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【トークLIVE書き起こし】特別ゲスト回の振り返り!あなたが"千葉ともこ作品"を今読んだ方がいい!3つの理由<後編>

前編・後編にわたって、書き起こし1万字以上!となったトークLIVE

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これを受けて、振り返り+作品紹介を兼ねたトークLIVEを行い、
新刊「火輪の翼」だけじゃない!
千葉ともこ先生の3作品がいかに凄いか、推しを推したい!という熱量をお届けしました。

そのトークLIVE書き起こし<前編>がこちら↓

前編に続き、後編をお届けします!

あなたが"千葉ともこ作品"を今読んだ方がいい!3つの理由

「震雷の人」という第1作目、松本清張賞を受賞した作品から、続いて、日本歴史時代作家協会賞新人賞を受賞された「戴天」という作品 。そして最近3月12日に発売された新刊「火輪の翼」この3作品というのが、現在、皆さんが手に取れる、千葉ともこ先生の作品です。

これら3作品全て、”ある時代”が共通して舞台になっています。

「東アジアの歴史マップ」というところから画像をお借りしたんですが、ここにあるように、中国の何千年という歴史の中 でも、日本が"遣唐使"などを出していた「唐」の時代です。 法令・律令といった、法律で人を定めていくと言った、人間の現代社会の元型のようなことがいくつも作られていた時代です。中でも玄宗という皇帝やかの有名な楊貴妃と呼ばれる絶世の美女が登場。そんな時代のお話です。
 
私もあまり歴史が得意な方ではなかったので、歴史物ってなった時にちょっと身構える自分もいるんですが、もう全くその心配ない作品の数々です。

というのも、その史実を細やかに扱って、この時代のことを、ものすごく調べて学ばれて書かれているのですが、その調べた話題が「切り貼り」というよりも、みっちりと世界観を作っていて、どっぷり読者をその世界観に浸からせる感じがあるんです。頭で理解しようとはあまり脳が働かずに、一気に物語に連れてってもらえるっていうのが、このともこさんの作品の特徴かなと思います。

当時の”未曽有の混乱”と呼ばれる、もう何百万人と人が亡くなった、"史上最悪の戦禍"と呼ばれる時代を生き抜いた人たちっていうのが、3作品ともに共通している舞台設定となっています。
 
よって、玄宗という唐のトップがいて、対抗する勢力が反旗を翻して、といった大筋のシーンっていうのは、実は言うと、3作品とも同じなんです。

しかし、この3作品ともに舞台となっている時代設定が同じであるにも関わらず、主人公が誰か?どこの立場の人か?によって、全く同じ時代が違って見えるっていうところがあるのです。一作でも手に取った方には、もう3作品ともに見ていただきたいというのがね、 三作品ともに溺れたこその私が願うところです。

「震雷の人」「戴天」「火輪の翼」の3作品を味わうことで、同じ時代の風景、人の事実、自分がリアリティを持って思える範囲が変わるダイナミクスさを感じられると思います。自分が信じれるものとは?何を良しとするか?何が 正義か?こういったものは、すべて、立場次第で全く別のものに見えるのです。

今の私たちが生きてる時代も、おそらく後世の人たちがどう読みとるか、いろんな視点があると思うんですが、 本当に人の視点次第で、歴史は違う記述をされるのだ、と思い知らされます。そんなふうに自分たちの見える世界をどんどん広げてくれるというのが作品群の特徴となっています。

さらに、この作品群が持つ歴史観がすごい!というだけではなく、これらを皆さんが今、手にした方がいい理由ご紹介したいと思います。
 
まず1つ目。元々作品群には通底する「個人が何ができるのか」というテーマに紐づく理由です。
このテーマには「個人が何もできないぐらいの大きな流れが押し寄せてきていて、自分の無力感に苛まされる」そんな背景が内包されています。

舞台となる唐の時代も、その戦禍がひどく時代の濁流の中で、 "たった1人の力が及ぶわけない"と思いがちなところを、いかにそこを乗り越えて、「どうやってこの争いを止められるのか」自分ならではの楔を打ったり、一石を投じたりすることができるか?奮闘する主人公たちが登場するのです。「個人にも、大きなものに抗う力があるはずだ」っていうメッセージがここかしこにあるんです。

これは翻ってみると、ともこさんがおしゃっていたように、今の時代の状況
とも非常に重なります。
ニュースに目をやれば、今まさに、いろんな土地で戦火が繰り広げられています。深刻さを増す争いや宗教的なこと、いろんなものに対して、自分たちにはできることなどない!といった強烈な非力さを感じることも多いと思います。

