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絵本の親子

世田谷美術館で「こぐまちゃんとしろくまちゃん 絵本作家・わかやまけんの世界」を観た。

「こぐまちゃん」シリーズは我が家の子どもたちが小さい頃、大好きだった。「しろくまちゃんのほっとけーき」や「こぐまちゃん ぱんかいに」などは、今でも鮮明に覚えている。本文にそれぞれ出てくる「ぽたあん どろどろ ぴちぴちぴち」「おかあさんのけちんぼ」など名ぜりふが懐かしい。

美術展ではわかやまけんさんの他の作品もあった。初めて目にしたのが「おばけのどろんどろんのおかあさん」。「どろんどろん」はお母さんがいない。そこで、友達のねずみさんと一緒にお母さんの居場所を探すというストーリー。どろんどろんの母親への思慕がとてもよく描かれている。我が家の子どもたちは絵本年齢をとうに過ぎてしまったが、人生後半戦に差し掛かった私にとって、本作との出会いは恵みであった。なぜなら、普遍的な親子のあり方がわかったから。

この絵本のテーマは、「すみっコぐらし」の「とかげ」にも通じると思う。「映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ」には、「とかげ」と「お母さん」のエピソードがある。わたしは「どろんどろん」の絵本を読んで、「とかげ」を思い出した。

「とかげ」と「おかあさん」についての分析は、以下が実に興味深い。

ページ中ほどの「『とかげとおかあさん』を踏まえて観るとかげの成長譚」に「愛を求める者が愛を与える側に回る」とある。この一文に私は感激してしまった。

世の中にはいろいろな子育て本がある。私も名著と言われる「育児の百科」(松田道雄著)には本当にお世話になった。今から20年も前のことなので、現在はさらに子育て・育児本がたくさん出ていると思う。

どの本もそれぞれ親にとっては助けになる。でも、絵本やアニメに描かれている親子描写の方が、実はシンプルで時代を超えた思想が入っていると私は感じる。難しい理論やハウツーなどよりも、心にスッと入り込んでくれる作品に私は魅了される。

親子の無償の愛は、絵本やアニメで知ることができるのだなと感じた。

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