。が、聞いた話によると、自宅ではほとんど話さず、実に寡黙。それを耳にした際、驚いた。そんなことがあるのかな、と。

でも、人は機械ではない。どこかでオンとオフを切り替えねばならないだろう。おそらくその上司も、会社で精いっぱい仕事をして周囲を鼓舞しておられたからこそ、自宅ではオフモードだったのかもしれない。24時間パワー全開では身が持たない。

その話を伺って以来、今、目の前で楽しそうに、あるいは幸せそうにしている人がいても、「ひょっとしたら心の中ではその正反対の立場におられるのかも」と思うようになった。お腹がよじれるようなジョークを言っていても、満面の笑顔で人と接してくれていても、もしかしたらその胸中は悲しみでいっぱいかもしれない。そういうことも大いにありうるのだ。

だから、見かけだけで「あの人は悩みが無くてうらやましいな」とか「幸せそうで良いな」とは思わない方が良いと思う。自分と比べて心身及び物質的に満たされているようにこちらから見えたとしても、頭の中では辛いことがその人を苦しめているかもしれないから。

上皇后・美智子さまのお気に入りの絵本に「でんでんむしのかなしみ」がある。人は誰もがかなしみを抱えているというストーリー。かなしみは本人にとって辛いことだけれど、そこで悲観することは無いと私はこの本を読んで思った。なぜなら、悲嘆にくれるのは自分だけではないから。周りも実は自分と同じように、それぞれのしんどさを抱えているから。

絵本というのは、そうした人間の真理を教えてくれる。さあ、今日も歩んでいこう。

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