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マトモな話をしているのになんで聞いてくれないの?〜アリストテレスも書いていたこと

「うちの会社の営業担当がダメだからちょっとレクチャーして欲しい」と友人から頼まれて、つい安請け合いしてしまった。
僕がスーパーブラックな広告代理店で営業やってたのは四半世紀前で、お世辞にも敏腕だったとは言い難い。当時の事を思い出すとゾッとするやら恥ずかしいやら。ただただ会社のネームバリューがあったからやれていたようなものだ。

それでも引き受けたことはやりきりたいし、お小遣いも貰えそうだし、どのように話そうか真面目に考えているのだけど、まずもって話す内容より前段階のところで悩ましい。

肩書だあね。どうしたものか。

アリストテレスは『弁論術』において、説得力に不可欠な要素を重要な順に3つ挙げている。
1.エトス=信頼性
2.パトス=感情性
3.ロゴス=合理性
これを分かってないと、タイトル通り「マトモな話をしているのになんで聞いてくれないの!」という嘆きになるわけね。

話す中身は3番目で、それよりも「どういう人が話すか」ということに気をつけなければならない。
レクチャーの話を振ってくれた友人とは信頼関係ができているので、経歴とか抜きに僕の話に耳を傾けてくれるが、その先の知らん人は違う。
だからレクチャーやると決まると、まず押入れからスーツ引っ張り出してクリーニング屋に持っていった。
次は名刺なんだけど、もちろん元いた有名企業を書くわけにもいかないし、名前をググられてもまずいからローマ字?休眠させている法人もあるにはあるけど住所がなぁ。それに肩書。などを考えると頭が痛いわけです。

話す内容=ロゴスについては、オフィス用ソフトウエアの営業で、広告展開予算もなさそうだから、妥当なところDMで、ここらへんの方法論をググって予習しとけば問題なさそ。便利な時代です。

パトス面で言うと、担当者が「セグメントが〜」とか言って、マーケットリサーチと資料作りにかまけて行動しない。のが問題らしいので、イントロで営業活動を恋愛に喩えて「モテようとして妄想ばかりして行動しないのはキモいよね」みたいな感じにしようかなぁ。

もちろん、アリストテレスが書いているのは一般論で、初対面にもかかわらず、この逆手をとって中身だけを冷静に吟味する人がたまにいるし、直感的に話の価値を見抜く人もいて、世の中わからないのだけど。
まあ、今回は普通のレクチャー案件対応だからソコソコで良しとして、しょっちゅうボロ負けしている説得相手がおりまして、何とかならんかなぁと思いながら「はぁ」とため息。

いやぁ。うちのカミさんがねぇ。

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