自分がどう生きようが関係なく、大きな経済的なこと、政治的なこと、大きな流れっていうものが否応なく押し寄せてくるのをひしひしと感じる世界。

これは多分、 1世代前と、今の私たちが生きてる世代では、リアリティーがだいぶ違う。情報の多さや、これから先がどうやっていくんだろうって見通せない感じ。さらに大きな波や濁流の中で右往左往する感じ。非力さをまじまじと感じてしまう、そんな今と照らしてみると、作品の主人公たちにめちゃくちゃ共感できると思うんです。
 
さらに、話はその非力さを嘆くところで終わるのではなく、「いやいや、私たちにも力があるはずだ」っていうメッセージが、もうね、読んでるうちに、何度も何度も自分たちの背中を押してくれるんです。

この背中を押される感じ、自分の中にある「何かできるかもしれない」「こんなことができるかもしれない」って、一歩を踏み出す勇気が 出てくる。
これは今の時代だからこそ、この作品に触れて、その勇気を受け取っていただきたいというのが、もうトップオブトップの理由です。
 

否が応でも、上の人が決めたからそれに従わなきゃいけなかったり、戦禍でどうしようもなく生きてるところを追われたり。これらは実際の細かいところは、私たちのリアリティーとは違っていても、構造が近いことを思い知らされます。そして読み進めるうちに、「勇気」がもらえる。

今、私たちがこの時代を生きるのに、この「勇気」を持ちながら生きるのと、この作品に出会わずに、この感覚が自分の中に起きないまま生きるのとでは、天と地ほどに違うと思うんです。

今だからこそ、この作品この時代観に触れて、自分たちや現代を俯瞰しながら、自分の人生だけじゃない、この大きな世界の中の「今」っていう時代が持っている特性のようなものを受け取っていただきたい。
 
これが、"千葉ともこ作品"に触れていただきたい、トップオブトップで最初の理由です。


続けて2番目の理由です。
これは読んだ方、先ほどのスニョンさん含めて皆さんが口々に、おっしゃることですが、 どの作品も、エンタメ力。その世界観に出てくる登場人物が魅力的すぎて、恋してしまう引きつける力がすごいんです。

作品に出てくる登場人物それぞれが、人間味のある1人1人の姿を見せてくれて、多くのエネルギーをくれる存在です。「エンタメ=心を動かすもの」という先の定義に照らしてみても、心を動かしてくれる力が非常に大きい作品なのです。

いろんな人が持つ思い、忸怩たる思いや、こんなにも人も愛する気持ちがあるんだ、といった気持ちや感情。その生きざまの中に持ってる、その人ならではのものに触れることで、「自分自身も生きてる」って力が呼び起こされるような読書体験をすると思います。

今ちょっとお疲れで、「いろんな人が、いろんなこと言ってるし、いろんな情報も溢れているし、正直疲れてるよ」っていう人が、1度ドボンと没頭して、瞑想のように、この本に触れていくっていうのは、意外に大切な癒しの出口なんじゃないかなと思います。

 おそらく読んでるうちに、その主人公、兄弟であったり、恋人であったり、幼馴染みだったり、と小さい時から人となりを知っている間の人たちがよく出てくることに気づくと思います。
その彼らが、小さい時から、どんなやり取りしながら、どんなふうに相手を思いやり、時に大きな「戦禍を止める」と言った決意を持って、自分ではどうしようもないような境遇に押し流されそうになりながらも、1歩1歩、その人なりに懸命に抗う姿を、私たちは応援してしまいます。

そして、自分がその登場人物を応援してるかのように思えて、実はその作品に自分が応援されている、という「応援の循環」がすごいんです。

3作目の「火輪の翼」作中の主人公が、なんとプロレスラー(女性)なんです。お父さんが、プロレス、相撲の伝説的な方で、その娘として、 相撲仲間の人たちとも、わいわいと育てられた女の子っていうのが登場するのです。
 
その彼女は、いわゆる女の子扱いされない中で、いかにその相撲、人の中にある闘志を燃やして、人は殺さないんだけども、人前でパフォーマンスすること、お父さんがやってたことを見よう見真似でやって いた時から、自分の中で「これが相撲なのか」って腑に落ちた後、自分のものにしていくシーンがあるんです。

