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「問題行動・不登校等に関する調査」の結果と今後の取組みについて 教育委員会生涯学習課からのご説明

*もう4年前の記事なので、今現在の不登校を取り巻く状況とは違っているのではないかと思います。というか、変わっていてほしい。あの頃、ああ、そうだったなあという感じでお読みいただけますと幸いです。

2020年8月23日、福岡市教育委員会生涯学習課から配布された、「問題行動・不登校等に関する調査」の結果と今後の取組みについてというレポートの紹介がありました。

これは、文科省が、令和元年10月17日に公表した「平成30年度児童生徒の問題行動・不登校生徒指導上の諸問題に関する調査結果」における、福岡市の「長期欠席児童生徒数」と「いじめの認知件数」の結果及び今後の取組みについて報告するもの(1 概要より)です。

その結果によると、平成30年時点での福岡市の長期欠席児童生徒は、3584人。その中で、不登校児童生徒は、1814人。不登校児童生徒数は、年々増加傾向です。不登校の主な理由として、学校・家庭に係る要因は、
・家庭の状況
・いじめ以外の人間関係
・学業不振
 が挙げられ、本人に係る要因としては、
・無気力
・不安
・学校での人間関係
が挙げられています。

また、「教育機会確保法」の浸透により、教育の多様性が担保され、学校に行かないという選択をしやすくなったことも、不登校児童生徒の増加の理由の一つにあたるでしょう。

ここまでの分析について、異論はありません。たしかにそうでしょう。また、ざっくり言うと、ここ最近では、不登校者数による学校の査定(といった考え方)はせず、登校が難しい状況の子どもたちの実情を正確に把握できるような姿勢を大事にしている、とのことでした。

事実を明らかにすることから全てがはじまります。声を上げやすい環境は大切ですね。

さて、こうした実情に対して、福岡市はどのような取組みをしているかというと、

・学校の実態調査アンケート年一回。
・不登校対応専任教員をほぼ全校67 校に配置。
・スクールカウンセラーをほぼ全ての市立学校に配置。
・スクールソーシャルワーカーを全ての中学校区内の拠点となる小学校へ配置。
・はまかぜ学級、まつかぜ学級などの適応指導教室や全中学校に校内適応指導教室を設置。

などが挙げられています。支援のための方策がたしかに用意されていることがわかります。けれど、申し訳ありません、少々言いにくいことを申し上げます。

私たちが月2回開催している「アガパンサスカフェ」、不登校当事者およびそのご家族のためのお茶会でうかがう様子は、この報告書の内容とは少々異なっています。たとえば、はまかぜ学級、まつかぜ学級などの適応指導教室に通うには、そこまで到達する手続きに時間がかかること、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーは常駐しているわけではないので、緊急時の対応が期待できないこと。そして、ほぼ全校に配置されている不登校対応専任教員も、実は専門教育を受けた教員ではないということ。
ただでさえ多忙を極める学校現場。最近、そのあまりの激務に命の不安を覚える先生方も少なくないと聞き及びます。加えてこのコロナ禍。今でもやはり、マイノリティ側の不登校の子どもたちへのケアがなかなか行き届かないのはいたしかたないことなのかもしれません。

 だったら、です。何もかも学校が抱え込まなくていいシステムにしませんか?教育のアウトソーシング化を真剣に考える時期に来ているのではないでしょうか?このレポートでは、「あらたな取組み」として、

・フリースクールとの連携強化

が挙げられていました。

・フリースクールの代表者との意見交換会を年2回実施。
・各フリースクールの理念、活動内容、所在地を記した一覧表の、各学校への配布。

良いと思います。さらにこの官民協働の流れが強化され、多様化する方向に進むことを期待しています。

教育は国家の礎であり、百年の大計です。ここがふんばりどころです。ここを真剣に考えた時、不登校という現象はなくなるかもしれないと思うし、そもそもこれまでの学校に対する概念は大きく変容し、物理的に学校に行くことの意味はなくなるのではないか、と思います。

わが子の不登校時代を遠く過ぎ、現在の学校現場を垣間見る機会もめっきり減ってしまった昨今。久しぶりにあのひりつくような皮膚感覚を思い出しました。

教育委員会生涯学習課のみなさま、ありがとうございました。(2020年8月23日)

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