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「ヴァロットンー黒と白」展

昨日、仕事の後に美術館へ出かけた。最初の計画では静嘉堂@丸の内に行くつもりだった。お目当ては昨日が最終日の特別展。ところが現地に着いてみると、すでに日時指定予約でいっぱい。午後まで空きがないとのこと。放送通訳の早朝シフト明けだったので、帰宅が夕方になるのはツライ。今回は見送ることにした。

さて、どうしよう?近くに出光美術館と三菱一号館美術館があるのは知っていた。そこでまずは三菱一号館へ。ここも満員なら出光に行こうと決めた。

三菱一号館は久しぶりだった。入り口前の丸の内ブリックスクエアはクリスマスの雰囲気であふれていた。展示会名は「ヴァロットンー黒と白」。初めて聞く画家名で、白と黒の版画が特徴とのこと。幸いすぐにチケットを買えた。

展示エリアに入るや、シンプルでいてメッセージ性のある作品の数々に魅了された。パリの喧騒、夫婦・恋人同士の雰囲気、あるいはドストエフスキーや音楽家、楽器などをテーマとした版画作品が展示されていた。

鑑賞しながら思った。ここに描かれている人たちは、もはやこの世にいない。どれほど医療が発達しようと、不老長寿を願おうと、人はいずれ平等にこの世の舞台から姿を消していく。独裁者であれ著名人であれ絶世の美女であれ極悪人であれ、どれほど現世で名をなしたとて、やがて去っていく。

そう考えると、悩みや迷いに対して必要以上に苦しんでしまうと、あっという間にお迎えがきてしまうのではないか?もちろん、人間だから心がかき乱されるときはあるだろう。でも、そうした心の乱れ「だけ」に焦点をあてすぎる人生はもったいないと思うのだ。

ヴァロットンの力強いメッセージからそんなことを感じた。最初の美術館が入れなかったおかげで、大きな学びを得られたひとときだった。

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