相撲取りかプロレスラーの女子が主人公だなんて設定は突拍子もない感じがするじゃないですか。それなのに、あまりにも描写が丁寧にあって、彼女の 愛くるしさや、どうしようもない"できなさ加減"とか。いろんな心のひだが描かれているからか、あっという間に主人公含む登場人物を、もう昔から知ってる友達みたいに近くに感じれるようになるんです。それほどまでの引き込み力が、この作品たちの特徴かなと。

 一つ目は、登場人物をこう応援してるかのように見て、激動の中で 自分たちは何ができるのかって教えてくれる。自分が応援される、勇気をもらえる。そんな作品いう意味で、「今、読んだ方がいい」

そして2つ目に、この作品群がものすごくエネルギッシュであるからこそ、この作品たちに寄り添って世界観を味わってるうちに、エネルギーチャージができる。それは、この本からちょっと顔を上げた瞬間から、見る世界が変わって見えるほど!このエネルギーチャージ感っていうのは、ぜひぜひ味わっていただきたい!という理由でした。

いっぱい情報が溢れている社会にも関わらず、何からすればいいんだろうとか、いろんなことで足が止まってる時は、やっぱりエネルギーが枯渇している、と自覚した方がいい。その消耗して枯れてしまっている自分の中に、心のエネルギー みたいなものを充填するためにも、この作品たちを使っていただきたいなというのが2つ目です。
 
そして、最後に特に「この時代を生きる女性だからこそ」読んでいただきたい!というのが3番目の理由になります。

これは千葉ともこさんも、あるインタビューでお答えいただいてることですが、小説の舞台となっている時代に限って言うと、女性が、自分で馬に乗ったり、なんだかんだ戦争の中での将軍になる女性がいたりしたそうです。
「女性だからここにいなさい」とか、「女性は、そんな戦場に出るものじゃない」とか、あらゆる線引きを超えて、「馬に乗る」「戦場に出る」と言った女性が活躍していた時代。 その分、女性たちの力が力強く描かれた三作品なんです。

いずれの作品においても、女性ならではに抱える「いかにそのパートナーと出会うか」「添い遂げるか」また「次の世代とどう向き合うか」と言った苦悩だったり、「何を選び」「何を誓い」「何を志すか」と言った決断なども描かれています。

それは、女性が読むことによって、「世の中で言われている当たり前とか常識とかにとどまらない自分」を見つけるのに、この作品が鏡となって、いろんなことを教えてくれるはずです。

と、今、あなたが千葉ともこ先生の作品を読んだ方がいい3つの理由についてモリモリに語らせていただきました。いかがだったでしょうか?
 
あっという間の30分だったんですけども、私の語りからもエネルギーチャージされます。というコメントもいただけて嬉しいです。

この作品群からエネルギーをもらったものを今、トークLIVEでみなさんに渡してるので、かなり純度の高いエネルギーが巡っているんじゃないかと思います。
私自身、この3作品をぐぐっと読まさせていただいて、エネルギーチャージができて、だからこそ、これを皆さんに伝えたい!というエネルギーに変わった。そんな循環がやっぱりテーマとしてね、ずっと一貫してるなって思うんです。

出産後の4時間睡眠と、4時間ごとのサイクルを使いながら、「いつか〜」を超えて1歩踏み出されて、「ただ小説を書きたいな」って思うだけじゃなくて、「小説家になるんだ」と決めた千葉ともこさん。

この彼女の1歩が、結果的に松本清張賞を受賞し。働きながらこれを受賞したことによってデビューの道となり、今では小説家として、専業として、このように作品をね、私たちに届けてくださっている。

やっぱり彼女の生き方自身が、この世の中の中で、「いかに個として何ができるか」というテーマを追求しているからこそ、この作品の中に出てくる登場人物が、「いかに個人として何ができるか」を追求してる姿と全部一貫していて、私たちにとっても「自分は何ができるんだろう」ということに関して背中をしてくれる。そんな、循環が巡りめく作品群になっております。

今回はですね、前回の特別ゲスト、松本 清張賞作家で小説家の千葉ともこさんをお迎えした会の振り返りと合わせて、このともこさんの作品をあなたが今読んだ方がいい3つの理由というのをお届けさせていただきました。

いかがだったでしょうか。またこのライブを見ての感想、これらの作品の感想などあったらぜひコメント欄などで、教えてください。

ということで、 今日もLIVEにお越しくださってありがとうございました。

(了)


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