素敵に歌う

彼女の声が、私はあまり好きではなかったのです。
無理して作られた声、素直な声ではない声、
素材の良さを殺した声…

スーパースターを母親に持ち、常に比較され、
年を重ねるごとに母親に似てきて、似ていないところも多すぎて、
だからこそ、声をいうものを追求しすぎて、
人工的な声で歌っていたのかもしれないとも思います。

ですが、無理をして歌う声は、心地よくありません。
歌っている本人も、歌えば歌うほど苦しいだろうと思っていました。

天然の素材を生かすような歌い方でいいのです。
下手でも、気持ちよく歌っている方が、私は好きです。


歌う時は、バラ色の声で歌うことを意識しています。
天然のバラの色を持つ声で。

彼女の母も、ピンク色のバラ色の声の持ち主。
「ジャ~ンボ、ジャ~ンボ」とCMで歌う冬の女王も、
少し濃いめのバラ色の声の持ち主。
「消臭力~」は男性ですが、赤いバラのイメージがあります。
もっと濃い深紅のバラ色の声の持ち主は、天城越えをしちゃいます。
船乗り達のアイドルは、ブーケのようだったりします。

歌を聴いていて、耳に心地よいと感じませんか?
歌を聴いていて、歌っていて気持ちいいだろうなと思いませんか?

悲しい歌も、嫉妬に狂った歌も、
すべてバラ色の声で歌う。
造花ではなく、天然の花で、
その香りを感じさせるような心地よい声で…。

抽象的な表現なのでわからないと思いますが、
わかるようになると、歌うことが楽しくなります。
技術を習得して、難しい歌を歌うようになっても、
鼻歌を口ずさんでいる時のウキウキ感を失くさずに済むと言うか。

多少いびつでも、多少枯れていても、
その人の声そのままで歌うのがいい。


批判になるかもしれませんが、
ミュージカル界には、それを教えられる教師が少ないと嘆いています。

彼女の声は、冷たい金属でメッキされた造花でした。



ありのままで。
レリゴー。Let your voice go。

姉の歌が妹に響けば良かったのに。RIP

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