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ニッポン勝利!

放送通訳者デビューした当時、一番苦手な分野がスポーツだった。何しろ子どもの頃から運動音痴。小2から中2までイギリスにいたが、体育の授業はいつも逃げたいほどだった。毎週末になると現地テレビはサッカー三昧。イギリス人のサッカー愛が子どもの私にはわからなかった。土曜日に通っていた日本人学校でも同級生の男子はサッカーの話題ばかり。ますます距離を置いて見ていた。

しかし、BBCでスポーツニュースの放送通訳をするようになると、いつまでも毛嫌いするわけにはいかなくなった。せめてチーム名、選手名、競技の基本ルールぐらいはおさえないと訳せない。勉強せざるを得なくなった。

あれから20年ほどが経った。今も胸を張ってスポーツ通訳が得意とは言えない。勉強途上だ。しかし、スポーツニュース自体は大いに楽しめるようになった気がする。むしろ「スポーツは人々を勇気づけるものだ」と思えるようになった。だからこそ、心を込めて、その場の空気を日本語に通訳できるようになりたいと切望するようになっている。

昨日のワールドカップの日本対ドイツ戦、後半で日本が逆転した。テレビ中継を見ていた私は、同時にBBC Soundsのアプリで英語の中継も聴いた。タイムラグがあるので画面から30秒ほど英語は遅れていたが、熱意は大いに伝わってきた。日本の実況中継や報道の仕方と、イギリスのラジオ中継の手法の違いも興味深かった。それについては追って通訳関連のコラムに書くつもり。

世界はまだまだ感染症や地政学的対立が続いている。そのような中、日本が試合に勝ち、喜びを分かち合える幸せを許されているということ。そのことに感謝したい。

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